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溶けていく  作者: 木村紫
4/10

4話

 Tシャツには人影が9人横並びに描かれた上に手書きのような文字で“ROCKERS”とロゴが入っている。

「ロッカーズって書いてあるけど、これはレゲエなの。そういう名前の映画。グレゴリーアイザックスとかジェイコブミラーが出てる伝説の映画だよ」

とタカオが教えてくれてから、何となく私のお気に入りになっている。

 空の海に泳ぐような背の高い草をかき分けていつもの曲がり道に出ようとしたら、水道工事か何かで通行止めになっていた。「駅まではう回してください」と書かれた地図入りの看板が立ててある。

 ここに遊びに来るのは5回目くらいだけど、駅と家との往復ばかりでこの辺りの土地勘はあまりない。

 地図には「コスト」「やすらぎ館」みたいな、いかにも地元っぽいお店の名前が目印として書かれてあり、それがどの辺りなのか検討もつかない。

 正午に近い真夏の空からは迂回できないビームが絶え間なく発射されていて、じっとしていると腕や頭がちりちりと蝕まれる。

 帽子も借りてくればよかったと少し後悔する気持ちが家に戻りたくさせたけど、この小さな冒険を成功させて、タカオが帰ったら子どもみたいに得意げになって報告しようという思いつきと空腹に背中を押されて、地図が示す方向へと進んでみることにした。

 蝉の鳴き声のリズムに合わせてアールオー、シーケー、イーアールエス、ロッカーズと口ずさみながら歩くと、ちょっとくらい迷っても何とかなるような気がしてくる。

 蝉とビームとロッカーズでやや酩酊しながら駅からの曲がり道より急なカーブを描く迂回路を曲がり切ると、唐突な感じでお店と看板が目の前に現れた。

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