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人生最後の日
それはよく晴れた夏の日のことだった。
田んぼの片隅で釣りの餌を探している時だった。
雲が太陽を隠して、雨が降りだして来た。
傘を持っていなかった僕らは、雨宿りが出来る場所を探した。
「ちょっと待って」
僕は俊足をとばして、他の人を待たずに走った。
それが神様を怒らせたのだろうか。
ピカッと光ったと同時に、体に強い衝撃を受けた。
雷を受けたのだと理解したのは、話し声が聞こえてからだった。
「おいっ!大丈夫か?」
かけられた声に返事も出来ない。視界は眩んでいった。
僕は薄れゆく意識の中で、自分は死ぬんだと確信した。
「ごめん。」
考える力は残っておらず、僕は人生最後の言葉としてその言葉を選んでしまった。