神様パワー
緑色のリンゴもどきを身分証明証の持ち物覧で確認するとピングオと表示されていた。
リンゴではないのか?
リンゴだったらまだ緑色だから熟れてないとも判断できるが、別物ならこれで熟れている状態なのかもしれない。青リンゴというものもあるし緑色だからといって一概に熟れてないとないと言い切ることはできない。
匂い自体は甘いいいを匂いをしている。思わず腹の虫が鳴る。
さて、ピングオを食べるか否か。
せっかくハチが持ってきてくれたのだし、空腹も限界にきている。考えるまでもなく食べる気満々なのだが、だが少し待ってほしい。
唐突だが、日本人が外国に行くにあたってまず注意されることは「水を飲むな。下痢になるから」ということだが、次に注意されることは「果物を食べるな。下痢になるから」……という話を聞いたことがある。
この得体のしれない果実を本当に食べていいものなのだろうか?
俺は自分に問いかけ、自身の空腹と相談し、よく噛めばいいような気がしなくもないという結論に達する。実際のところ本当によく噛めば何とかなるものなかは分からないが、いざとなったら神様パワーで強化された毒消しである万能薬もある。万能薬が下痢に効くかは分からないけど万能だし大丈夫なんじゃないだろうか。たぶん。
俺はリンゴもどきの果物をた食べた。そして吹いた。酸っぱくて食えたものではない。
なんということでしょう。下痢になる以前に食えたものではない代物とは盲点だった。
見た目緑色だしよく考えれば想像できたことなのだが、空腹で思考力が落ちていたのか。うっかりと軽率な行動をとるのはもはや俺のデフォなのか。酢っぱいなどとは全く頭になくて面食らった。
どうしたもんかと考えて、いっぺん投げて拾ってみることにする。
神様パワーでなんとか食べやすくならないものか……
ピングオは身分証明証に「知恵の実」と表示されていた。
知恵の実といったら、アダムとイヴが蛇にそそのかされたて食べたら精力がつきすぎてエッチしまくりになり楽園から追い出されたという知る人ぞ知る伝説の果物だ。
なんか、別の意味で食べにくいものに代わってしまった。人が食べたらやばそうな代物だ。しかし今の俺は神らしいから大丈夫……なのだろうか。
今まで知恵の実を食べて下痢になったという話は聞いたことがない。少なくとも腹を壊す心配はなくなった気がする。だが、この状況で精力がつきすぎて持て余すというのも地獄だ。
ぐぅ~
腹の虫が鳴る。昨日から何も食べてない。お腹が空いている。にもかかわらず1日中歩き通しで狼と命をかけた死闘を繰り広げた。もう限界だ。
俺は知恵の実を食べた。
甘くて美味しくなっていた。
珍しく意図通りになった。と同時に神様パワーが実在する証明にもなる。身分証明書上ではアイテムの名が変わっていても実際は全部嘘だった、ということはないみたいだ。
知恵の実は果物にしては妙に腹もちもいい。水分も補給できて一石二鳥。いわくつきな名前とは別に食べ物としてはなかなか優秀のようだ。
特にムラムラしてくるということもない。
現時点では何の問題もないように思える。
知恵の実で空腹を満たすと喉が渇いた。果物で水分がとれるとはいっても所詮は果物。水は水でほしい。俺はジュース飲んだら最後にお茶を飲まないと気が済まない人だしな。
壊れた桶改め祭壇の器は狼たちとの戦闘でひっくり返っていたため雨水はもう残ってない。水探しは振り出しに戻ってしまった。
とりあえず川に戻ってみる。戻ったところであの濁りっぷりでは飲めたものでないのは明白だったが、上の方をちょっとすくうだけなら綺麗かもしれない。そうでなくとも。しばらく置いといたら不純物は沈殿するはず。
細菌、寄生虫……という心配もあるけど、いざとなったら万能薬もあるし。水がないことには始まらない。
水の流れは相変わらず激しいが昨日よりはましにっていた。水の色も心なしか澄んでいるようにみえるような変わらないような……とりあえず祭壇の器で水を一杯すくってみる。
上の方をちょっとだけ、でもやっぱり濁っている。と・・・
水をすくった途端、濁った水はあっというまに浄化され綺麗な水に代わってしまった。
祭壇の器の特殊効果? かなんかだろうか。
すぐさま飲むきにはなれないが、喉か乾いてどうしようもなくなった飲まざるを得ないのでそんとき自分で飲んで試すしかないだろう。
そんなこと考えてたら隣でハチが泥い泥水をがぶがぶ飲んでた。浄化された水ですら飲もうか飲むまいか迷っているというのにこの野生動物は・・・考えるのが馬鹿らしくなって結局水を飲んでみたがなんともなかった。
お腹と喉を満たしたあと考える。
このまま川に沿って歩いていいのかどうか。湖か海に流れ着いたとしてそこに人がいる保証もない。
だけど行くしかない。もう元いた洞窟には戻れないのだから……と思っていたらハチが何かを訴えかけるように見つめてくる。
俺の匂いを嗅ぎ、地面の匂いを嗅ぎ川の流れとは反対の方向へしばらく歩き、俺を見つめる。
着いて来てと言わんばかりだ。
まさか……俺の臭いをたどってもといた場所に戻る気だというのか?
でも雨降ったし臭いなんて残ってないのでは?
半信半疑ながら他にあてもないのでハチを信じてみることにする。ハチがいないと食糧確保できないから見失ったら困るしな。
ハチの後を追って歩くとほどなくして見覚えのある洞穴が見つかる。案外は早くついたのは行きは迷って遠回りして歩いていたからだろうか。どうやら元いた場所に戻ってこれたらしい。
洞穴の中には懐かしの仏壇が出ていく前と同じように鎮座していた。
名前 サトミ・ココ
性別 ♂
種族 神(忘れられた神)
レベル 2
HP 30
MP 60 (+10)
攻撃力 17(+45)
防御力 17(+81)
素早さ 10(+5)
おつむ 52(+10)
運 62(+8)
魅力 35(+10)
霊力 22(+28)
スキル ゲーム脳 蘇生術
装備
右手 霊竹のやり(+45 +10)
左手 神木の盾(+50 +MP10)
頭 天使のわっか(+14 +8)
体 忘れられた神様の服(+15 +28)
アクセサリー 異世界の靴(+2 +5)
壊れた神の紋章(+10 特殊効果軽減)
所持品 万能薬、異世界の服、祭壇の器、アンリウムの護符、身分証明証、依代の銅貨、仏壇
ゴンリて何ぞ、と訂正