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修行します。2

朝御飯は食べて、食器を片付ける。

老人は、食器を洗う時も魔法を使っている。



「お主は世間を知らない。というよりも、この世界について知らないようじゃな」



この世界に転生してから、一日もたっていない。そう思われて然るべきだ。

正直に話すべきだろうか。話したところで、信じてもらえるのだろうか。



「理由はあえて聞かないが、お主はもっと知るべきじゃ」



本棚から一冊の本を出してきた。

開くと、中に一枚の紙が挟んである。

どうやら地図のようだ。真ん中に丸い陸があり、それを囲むように四つの大陸がある。



「これは見たことあるかのお」



その質問に首を横に振る。



「そうか。これはアクアリアの地図じゃ」



方角の概念や地図の見方は似ている。

ただ、地図の上下左右には、はっきりとした端が無い。



「見ての通り、この世界のほとんどは海や湖じゃ。海の中には危険な生物が沢山おる。東西南北が途中までなのは、そのためじゃ」



それから、古くから伝わる四頭の古代竜の話や各国の対立関係についてなど、様々な歴史的背景を教えてもらった。



「さて、この場所はこの地図のどこにあるかわかるかのお」



急な質問に戸惑った。

この家のまわりは木ばかりだ。遠くに見えるもくもくと煙をあげる活火山くらいしか……。



「そうだ。山だ。この地図に大きな山は四つある。その中で、まわりに森があるのは二つ」



候補を二つまで絞ったが、そこからがわからない。首を傾げていると、きれいな円形の湖が目に入る。

そうだ。僕は湖で発見されたんだ。



「近くに湖があるからこの辺だ」



大体の位置を指差すと、老人はにこやかに笑った。



「面白い探し方じゃのお」


「他に探し方が?」



老人は、テーブルの端に置いてあったコインを手にした。そして、それを指で上に弾いた。



「この地図はこう使うのじゃ」



コインはコロコロと転がって、地図上のある一点で止まった。それは、僕が指を指した場所とほとんど一緒だ。



「地図の使い方を知らない人に会ったのは初めてじゃ。この世界では、子供の頃に地図の見方を習うものじゃからのお」



苦笑いを浮かべると、地図を本に挟んでしまった。



「昔の地図は、また違う使い方をするんじゃが、それは後に教えるとするかのお」



その方法で地図を使わせてくれないのかと思いつつも、感謝を伝えた。



「さて、次は魔法の練習をするかのお」



僕は、魔法に対しての期待と不安を抱えながら、老人の後ろに着いていった。

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