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火蓮の魔法

「しかし、火蓮が魔法を授かってるなんてね…魔法なんていつもらってたの??共有した記憶にはなかったけど。」

「君と『2つの魂』で夜空の空間から出る直前神様から呼び止められたんだ。私のことを気に入ってるから君にも魔法を授けるってね」

「そういうことか、あそこは時間の流れとか関係ないからね。確かに魔法を授かる時間はあるね。」


 会話していると、人気のない図書館の裏の森についた。


「ここでいいかい火蓮?」

「ああ、十分だ」

「それで、どんな魔法なの早く見せてよ!!火蓮!!」

 流石に15歳の少年だ。元々明るい性格なのもありその目は宝石のようにキラキラしている。27歳の私には眩しいな…

「ふっふ~ん、そこまで言うならしょうがないな~サムエル少年。一旦私が魔法を使用するから体を交代してくれたまえ」

 私もなんだか楽しくなってノッてしまう。

 そして、サムエルは私と体を交換した。ちなみに意識の交換の主導権はサムエルの体を動かしている方にある。私はサムエルの体を得る。

「早く、早く、早く!」

「分かった今見せるよ」

 そうして私は、黒光りするあるものを顕現させた。


 それを見てサムエルは少し驚愕し、恐れをなした。

「それは、、、、火蓮。君の命を奪ったものだったよね。」

「そう、魔法が発達したこの国にはない武器。銃だ。『銃の顕現』これが私の魔法だ」

「それを見て…火蓮は大丈夫なの?」

 サムエルは心配していた。記憶を共有しているため当然だ。カウンセラーの私が心配されるとは皮肉だな。

「サムエル。私は大丈夫だよ。確かに忌々しい道具だ。殺すことに特化した道具。あっちの世界では『悪魔の発明』なんて呼ばれていたよ。でも、あくまで大事なのは使う人間さ。君と私なら正しく使える」

「そう、、ならよかった、君は神様に銃を望んだの??」

「銃そのものを望んだわけじゃない、、、私は『力』を望んだんだ。私の中で力の象徴は自分が殺されるのに使われた銃だったんだろうな。対話で人を救う心理士に対話とは真逆の解決法を提示する銃…こんなものを授けるのだから神様は意地悪だよな」

「……ふふっ、」

 火蓮のような言い回しをする人間はサムエルの周りには今までいなかったのでサムエルは新鮮で面白いと感じていた。


「ドン」


 ふと俺の体を使って火蓮が木に向かってその武器を放った。

 すさまじい威力。木に金属の塊がめり込んでいた。

「この武器はこんな風に非常に高い攻撃力を持つ。人間を指1本で簡単に殺せる。この武器はな…メンタルの安定しないものが気軽に持っていいものではないんだ。簡単に自分をも殺せる。今の君になら打ち明けても問題ないと判断した」

 確かになぜ今魔法を打ち明けたのだろうと疑問に感じていた。

 俺への気遣いだったんだ。メンタルが安定しない俺に銃をあたえたら…。

 もしもの可能性を考えたのだろう。


「ほかにも色々な銃が出せる。小さなハンドガンから、大きな威力のありそうなでかい銃までな。私が地球で見て来たイメージできるものに限られるが」

 火蓮は次々銃を出しては消していた。

「弾を込める必要はない。弾も顕現できるが装填済みの新品の銃を次々出す方が早い」

 火蓮も慣れていないのかおぼつかないようだった

 けど、この魔法なら

「この魔法なら実績を作れそうだね!」

「そうだろう?さすが私だ!褒めていいぞ」

「いよっ火蓮様!!万歳」


「だが、問題もある。」

「問題?」

「当然、王になるには実績は必要だ『銃の顕現』は場合によっては軍隊まで作れる強大な魔法だと思う。」

 軍隊。そう言われて始めてこの魔法の真の恐ろしさに気付く。

「しかし、私の戸籍謄本には『2つの魂』の方が記載されてる。当然「銃の顕現」については知られていない」

 ハッとした。

「だとすると、確かにまずいね。」

「ああ、まずい。少なくとも信頼が必要な公的機関である王都や都市の兵士、大学の学者には戸籍謄本の魔法と実際に使う魔法が合ってるかがその職に就くときに確認される。『2つの魂』と『銃の顕現』はあまりにかけ離れた魔法だ。魔法神託の儀の時のようにごまかすことは難しい。少なくともチートで無双なんかしたら即捕縛。魔法の偽証は300年前のダビデ王の即位からかなり重い罪に処される。王になるための実績どころか犯罪者としての実績をつくるのに一直線だ」

