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今日・・・まったく散々な1日だった。



---文月 京香の今日---



あぁ。もうなんて人が転入して来たのかしら!

去年までは皆しっかりしていてとても安心して見ていられる子達だったのに・・・阿久津秋人。まさか3日と経たずに問題を起してくれるなんて。


中等部で騒ぎが起こってると思ったら、阿久津君が中等部2年を投げ飛ばしたと・・・貴方、高校2年にもなって恥ずかしくないのかしら。

大体、なんで阿久津君は中学生に絡んじゃうかな?

「から!先生!!あのゴミは瀬奈に良からぬ考えを!」

だから良からぬ考え方をしているのは貴方です!!第一に後輩の中学生をゴミ呼ばわりするんじゃ有りません!

まったく・・・・・・怪我しなかったから良いようなものの、中学生を投げ飛ばして高笑いする高校生が在りますか。

「ふん!所詮その程度の男なのですよ。常在戦場の心得も無い奴に瀬奈を任せるなど」

どこの世界の話よ!ココは戦場でも無ければ無法地帯でも無いの!!

「しかし!男は一歩外に出れば777人は敵が居ると」

どれだけ敵を作って来たのよ貴方わ!

「いやですね~先生。俺に敵など居ませんよ。わはははは!!」

うわ~。この子殴りたいわね~。って教師が暴力はいけないわよね・・・・我慢しよう・・・出来るだけ・・・代わりに殴ってくれて有難う、夏希さん。

まぁ今回は木村君にも怪我は無いみたいだし大目に見ますけど、今後はキチンと

「分かってます。キチンとトドメを」

私・・・・・・・初めて生徒を叩きました。くすん。

栗谷さんも夏希さんもとても優秀な子達なのに・・・あんまり2人に迷惑掛けるんじゃありませんよ。

「そうなんですよ先生。あ!でも瀬奈は勉強が優秀なだけじゃなくてですね?優しいと言うか素直と言うか心が綺麗と言うか、あ、そうそう!この前家族で遊園地に行った時なんですけ」

駄目だこの子、なんとかしないと。

およそ15分に(わた)り栗谷瀬奈ヒストリーを語りだした阿久津君。ミニアルバムを取り出した所で夏希さんが強制終了させてくれたけど・・・私この子の担任務まるかしら。


はぁ。明日は何も起きませんように。

特に彼が何も起こしません様に・・・・・・くすん。



◇ ◇ ◇



---栗谷 瀬奈の今日---



もう秋兄にはビックリしたよ。いきなり木村君を投げ飛ばすんだもん。

秋兄がそんなにバスケが嫌いなんて知らなかったよ。何か嫌な思い出でも有るんだろうか?


でも一緒に帰ろうって教室まで迎えに来てくれて嬉しかったな。やっぱり良いよね、同じ学校って!結局は帰れなかったけど。

「お~い!瀬奈ーー!!」って来た時は驚いた。

一美や久遠さん、梓は久しぶりかな。秋兄も彼女達には良くしてくれてる。

「あ~!秋人!」

「お久しぶりです」

「こんにちわ」

3人とも秋兄の事は好きだって言ってくれてる。私も嬉しいんだ。

「おっ?3人共久しぶりだね。もっとウチに遊びに来ればいいのに」

一美達が遊びに来ると秋兄大騒ぎするんだよね。オヤツでもジュースでも食べ飲み放題だし。ウチでお泊り会した時なんて七面鳥が夕食に出た。ちょっとはしゃぎ過ぎで恥ずかしかったな。

でも3人の事、秋兄も気に良いってくれてるし、よく話もする。結構楽しそう。

「へ~。梓ちゃんはまた背が伸びたね」

「・・・163」

「うし!まだ勝ってるな俺!久遠さんはピアノ、最近調子は?」

「まぁまぁです。また一緒に弾いて下さい」

「う~ん。俺のは母さんから学んだ程度の独学だからな~。もう君には付いていけないかも知れ「秋人!」っておい一美!」

一美は横から秋兄に飛びついてた。秋兄に懐いてるんだよね、一美は。

「秋人もサッカー部入ろうよ!せっかく同じ黎明なんだしさ!」

「おいおい。俺は部活はやんねえって。バイトだってあるし忙しいの」

「え~~。つまんないよ~~」

ホント、一美と秋兄は兄妹みたい。ちょっと妬けるぞ?2人共。

で、ココまでは良かったんだけどな~・・・木村君が

「あ、初めましてお兄さん。僕、木村一志って言「誰が貴様の兄さんだ!」い?」

ちょ!秋兄!

