表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられた神様  作者: ニスコー
第一章
4/266

夢を見ていました

「人には宿命というものがあるんだ。その宿命を果たすまで私は死ねない」


 子供のころ、幼馴染がそういった。そのころはそんな台詞をはけちゃう幼馴染がやけに大人びて感じた。

 言った本人自体自称、不治の病に侵されてたもんだから余計にすごく感じた。

 けど、今考えるとただの中二病というやつだ。

 最初にそれを聞いたときは特別な言葉のように聞こえたけれど、大きくなればそれはそこらへんにあふれていて全然特別なものじゃないと気が付く。幼馴染だってなんかの本の受け売りだったんだろう。おまけに不治の病のはずが全快して元気に学校通いだしたし、学校通いだした途端俺とは疎遠になったし、それから10年以上たって俺自身そんなことがあったことすらすっかり忘れてしまっていた。


 思い出したのは、2年前。

 突然、幼馴染がなくなったと聞かされた。高校でてからすぐに容体が悪くなってずっと入院していたらしい。

 特別な感傷はなかった。なにせ疎遠になって10年以上たってたし、俺は俺で目の前の問題に手一杯だったからだ。

 医者のに家系生まれた俺は、親の期待に応えようと医者を志すも、浪人留年を繰り返しえらいことになっていたのだ。

 子供のころは幼馴染に「病気が自分が直してあげる」なんて言ったこともあった。

 けど、現実的に俺がすんなり医者になれていたからと言ってどうこうできるものじゃない。幼馴染の病気には特効薬はなく進行を食い止める薬しかなかったのだ。医者になったからといって薬が作れるようになるわけじゃない。それは製薬会社の仕事じゃないか。


 ちょっと気になることと言ったら幼馴染がいってたあのセリフ「人には宿命というものがあるんだ。その宿命を果たすまで私は死ねない」というやつだ。

 今更そのセリフ自体に興味はないけれど、幼馴染にとってはどうだったのかということは少し気になる。

 あいつは結局自分の宿命とやらを果たせたんだろうか?

 高校まで元気だったんだし、果たせたような気もするし果たせなかったような気もする。微妙なところだと思う。


「宿命はね。果たせなかったよ。」


 いつのまにか幼馴染が目の前に立っている。ちょっと怒ったように、そして寂しそうに。

 そんな馬鹿な……お前は死んだはずだ。


「だって私の宿命は君と果す予定だったんだ。君が来てくれなかったから私の宿命は終わってしまったよ。」


 とんだ言いがかりだ。俺が医者になれなかったからといって幼馴染の寿命が延びるわけじゃない。運よく俺が幼馴染の主治医になれたって、せいぜいが一緒に昔話をするくらいだ。それで寿命なんて伸びるわけはない。

 本当にとんだいいがかり・・・いや思い上がりだ。


 目が覚めると暖かい毛皮に包まれていた。ハチにくるまれて眠っていた。

 何か、元の世界にいるときの夢を見てた気がするけど思い出せない。

 ハチは俺が目を覚ましたことを確認するといずこかに走り去っていった。

 ハチのおかげで風邪はひかなかったらしい。しかし空腹までは満たされない。しかも喉も渇いている。昨日水を探したことで散々苦労したというのにまた水を探すことから始めないといけないのだろうか。水を溜めておいた桶は狼たちとの戦闘でどこかにいってしまった。とりあえず狼たちとの戦いでどっかいったアイテムを回収することから始めたほうがいいみたいだ。


 名前 サトミ・ココ

 性別 ♂

 種族 神(忘れられた神)

 レベル 2

 HP  30

 MP  60 

 攻撃力 17(+45)

 防御力 17(+29)

 素早さ 10(+5)

 おつむ 52(+10)

 運   62(+8)

 魅力  35(-2)

 霊力  23

 スキル ゲーム脳 蘇生術 

 装備 

 右手     霊竹のやり(+45 +10)

 左手     木の盾(+8)

 頭      天使のわっか(+14 +8)

 体      旅人の服(+5)    

 アクセサリー 異世界の靴(+2 +5)

 さびたワッペン(-2 +麻痺軽減)

 所持品 どくけし、異世界の服、祭壇の器、アンリウムの護符、身分証明証、古代の銅貨


 アイテムを回収し終えて身分証明書をチェックするとレベルが上がっていた。昨日ハチのステイタスをチェックしたときは上がってなかったような気がするのだが、寝て起きたら上がったということか?

 武器も新しくなっている。レベルが上がるというのはまだわかるが武器まで新しくなっているとはこれいかに?

 新しいアイテムは「霊竹のやり」と「祭壇の器」。亡くなったアイテムは「竹やり」と「壊れた桶」。

 竹やりと言えば昨日野犬相手にほおり投げた武器だ。まさか回収した時に間違って新しい武器を回収してしまったということだろうか?

 そしてもう一つ祭壇の器なるアイテムを所持していることになってるがそんなアイテムは持ってない。ただ壊れた桶を回収したにもかかわらず表示されてないのでひょっとしたらこれのことなのだろうか?

 名前が変わった二つのアイテムの共通点は昨日の野良犬との戦闘で1度落としてしまったことだが……

 竹やりをみるが見かけ変わったようには見えない。あたりを見渡すが他に竹やりは落ちていない。どころか竹なんて1本も生えてすらいない。

 まさか投げて拾ったからパワーアップしたということはないだろうな? 思いつきで木の盾を投げて身に着ける。

 神木の盾(+50 +MP10)

 て、本当にパワーアップしやがった……どういう原理だ?

 試しにほかのアイテムも投げて拾ってみたがパワーアップしたアイテムとしなかったアイテムに分かれた。

 他にパワーアップしたのは「旅人の服」、「錆びたワッペン」、「どくけし」、「古代の銅貨」それぞれ「忘れられた神様の服」、「壊れた神の紋章」、「万能薬」、「依代の銅貨」にかわった。ちなみに2度投げたらさらにパワーアップするということはなかった。

 旅人の服が神様の服に変わったことで、どうやら神様が一度着たという付加価値により価値が加わったのだろうと見当をつける。忘れられた神とはいえ神様パワーは侮れないらしい。

 神様が1度所持したことによりパワーアップしたといったところだろうか。なんだかとても、金の臭いがする。

 例えば道具屋で銅の剣を買う。神様パワーでパワーアップさせる。売る。を繰り返せばすぐに金持ちになれるんじゃないだろうか。

 兎に角町に、人のいるところにいかなくてはならない。状況の把握。約束された勝ち組人生。こんな状況にもかかわらずわくわくしてきた自分がいた。

 そうこうしてるうちにハチが緑色のリンゴのような果物を加えて帰ってきた。肉ではなく果物というところがさすが俺の仲間。わかっている。

 火も何もないし、生肉持ってこられても困るからな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