 だとすると。可能性は一つしか残されていなかった


「「冒険者ギルド」」


 2人同時にその単語を発した。

「ああ、冒険者ギルドは魔法の確認を敢えてしないんだろう?あそこは実力のみ重宝する。」

「うん、俺も冒険者ギルドがいいと思う。世の中には魔法や出自を公表したくない者もいるからね。例えば『毒』や『洗脳』の魔法を使える者は公的機関に採用されない。だけど、実力は確かだからモンスター退治もできるし、魔法犯罪組織にも対抗できる。武力となる魔法をもたない人々のために実際役に立ってる組織だね。実際地方では冒険者ギルドの方が公的な軍隊よりも地域に根ざしてるから、地域住民に感謝され重宝されているよ。」

「ああ、ギルドなら魔法を明かさないのも普通だ。しかも実績を作れる。E~AそしてSのランク制。特別実績を積み重ねた冒険者はSランク冒険者と言われ名声を得る。」

 私もしばらくこの世界にいたがSランク冒険者は地球でいうスター級の有名人だ。スターのプロ野球選手や有名女優に近い。多くの者の羨望を集める存在だ。

「Sランクまで行けば、私は十分実績になると思う。実際過去にはSランク冒険者が王になった者もいた。現地人としてどうだ?サムエル」

「それしかないね。ふふっ『2つの魂』が天才になる魔法と君はいってたけどあながち間違いではないね」

「とうぜんであ~る。私は天才だからな」

 普段はクールで頭が回る火蓮が冗談を言うのはギャップがあって面白く、かわいかった。そう思ってるのがバレると絶対いじられるので話を続ける。

「でも、名声を上げれば上げるほど魔法が国にバレるリスクが高いと思うけど…」

「そこがネックなんだよな、、、」

 当然火蓮もその考えには至っていた。だが解決方法が思いつかない。冒険者をやっていく中で考えるしかないのか…。それかやはり冒険者はやめるべきか…


「そうだ!!パーティを作ろう!!」

「パーティ?」

「そうパーティだよ、仲間!!仲間を作れば、仲間がモンスターを倒すとかをやったことにして俺たちはブレイン役として徹したってことにすればいいんだよ。」

「ふむ。」

「それに火蓮。この国は魔法の国だよ。僕だとわからなくする「変身」みたいな魔法を持ってる人もいるかもしれないし、仲間の魔法によっては君と俺を分離して幽体じゃなく肉体をもって火蓮自身が活動できるかもしれない。そうすればバレるも何もないでしょ?」

「!!」

 逆転の発想だった。火蓮はどう『銃の顕現』を隠して成り上がるかを考えていた。

 だが、現地人であり魔法が当たり前の価値観のサムエルは魔法を前提に考える。魔法によって隠さなくてもいい状況にする。無限の可能性が考えられる策だ。なにより隠し続けるよりずっと現実的だった。

「いいじゃないか相棒!君も天才だ」本心から感心した。

「俺だってやるんだぜ火蓮!」

 ガッツポーズした。素直でかわいいな。

「だが助かったのは本当だ。よし、仲間を作る前提で今度冒険者ギルドへ向かおう。今日は一旦帰るか。体を元に戻そう」

「火蓮、、、戻る前に天才的なアイデアを出した俺に褒美が欲しいんだけど。。。」

「褒美?珍しいな言ってみろ」

「火蓮のおっぱい触っていい!?」


 体の入れ替えの主導権を持つ私は速攻で体を入れ替えた。

 訂正、、、、、天才ではなく15歳のガキだ。

 だがメンタルが回復してよかったよ。

 火蓮は心のなかで1人呟いた。


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