まさか秋兄がいきなり木村君の胸倉を掴むとは思わなかった。ビックリだ。一美は笑ってるし梓は呆れてた。久遠さんは「あらあら」って楽しそう。誰か止めてよ!

取り合えず離してって頼んだんだけど

「いいか瀬奈。古来より木村の姓の人間にはロクな人間は居ないんだ。確か去年の連続殺人犯も一昨年の銀行強盗も、その前の駄菓子屋の万引きもみ~~んな木村家の人間なんだ!こんな犯罪一家と仲良くするんじゃない瀬奈!」

いやいや。流石にソレは無いと思うよ秋兄。木村君も固まってる。ゴメンね。

でもいくら秋兄でも私の友達にソレは無いと思うな。少しだけ怒った。

「うっ・・・そうだな。俺とした事が済まなかったね木村君」

「い、いいえ、別に気にしてませんから」

やっぱり木村君って良い人だよね。話しやすい。私の男子の友達なんて木村君位だし。

「君は何かやってるのかい?」

そうそう!木村君はね

「はい!僕はバスケ部に」

凄いんだよ!2年でレギュラーなん「語るに堕ちたな木村!」今日の秋兄は変だ。なんで?

「ほら見ろ瀬奈!バスケットなんて不良でロクデナシな犯罪者予備軍のやる暴走行為じゃないか!貴様よくもヌケヌケと!!」

「あの・・・私、女子バスケ」

そうだよね梓。やっぱり今日の秋兄は変だ。まず日本中の木村家とバスケ選手に謝るべきだと思う。

「な!!!貴様!梓まで毒牙に掛ける積りか!!!」

ちょっと本気で止めた。一美、笑い過ぎだから。

「わ、分かった・・・俺が悪かった・・・・・・済まなかったな。木村君」

漸く落ち着いてくれた秋兄は握手を求めてくれて、木村君も応じてくれたのに・・・・・・ホントにどうしたの?秋兄。

「ぬるいわ!!」って瞬間で投げ飛ばしちゃった。もういやーーー!!

「駄目だ駄目だ!この程度の攻撃にも対処出来ない様ではこの戦国の世で瀬奈を護っていける訳無いだろうが!このウツケ者ギャ「ウツケはアンタだ!!」ン!」

秋兄の背後に夏姉が居た。でも夏姉・・・背後から椅子で思い切り殴るのは危ないと思う。

秋兄のクラスの先生も来て、秋兄は夏姉と先生に連れて行かれた。一緒に帰ろうと思ってたのに「瀬奈は友達と帰りなさい。このバカには少し話が有るから」夏姉のあの笑顔は怒ってる時だ。くわばらくわばら。

夜、お家で秋兄は夏姉に「アンタは暫く瀬奈の教室には立ち入り禁止!」って厳命されてた。

良いよね秋兄。秋兄が来れない分、私が行くからさ。って

「瀬奈も学校ではあんまり秋人の教室に行かない事。コレは罰なんだから、良いわね」


ぶ~~。つまんないの。



◇ ◇ ◇



---一之瀬 美香の今日---



なんか今日は驚いた。って言うか・・・あれって確かに阿久津君・・・だよね?

この前転入して来た新しいクラスメイト。なんだけど・・・私は少し困ってしまう。


帰り道に香織と少し寄り道して、別れての帰りに変な人達に絡まれた。いや、まぁ変って言うか、恐い人達なんだけど

「君カワイ~ね~。それって黎明の制服っしょ?」

「いいねぇお嬢様」

「俺等と遊びい行かね?ってか行くっかないっしょ!」

うん。分かり易過ぎる位に絡まれた。そりゃ、偶にはナンパとかされた事も有るけど、今日の彼等はそう言うのとは少し違って、強引で恐かった。

結局腕掴まれたり肩掴まれて、路地まで引っ張ってかれて・・・声を出しても誰も助けてくれなくて

「ああ?うっせーな!黙って来いよテメェ!」

本当にもう駄目だと思った。コレから先の自分を考えたくなかった・・・そんな時に、彼等の1人が飛んでった。本当に文字通りに飛んで行った。アレって大丈夫なんだろうか?

