表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられた神様  作者: ニスコー
第一章
6/266

生活しないとね

 晴れて洞窟に戻れたわけだが、だからといって自体が劇的に好転するようなことはなかった。

 例えば、洞窟に戻れたからといって食べ物が備蓄してあるわけではない。食事の問題は何も解決しない。

 例えば、洞窟に戻ったといってベッドや毛布があるわけじゃない。寝るにあたって雨風は防げるがそれだけである。いや、むしろ雨風が防げるかすら怪しい。洞窟にドアなどない。風は当然入ってくるし。雨が降れば水も入ってくるだろう。


 悪いことばかり考えていても仕方がない

 好い点を考える。

 洞穴の近くに川があった。祭壇の器で水が浄化できることもわかった。これで水の心配はしなくていい。食べ物はハチが採って来てくれる。果物ばかりでは栄養の偏りが心配だが、ハチは得体のしれないキノコやら穀物なども持って来てくれるようになっていた。そのままでは食えた物ではないが、俺の神様補正で食べれる物に変わってくれる。

 食べ物の心配もとりあえずはしなくていい。


 服は川で洗濯すればいい。丁度「神様の服」と「異世界の服」があることだし使いまわせばいい。

 衣食住の内、衣食のほうは最低限クリアできている……様な気がする。

 問題は住。この洞窟に住むのなら最低でもドアが欲しい。他にもベッド・・・まではいかなくても布団くらい欲しい。


 寝るときはハチが近くに来てくれるから早急になんとかしないといけないわけでもないが、いつまでも獣に包まれて寝るのは抵抗がある。

 ドアにいたっては当てが何にもない。

 自然にできた洞窟にフィットするようなドアなんてそうやすやすと作れない。


 別に洞窟のドアじゃなくても、ドア自体作れないけどね。だって道具がないし、現代人にそんな器用な真似は難しいもの。


 投げて拾えばパワーアップする神様能力も現物の形が変わるわけじゃない。竹のやりは霊竹のやりにかわっても見た目は竹のやりのままだったし他も同じだ。

 仮にそれっぽい板を投げてドアに変わったとしても、ちゃんと加工できなくては洞窟のドアとしては使えそうにない。

 どうしたもんかと悩んでいるとハチが洞窟の前でくるりと回ってこちらを見てくる。

 まるで任せておけとでも言いたげだ。

 いくらなんでもドアを拾ってくるのは無理だと思うのだが。

 ハチは大丈夫だとばかりに一声吠えると外に駆け出して行った。


 ハチが出ていったあと取り溜めてあったピングオを拾い。投げて別の物にかえる。

 今回は「青リンゴ」に変わる。

 一番初めは知恵の実などというぶっとうなものにかわったがそれ以降はでていない。投げて変化するのはランダムらしい。中には「毒リンゴ」など食べれないものに代わるものもあるので注意も必要だ。

 今のところピングオを9つ投げて変わったのは、知恵の実×1、青リンゴ×4、リンゴの原種×2、毒リンゴ×1、誘惑の果実×1の打ち分けだ。

 キノコを20投げて変わったのは、食用キノコ×⒓、毒キノコ×5、危険ドラッグキノコ×2、鹿角霊芝×1

 どうも出易い物と出難い物もあるみたいだ。

 もっと投げて試してみたいがピングオもキノコも無数に転がっているというわけではないのでそうもいかない。


 食事をすませた後、ハチのいない間に他のことを済ませておこうと思いたつ。

 水の備蓄場所でも作っておこうか……洞穴を見渡す。適当に水を溜めておける凹み箇所はないかと思ったのだが都合よくは見つからない。探してるうちに尿意を催してくる。そういえばトイレも必要だ。今までは外を歩いてたから適当に済ませせていたが、雨が降ったらいちいちずぶ濡れになって要を足さなくてはならない。

 なんかやることが増えてやる気が無くなる。


 要を足したらそこらへんに生えてる草やら石やらを神様パワーで別の物に変えて備蓄しておくことにする。

 何かあったときのためにアイテムは備蓄しておいた方がいいだろう。


 石や草ならそこらへんに腐るほど転がっている。尽きる心配はない。神様パワーで変わるアイテムの法則性についても分かるかもしれない。

 やることは沢山ある。でも何からやっていいのかは分からない。

 石を投げてると、やることが沢山あるけど目途が立たないという現実からも逃避できる。というかそれが一番の理由かもしれない。

 俺は試験前日は延々とプラモ造ってたような記憶がある。プラモは試験の役には立たないが、石を投げて神様パワーの法則性を知ることはこれからのためになる。

 もっともらしいことを考えて煩わしいことは棚上げにする。


 そんなわけで石やら草を拾っては投げる地道な作業がはじまった・・・と。


 ドシン!


 洞穴の方でものすごい音がした。地震? 地震で洞窟が崩れたとか?

 せっかく戻ってこれたネグラなのにまた失うのか?

 雨風を防げるところを探すところから始めないといけなくなる、面倒くさいことがまた増える。


 俺は慌てて洞穴に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