2パート
「すごいですね!」
藤堂永史が目の前に出てきた。
「うそ。見てたの?なんだぁ見てたんなら言ってくれたらもっとかっこよく倒したのに。」
「そ、そういうことでしたか。」
近くのカフェへ行き話を聞いた。
「えぇ、記者さんとかに情報をあげてたのも私。本業もいいけど陰陽師の方なんか仕事減ってきたから宣伝しようかなと。」
間違いなくそれは俺達が陰陽師になったから減ったのだなと内心に思った。
「実は俺達も。」
人型を見せると高橋愛香はそれを見てさほど驚く様子もなく言った。
「なるほどね。なんとなくそうだろうなとは思ってたわ。もう私も28だし、そこそこ疲れるからねあのだと戦いは。」
藤堂永史は自分よりも6つも上な女性と話すのは久しぶりだと心の中で思った。
「あなた達は陰陽師になった目的とかはあるの?」
「自分は姉を怪我させた邪険に復讐が目的でしたが間違いだとわかり、当面は戦いを終わらせて農業に戻りたいというのに変わりました。」
「あら素敵。あなたは?」
「特にないんですよね。得意な事で稼ぐというか。」
「まぁそういうのもあるよね。」
高橋愛香は吉田文奈をちらっと見て話を続けた。
「それで、愛香さんの目的は?」
「お友達をね、邪険から解放してその妹さんに笑顔を取り戻したい。」
「優しい理由ですね。」
「邪険になったら頑張って押さえ込むか私たちで浄化するかのどちらかしかないからね。あの子気が弱いから頑張って押さえ込むのはきびしそうだし。でもその人と戦いたくはないのよねー。」
「友達ですもんね。」
「えぇ。お友達を助けるとはいえその前に戦わなければならないからね。」
その頃裕二は文人と会っていた。
「やぁ裕二くん。」
「文奈さんがそろそろ気付きそうです。」
「なるべくなら知って欲しくないな。あ、そうだ。今日もいく?」
「行きましょう。きっと待ってますよ。」
文人と裕二が病室にいくととてもやせ細った女の子がそこにいた。
「お兄さんたち、こんばんは。」
「体調は?」
「相変わらずです。」
その後ろでその女の子の姉の優子が見ていたが一瞬だけ邪険の影が浮かんだ。
空になったコーヒーカップを見ながら吉田文奈が聞いた。
「お友達の妹さんに笑顔を取り戻す。との事でしたが妹さんは何か病気か何かですか?」
「うーん。下手をするともっとひどい。」
「まさか・・・・・もう・・・・・」
「ううん。違うの。いいものがある。文奈ちゃんだけじゃなくてみんなも来て。」
渡辺愛香の家に招かれ、3人が座ると高橋愛香は書類の中から1枚の紙を抜き出した。
「かなり前の事。私のお友達、優子の妹は首をつって死のうとした。その時偶然優子がいたので止められたんだけどその時の遺書のコピー。優子は私にもあの子を助けて欲しいとコピーを渡してくれた。」
吉田文奈が手に取り、黙読し始めた。両脇から佐藤霊矢と藤堂永史が覗いた。その原稿用紙には陰惨という言葉だけでは足りないほどの事がが書かれていた。