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忘れられた神様  作者: ニスコー
第一章
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水を探して旅立ったはずが

 洞窟の外は森だった。木がうっそうと生い茂る。人間の通った後はおろか、ケモノ道すらない。


 絶対迷うやんなこれ……


 そうは思いつつもちょっとだけ、ちょっと水を探しに行くだけ、と一歩を踏み出す。

 慎重に目印になりそうな木に印をつけ、時には石を置いて迷わないようにする。


 まぁ、そんな徒労をあざ笑うかのように一瞬で道に迷いましたけどね……


 どうやら俺は大自然をなめていたようだ。外に出て5分とたたずに道がわからなくなっていた。

 すぐに戻ろうと思ったけど戻れなかった。目印も見つからない。


 だけど、考えてみれば洞窟においてあるのはやけに立派な仏壇ぐらいのものなので戻れなくても問題ないといえば問題ない。様な気がする。

 前進あるのみ。どのみち水がなければ死んでしまうのだ。ポジティブに考えてみることにした。


 そんな感じで割り切って道を歩いていたのが仇となった。


 雨が降ってきた。労せずに水ゲットである。とりあえず所持アイテムで水をためておけそうな壊れた桶に水をためて目的達成。今度は雨宿りできる場所のほうが必要となり。つまり、元いた洞窟に戻ることが必要となってしまった。しかし戻る道はもうとっくにわからなくなっている。


 考えても見れば、雨など降らずとも夜にもなれば寝床が必要なわけで簡単にねぐらを捨てるべきではなかったのだ。


 まぁ、捨てたわけではなく単に道に迷って戻り方が分からなくなっただけなんだけどね。

 もうちょっと雨が降るのが早ければ洞窟から出ずにすんだのだから間の悪いことである。

 しね! 神しね! などと罵ってみたが、身分証明書上は俺が神であることを思いだし虚しくなった。


 雨はいっそう酷くなる。

 幸いなことに装備しているアイテム、天使のわっかが傘代わりになっているらしく全身がびしょ濡れになったりということはなかった。

 それでも跳ねた水によって膝下はびしょびしょ、靴もぐちょぐちょで気持ちが悪い。

 早く雨宿りのできる場所を見つけたい。


 そうそう、天使のわっかの説明がまだだった。枕元にあったアイテムの中で一番の不思議アイテムはこの天使のわっかだった。防御力が1番上がって賢さも上がる。おまけに雨まで防いでくれる。アイテムの中で一番優秀なのはもちろん、一番の特徴は頭に置くと浮くことだろう。

 細い針金とかがついているわけではない。普通に頭の上に浮いている。


 どういう原理かはわからないが、頭を激しく振ってみても逆さになってみても落ちることはない。

 やっぱり魔法が関係しているのではないか? と思わせられる不思議アイテムだが、たかだか宙にういて雨をはじくくらいで魔法を信じる気にはなれない。化学でもがんばればそれくらいできそうな気がする。


 例えば電磁石とか圧縮空気とか反重力とか……

 電磁石なら頭に何か装着しないと反発しあって浮かないはずだし、圧縮空気ならすごい勢いで空気を排出してないといけないし、反重力はSFでしか存在しない。


 う~ん、やっぱりちょっと無理があるか?


 でも、実際に浮くだけじゃ実感としてあんまり不思議だとは思えないんだから仕方ない。


 ……


 それから延々と雨の中を歩いた。たぶん洞窟から出て雨が降ってくるまでと比べて倍以上歩いている気がする。

 雨宿りできる場所の当てもないので、できれば元いた洞窟に戻れたらいいなと勘で元来た道を戻っていたのだが、このぶんだとさらに見当はずれな方に歩いているに違いない。もはや仏壇に再会するのも絶望的か。

 別に再開したくもないけどさ。


 ドドドドド!!!!


 そうして歩いていると、ものすごい音が聞こえてくる。

 念のために音のする方を見に行ってみれば川が見つかった。再び水ゲットだが、もう水は十分もってるので今更いらない。いや、雨水がなくなくなったらまた入用になるから場所は覚えておいた方がいいだろうか。


 今現在川はとても危険な状態でとても近づけるものではなかった。

 茶色の水だった。そしてすごい勢いで流れている。濁流というやつである。

 この豪雨で水かさが増して氾濫一歩前といったところだろうか。


 茶色はたぶん泥かな。飲んだら絶対腹壊すだろうな。こんだけ小汚いんだから黴菌、寄生虫もいるかもしれないな……


 考えてみれば例え透き通った水が流れていたとしても、天然の水である以上黴菌や寄生虫がいる可能性はあるわけで--見た目小汚くて目に見える地雷であったのは運が良かったのかもしれない。

 飲み水は雨水の方が綺麗なのかな? などと思いつつ、これをたどっていけば人里には近ずけるんじゃないかと別の考えも浮かぶ。

 ただ今はこの濁流である。いつ氾濫するかわかったものではない。人のいる場所にたどり着けるという保証もない。ここは川とはいったん距離をとって元いた洞窟を探すのが賢明ではないだろうか?


 悩んだ末俺は川にそって歩くことにした。何の保証もなく歩き続けるのに耐えられなくなったからだ。川に沿って歩いていればとりあえず森は抜けるだろう。

 もう森の中は嫌だ。

 目的がころころ変わりまくって迷走してるが、仕方ないよね人間だもの……て、身分証だと俺は忘れられた神なんだっけ。

 だけど贔屓目に見なくても遭難してるこの状況で目的がころころ変わるのは危ない気がする。

 ということはやっぱり最初の洞窟目指したほうがよかったのかな?

 でも今更遅い。道はもう完全にわからない。まだもと来た道を何度もループしないだけ川にそって歩いたほうがいいはず。よし。俺は間違ってない。たぶん……

 迷い考えながら歩き続ける。


 川から少し距離を取りつつ歩いていると、突如背後から何者かに突き飛ばされた。

 泥水の中に体を突っ込む。危うく川に転げ落ちそうになる。

 

 あぶねーよ!なにしやがる!


 俺を突き飛ばした奴の存在を確認する。


 野犬に……いや、狼に囲まれていた。

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