「テメエ等・・・・・・粉々にしてやらああああ!!!!!」

え・・・・・・・・・・と。アレってやっぱり助けてくれたんだよ・・・ね?

阿久津君だとは途中で気付いたんだけど、ちょっと声は掛けれなかった。って言うか、彼って凄い強いの!

相手は6、あぁ1人は真っ先に吹っ飛んで行ったから5人か。でも全く問題無いって言うか、寧ろ一方的に彼等を叩き伏せてた。

ちょっと。いや、可也格好良い!

でもさ~

「テメェにゃ関係ねぇだろうが!」って言われて阿久津君が・・・いや、でもアレってどう受け取れば

「あぁ?アホか貴様。俺の大事な女(●●●●●●)が危ねぇ時に、俺以外の誰に関係有るってんだド阿呆!!」

そう言って最後の1人を殴った。


ソレって・・・阿久津君が・・・・・・私を?


でもそんなに、と言うより全く話した事無いんだけど。

全員倒して振り返った彼は私と目が合うと、赤くなって走り去った。もう!お礼もキチンと言えなかったじゃない。

やっぱ・・・照れてたよね。


どうしよう。私まだ彼の事をよく知らない。でも・・・・・・


ちょっと。ドキドキした。



◇ ◇ ◇



---木村一志の今日---



は~・・・あの人が栗谷のお兄さんか~・・・やっぱアレは嫌われてるな。俺。

ってか、かなり無茶苦茶な人じゃないか?まさかアソコまでとは・・・まだ痛いや、背中。

参ったな~。あれじゃあ気に入って貰えるなんてかなり難しいよな。でもな~


「ゴメンね木村君。秋兄もホントは悪い人じゃないんだよ。今日はちょっと・・・なんか悪い物でも食べたのかも知れなくて。ホントゴメン!」

お兄さんが連行された後に一生懸命謝ってたしな。やっぱ栗谷はお兄さんの事好きなんだよな。

久遠達も言ってたけど、血は繋がってないけど、その分本当に仲の良い家族だって言ってたし・・・参ったな~。

「まぁ気にしない気にしない。秋人ってば瀬奈に近付く男には子供だろうとお年寄りだろうと容赦しない人だから」

「そう言えば一美ちゃんは小等部から一緒でしたっけ」

「・・・私も」

そうだよな。俺と久遠は中等からだもんな。沢渡|(一美)と相馬|(梓)は昔から知ってるのか。

「そ!秋人ってばよく小等部に来て騒いでたもん。知らなかった?」

う~ん。そういえば出入り禁止になった生徒の関係者が居たって話を聞いた事が・・・

「それ・・・秋人兄さん・・・」

ちょっと頷けるな。

なんでも当時中学生だったお兄さんは、授業参観とか発表会とかには必ず顔を出してたらしい。その為になら自分の学校だろうと試験だろうと平気で休んでたって話だ。ちょっと皆に聞いてみたら結構あの人の事知ってる人は多かった。でも・・・

「秋人さんは女子生徒には人気有りましたけど、男子生徒には恐がられてましたから。ほら?昔から瀬奈ちゃんて人気有りましたし、秋人さんはあの通りの人でしたから。色々と」

その頃に会わなくて本当に良かった。でも今なら・・・俺だって部活で散々しごかれてるんだ。コレ位でへこたれるかってんだ!

「ま、精々頑張れ青少年!」

「陰ながら応援しますから」

「・・・骨は拾う・・・」

くぅぅ。こいつ等知っててからかってるな。

良いさ!障害が有る程に燃えるってもんだ!

俺だって本気で栗谷を好きなんだ!お兄さんなんかに負けて堪るか!!



◇ ◇ ◇



---阿久津 夏希の今日---



相変わらずの馬鹿者だな秋人は。早速問題を起すとは。

第一、瀬奈にも男子の友達だって居るだ「そのゆとり教育の姿勢が昨今の犯罪の低年齢化を引き起こしてるんだ!」いや、お前が引き起こした暴走の方が問題だ。

さした理由も無く中2の男の子に乱暴をはたらく高2男子。新学期早々に問題を起こすとは良い度胸だなバカ()

「ふん!不埒者に正義の鉄槌を下しギャン!」やかましい不埒者!

