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溶けていく  作者: 木村紫
6/10

6話

 真新しいガラス戸の冷蔵庫を覗くと、ブリトーっぽいサンドイッチやチーズケーキ、キャラメルプリンなどが1人前サイズにパッケージングされて並んでいる。

 その隣には缶ジュースやビールも冷えている。


「ハイローラーはさっき小分けしたところだから今が食べごろですよ。ハイローラーのハイはね、アルメニア語でアルメニアのっていう意味で、アルメニア風ロールってことみたい。高い方のhighって思ってる人多いんじゃないかしらね?少なくとも僕はそうでした。もうやだわー、普通に話そうと思うんだけどどうしても出ちゃうのよねぇ。去年までゲイバーを営んでいたものですから。申し遅れましたってマコトっていいます。マコちゃんって呼んでね親しげに。バーはねぇ肝臓壊しちゃって畳んじゃったのよーまぁもともとそんなに儲かってもいなかったし年も年ですから潮時っていうかねーでもお気になさらず。あ、ドクターペッパーお好き?いいわよねーちょっとクセがあって。僕も大好きだけど、最近は健康のためにドクターペッパーダイエットにしてるの。カロリーゼロのやつがあるのよーいいでしょ?そうそうその隣のやつ。お嬢もそれにする?あなたよく見たら渋いTシャツ着てるじゃない似合ってるわよ。レゲエの?映画?わかるわかるージャマイカのね、いいわよねーてよく知りませんけど適当に言ってみましたフフフ。でも似合ってるのはほんとよ。あ、カロリーゼロのジンジャーエールもあるわよ、でもドクターペッパーの方がいいのね失礼いたしました。ありがとうございまーすお持ち帰りにします?それともここで食べる?ここだけの話この店奥にイートインもあるのよ。キャラメルプリンとかチーズケーキとかどんな味かなって思うじゃない?おいしかったら買うんだけどって思うじゃない?小皿で注文もできるから、食べてみておいしかったらテイクアウトもできるわけ。いいでしょ?もうちょっとしたらライブスペースも作ってイベントとかもしたいなと思ってるのよ。夜はバーにしたらコストコとおかまの小分けバーになっちゃうわねー」


 おもちゃの機関銃のように流れるトークも、マコちゃんのちょっとシルキーな酒焼けしたっぽい低音と絶妙なテンポのせいで心地良く、首振り扇風機から送られる風のように気持ちを軽くしてくれる。

 外に出れば再び蝉とビームを浴びることになるのだから、もう少しチルアウトしてから帰ろうか。

 お嬢食べていきなさいよとマコちゃんに促されるままに、レジの奥にある細い通路を抜けた先にあるカウンターに腰をかけた。

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