表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/42

エピローグ

 そして、物語は続いていく。


 これは、優しい物語。

 これは、悲しかった物語。


 物語は、終わらない。


 魔女たちの物語。


 紫苑と別れ、私達は一時綱に戻り白亜達と戻ってから彩に戻ってきた。

 シオンは事後処理やら仕事で針に残った。



 そして、ある日事件は起きた。



 いつも通り、私は自分のベッドから起きる。なんか、妙に小さい気がする。服もキツイ。太ったかな、といやな考えが浮かんだ。


 なんか、視界が狭いと思ったら、髪がめちゃくちゃ伸びている。


 慌てて鏡を見ようと立ち上がると、バランスが上手くとれず転んでしまった。


 そして、鏡には知らない女の人が写っていた。


「き…きゃあああ!!」


 思わず、叫んでしまって後悔した。


「母さん!どうしたの!?」

「大ばあちゃん、平気?」


 案の定、2人が入って固まっている。


「…おはよう。茶希、朱里」


「大ばあちゃん、でかいね」


「…そうね」


 先に復活したのは朱里だった。彼のマイペースのおかげで、私も少なからず落ち着いた。


「母さん?なんで!?なんでいきなり成長してるのさ!」


「うん。母さんも知りたいな」


 それからはもう、大変だった。医者に連れてかれて、針で全身チェックまでされた。


 検査結果は異常なし。



 結局、翠によれば


「ランフォード家は、彩でも特殊な刻の精霊の子孫であると言われています。紅様の心が解放されたことで、止まった刻が動き出したのではないでしょうか」


 とのことだった。定期的に検査したが、普通に成長しているとのこと。普通に生きていけることが、すごく嬉しかった。


 白亜は次の王として、以前よりずっと熱心に勉強するようになった。

 ロザリアという明確な同じ道を歩む、尊敬できる相手を見つけたからだろうか。手紙でやりとりをしている。




 茶希は、彩に残らず、ロザリアの所で彼女を手伝う道を選んだ。茶希が学者になった半分は、私を治すためだったらしい。また、研究はいつでも出来るからと、今の仕事を引き継いだら、綱に行く予定だ。

『王子さまのが、白亜をお嫁さんに貰えるかもしれないしね』

と言ったら、真っ赤になった。可愛い息子の成長に、実は母はちょっと寂しかったりする。内緒だけど。




 朱里は、たまに親善大使として彩と綱を行き来している。本人曰く、

『ローズちゃんに会えるの、嬉しい、けど、大変』

らしい。なんでもロザリア陛下からご指名されているらしい。私はコッソリ陛下を応援していたりする。可愛い娘は大歓迎だ。




 朱花は、相変わらず夕海と幸せに暮らしている。なんでも子供が出来たらしい。2人の子なら、きっと可愛いと思う。今から、楽しみで仕方ない。



 そして、私は相変わらず城に勤めている。シオンとは、手紙でやりとりをしている。


 あの約束は、まだ先にしてもらった。まだ子供たちがいるし。この国でしたいことが沢山ある。


 それが終わったなら、きっと会いに行こう。ずっと、彼と添い遂げよう。


 限りある時間を、最後まで。




 もし、貴方に大切な人がいたなら、けしてその手を離さないでほしい。


 もう誰も、私みたいにならないでほしい。


 後悔しないよう、毎日を生きてください。



 私は今、物語を綴っている。




 それは、悲しみから始まった。


 だけど、けして不幸ではない。

 きっと、幸せな、物語。


 これからも、続いていく。

 終わらない、私達の物語。



『魔女たちの物語』



 おしまい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