全く困った奴だ。


せっかく今日こそ一緒に帰ろうと思ったのに

「あ、秋人ならさっき妹を迎えに行くって出てきましたけど」ってまた遅れたの?ってか秋人は早過ぎなのよね。第一今日は瀬奈も部活・・・秋人ならソレ位平気で待てそうね。

でも追って正解だったわね。まさか男子生徒をぶん投げてるのを目撃する事になるとは・・・もうちょっと硬い椅子で殴りたかった。

でもおかしいわね?

職員室で説教して、私は先生とまだ話が有ったから先に帰したのに、なんでアンタの方が帰り遅かったのかしら?

「?あぁ。夕飯の材料買って来たからな。なんか変な騒ぎにも巻き込まれた、って言うか、混ざって来たって言うか・・・な」

?なにやら歯切れの悪い事を・・・秋人。あんたまたどっかで問題起こしたんじゃないでしょうね。

「いや。変なアホに絡まれてる人を助けて来ただけだ」

あちゃ。それじゃあ・・・・・・参考までに、その変なアホはどうしたのかしら?

「知らん。寝てた」

もう良いわ。おやすみなさい。


ホント。無茶する子だこと。あんまり心配させないでよね。秋人。



◇ ◇ ◇



---阿久津 秋人の今日---



まったく散々な1日だった。今日は厄日だな。

しかし・・・奴が木村か。夏希の邪魔が無ければトドメを刺せたものを。思い返すも苦々しい。

第一、瀬奈もバスケ部だからって気を許し過ぎだ。いかんいかん!ここは俺がしっかりせねば。でも・・・


「もう!いい加減にしてよ秋兄!それ以上酷い事言ったら一晩口利いてあげないから!」

・・・・・・っくは!思い出しただけで意識が遠のいたな。

だから言わないで投げに変えたのに、今度は夏希と先生に絞られた。何なんだ今日は!

でもまぁ瀬奈の機嫌も直ってくれて良かった良かった。特大プリンを買って来たかいがあったと言うものだ。

でも・・・いや、アレは流石に不味かったな。夏希には上手く誤魔化したが・・・後で問題にならなければいいが。

変だよな~。買い物して外に出たら誰かが話してて。

「ちょっと!あれ黎明学園の生徒じゃない?」

「ねぇ、警察呼んだ方が・・・」

何かと思ったら、斜め向いのビルの隙間から声が聞こえた。まぁ物騒な世の中だ。女の子が絡まれてる雰囲気を受けたんだけど、流石にこれ以上の問題事は不味いしな。警察呼ぶとか言ってるし良いか。と一瞬考えてたら・・・変だよな~。確かに


瀬奈(●●)!黙って来いよテメェ(●●●)!」


いやいやいやいや・・・・・・・・・本気で爆笑しちまったぜ?

黎明学園の制服に瀬奈だろ?それだけでも耳はダンボだってのに・・・黙って来いよテメェだもんな~。久々にキたね?

行けば見るからに頭の軽そうなボケが6人。取り合えず視界の邪魔だから1人は問答無用で蹴り飛ばしたし、5人は問答無用で殴り飛ばした。

おまけに「テメェにゃ関係ねぇだろうが!」と来た。取り合えずふざけた事は2度とぬかせない様に、前歯も奥歯も粉々にしてやったけど・・・・・・不味いよな~。もしかしたらアレって知り合いだったんじゃないか?だって瀬奈じゃなかったし。

でもバレて無いよな?俺だって。

「あの・・・・・・どうして?・・・・・・」

見たら全然違う女子だった・・・コレってまさかの人違いか!で勘違いか?まさか友達同士のちょっとした仲違い・・・・・・いや、大丈夫!最近は差し歯も結構安くて良い物も有るし、もしかしたら入れ歯になるかも知れないけど、ほら!2度と虫歯に成らないと思えばソレはソレで得したと言うか・・・なんて言える訳ねえじゃん!

まさか本当に俺には関係無かったなんて!こんなの夏希に言える訳ねぇ!

でもあの女子・・・どっかで見た事有るんだけどな~・・・まぁ黎明の女子に知り合いなんて瀬奈の友達しか居ないしな。クラスの女子だってまだ殆んど知らない奴ばっかだし。

スグに走って逃げたから俺だとはバレて無い筈!バレて無いと言ってくれ!!


あぁ、今日はバイトの気分じゃないな。さっさと寝よう。


明日、バレていません様に・・・







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