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忘れられた神様  作者: ニスコー
第三章
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一応隠れてますが

 この世界の神様は大きく分けて3通りある。昔から下界にいる現住の神様と、天界から降りてきた王の血族という存在と、その王の血族に作られたこの世界での一般的な神様だ。

 王の血族は神様ではないみたいだけど、俺の感覚からいうと一番神様っぽいのはこいつらだと思う。現住の神とかいう、言わば土着の神に悪魔のレッテルを張って滅ぼして信仰される主流に収まっている。王の血族達はそんな地位には興味がないみたいだけど。


 この3つのくくりで分けると俺は現住の神様らしい。そして自称神様は王の血族に造られた神様であるらしい。


 王の血族に造られた神様は下界で人間と混ざってしまい、天界にサルベージされている最中だという。そして天界にサルベージされた神様の中で下界への回帰を忘れられないものだけが、教会でのみ下界に存在していいことを許されている。


 王の血族に造られた神様は当然王の血族によって造られた存在だ。3つの存在の中では最も新しい。そして創造主が分かっている。別の世界から召喚された人間がなり変わるには1番適しているともいえるかもしれない。実は神様は全員異世界人でした~なんてオチもつけられそうだ。ただ、自称神様の話ではそんなこともないらしいが。


「と言っても私がこの神様の体で目を覚ましたとき、既にこの神様は下界に降りていました。神父として行動していたのです。なので詳しいことは分からないのですよ」


 自称神様も俺と同じように気が付いたら見ず知らずの神様に入っていたパターンらしかった。


 ……


「私の家はお寺だったので、子供のころから継ぐことを強要されていたのです。私はそれを嫌がって反発していたのですが……まさかこの世界で寺を持つことになるとは思いませんでしたよ」


 寺って行っちゃったよ? 教会じゃなかったんかい!


 天使達がハチを退治してもやり過ごせるよう教会という名の寺に非難する俺達御一行。

 自称神様は今までは自分のことを話したがらなかったのに、寺に付くなり急に饒舌になっていた。

 ホームグラウンドについて気が緩んだのだろうか? それとも信用してもらえたのだろうか? それとも俺の学生ライフが自分より上だったので対抗意識でも燃やしてるのだろうか?


 どっちにしろもうそろそろ名前ぐらい名乗ってほしいものである。自称神様では呼びにくくて仕方がない。


「なんだこの玩具のような扉は? 」


「ニュール様。それはワサビです。この紙の部分を指で舐めた指でくりぬいて中を覗き見るのです」


「なんと、こんなもので扉の役目を果たせるのか? 」


 ニュールとガルムが仲良く障子で遊んでいる。ワサビというのはもしかしてワビサビのことだろうか? 珍しくガルムがボケをかましている。

 ハチも障子を見るのは初めてらしくニュールと一緒にガルムの間違った説明を聞き入っている。ついでにガイアも聞き入っている。心を読めるガイアだが、ガルムが心の底から勘違いしているためにそれに気が付かないらしい。心を読む能力にも意外な弱点があったようだ。もしかすると、敵がパワー系の阿呆だと相性が悪いかもしれない。


「これは!? 」


 突然自称神様が素っ頓狂な声を上げる。何事かと見れば、何か石板の様なものを持ってプルプルと震えている。


「また……また落し物だと!? しかも持ち主の住所が書かれている……また届けに行かなくてはならないのか!? 」


「どうかしたのか? 」


 尋常じゃない様子の自称神様に尋ねると、彼は「はっ」と我に返って俺を見た。


「いえ、すみません。教会を訪れた誰かが落し物をしていったようなので」


 落し物……というには大げさな反応だった。それにその石板も意味ありげだ。何か重要なものを落としていったという事なのだろうか?


「この国にはまだ紙がありません。石板で代用しているんですよ」


 石板はただの聖書の様なものだと自称神様は言った。


「紙が、ない? 」


 俺はもう一度障子を確認して聞く。


「あれは紙じゃないのか? 」


「ああ、あれは天界の技術ですので。この国の技術ではないのです。紙はとても貴重なものなんですよ」


 この教会、というか寺を訪れた者達はまず障子を見て神の神秘に驚くらしい。

 ……まぁ、別にいいけどさ。


「その貴重な紙だが、あいつら穴あけまくってるぞ? 」


 ガルムが変な事教えたせいでニュールとハチ、そしてガイアまで楽しそうに障子に穴をあけて回っていた。ガイア、お前まで何やっとんじゃ……


「君達お止めなさい! 」


 慌てて止めに行く自称神様。

 俺はなんとなしに残された石板を見た。何が書いてあるのかわからない。

 俺の中で好奇心がわいていった。

 もうだいぶ使ってない気がするけど、俺には神様パワーで一旦触れたものをパワーアップさせる力があるのだ。現在封印中だが、だいぶ力は戻ってきつつある。この意味ありげな石板をパワーアップさせたら、何か素敵なものができないだろうか?


 俺は好奇心と戦いつつ、ちらっと自称神様を見る。自称神様は敗れた障子を治すには天界の技術がいるから「直るまでの間隙間風に悩まされないといけない」と嘆いている。ガイアは彼の心を読んで障子がどういうものか理解したらしく「実は私は分かっていてやったのよ。オホホホホ! 」と言いながら笑って誤魔化している。もしそれが本当なら余計にたちが悪いぞガイア?


 神様パワーでアイテムをパワーアップさせても見かけは変わらない。変わってもばれなければ……と少し思うのだが、神様パワーは普通に失敗することもある。失敗して呪いのアイテムにでもなったら持ち主に返すことができなくなる。やはりここは控えた方がいいだろう。

 俺はちょっと考えて石板に手を出すのを辞め……


「手が滑った! てい!! 」


 ガイアがそういいながら俺に思いっきりタックルしてきた。

 拍子に石板をほおり投げてしまう。


「なにすんだガイア!? 」


「ごめんなさいちょっと転んでしまって」


「今「てい!! 」とか言ってただろうが!? 」


 ガイアは俺のアイテムをパワーアップさせる神様パワーがみたくて、わざと体当たりしてきたようだった。思いっきりほおり投げてしまったが幸い石板は割れてはいなかった。見かけ上は……


「それで何のアイテムに変わったの? 」


 ガイアが興味津々聞いてくる。

 お前……もし本当に呪いのアイテムに変わってたらどうするんだ?


 俺は石板がどんなアイテムに変わっているのか身分証明書(久しぶりだな)を確認すると「サバトの石板」というものに変わっていると書かれていた。


「……これ、外れアイテムに変わってないか? 」


 サバトとか、嫌な響き過ぎるんですが?


「そうとも限らないわ。戦闘で役立つアイテムなのかもしれないわよ? 魔物を召喚する的な? 」


 ガイアはそう言ってフォローするが、どこか白々しい。だいたい元々聖書だったのに戦闘アイテムに変わったら、魔物を召喚したら、それでも十分不味いじゃないか。

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