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閑話

 少女達の内緒話


 紅達がシリアス展開な頃、白亜と朱花は盛り上がっていた……といっても一方的にだが。

 朱花は朱里と茶希が無事に部屋に帰ったらしい事を白亜に告げた。茶希が部屋から出ていった事を、白亜は心配していたから。


 白亜は朱花の言葉に、少なからず安堵した。だからだろうか。口が滑った。


「それにしても、風の精霊って便利よね。どこで知り合ったんだっけ?」


 白亜は軽い気持ちで言ったこのひとことで、朱花への認識が変わる事になる。


「ダーリンと私のなれ初めですわね?」


 キラキラ。


「朱花…?」


 既に朱花は目がおかしい。実は白亜は朱花とコイバナなどは、したことが無かった。

 白亜の想い人は茶希である。幼なじみという関係が気恥ずかしく、また城にいる時は仕事中で邪魔をしては悪いと、白亜はそういった話題をこれまで避けていた。

 今回話す気になったのは、城から離れ、2人だけで過ごしたからである。


「うふ、うふふ」


 故に、この状態の朱花を見るのは初めてである。

 ちなみに、もう兵士の間では病気みたいなものだと受容されている。


「私はなんて幸せなのでしょう。あんなに可愛いダーリンに出会い、結婚できるなんて…」


「朱花…」


 もはや白亜の声が届いているかも怪しい。白亜は朱花を見て、恋は盲目ってこんな感じなのかしら、とずれた事を考えていた。


「よっぽど好きなのね」


 そこまで想える相手に出会ったことは、やはり幸運であろう。

 白亜はふと、水都を思い出した。男女の違いはあるが、大切な特別の相手。

 思い出すと、ふと笑っている自分に気づく。


「はい。愛してますわ」


 はっきり迷いなく、心から幸せそうに笑う朱花は綺麗だった。


「いいな、私もそんな恋がしたい」


「ふふ、お相手はもういるでしょう。私達だって、最初はすれ違いでしたのよ」


 朱花は話し始める。自分の大切で特別な愛する人との物語を。





 朱花の話はわかりづらいため、要約しながらの第三者目線で記録する。



 朱花は、夕暮れの海が好きだった。日常が、緩やかにオレンジ色に染まる。ほんの短い時間しか見られない、昼と夜の隙間。吹きつける、冷たい潮風。

 紅といると、どうしても考えてしまう。人の短い人生を象徴しているように、朱花には思えていた。


 朱花にはお気に入りの場所があった。


 自分以外、人は滅多に来ない場所。夕日と海が、朱花の知る限り、一番美しく見える場所。

 岬の岩山によじ登り、その日も朱花は変わらない美しい風景を眺めていた。


 朱花はこの時、13歳。既に両親を失い、紅と当時は暮らしていた。


「綺麗…」


 いつもと変わらない風景は、いつも通りに朱花を癒した。永遠には続かない夕暮れを、朱花は愛した。

 逆に、朱花が好きなものはそれだけだった。何も好きじゃない。何にも執着出来ない。双子の朱里ですら、それほど大切ではなかった。

 何にも執着出来ない自分を、朱花は出来損ないだと思っていた。


「なぁ、人間。ずっと海見てるけど、何が楽しいんだ?」


 いきなり声をかけられ、朱花は少なからず驚いた。


「は!?え?」


 間抜けな声しか出てこない。朱花は毎日この場所で海を見ていたが、他人に声をかけられたのは、これが初めてだった。

 朱花は改めて自分に声をかけた少年を見た。少年は、人間では無かった。

 少年は、何も言わず自分をみつめる朱花に、ニカッと笑った。


「なんだ、人間。お前、変なヤツだな」


 朱花は、その笑顔を見た途端、身体中に電撃が走った。激しい動悸。頬は紅潮し、ただ少年から目が離せない。


 朱花は、やっとひとこと発することが出来た。


「結婚してください」


「はぁ!?」


 今度は少年が驚愕する番だった。


 これが、朱花と夕海の、ある意味運命的な出会いだった。




 とりあえず、朱花と夕海の出会いを聞き、白亜はあんぐりと口をあけた。あいた口がふさがらないとは、正にこの事だと白亜は思った。


「出会ってすぐにプロポーズ?」


 とりあえず、最大の疑問をぶつける。


「何か喋らなければと思って、最初に出たのがそれでしたの」


 まぁ、白亜もテンパり過ぎて変なことを口走るのは解る気がした。いくらなんでもテンパり過ぎだとは思うが。


「夕海はその後、なんて言ったの?」


「バカか、お前でしたわ」


 白亜は、すっごく夕海ならば言いそうだと思った。

 実は白亜と夕海はあまり仲が良くない。

 同じ女性であるがため、朱花は白亜の護衛として同行する事が多い。夕海は、白亜を庇い朱花が怪我をしたことがあり、白亜を嫌っていた。夕海が見舞いを門前払いしたりしたため、何回か大喧嘩に発展したこともあった。


「朱花…なんでそんなに幸せそうにバカかとか言われたことを話すのよ」


 普段の冷静沈着な朱花はどこに行ってしまったのだろう。

 しかし、白亜は違和感はあるものの正直、夕海の事を幸せそうに語る朱花は嫌いではなかった。ここまで幸せになれる恋を見つけた朱花を羨ましいとも思う。


「ダーリンとの思い出は、私にとってかけがえのない宝物ですもの」


 朱花は幸せそうに語る。白亜も微笑みかえし、言った。


「それから?2人はどうしたの」


「ふふ、あのね…」


 朱花は極上の笑顔で、続きを語り始めた。


 少年は明らかに人間ではなかった。耳のかわりに生えた、白い鳥の羽根が、ピコピコと動く。


 朱花のプロポーズにかなり驚いたものの、少年は真っ赤になって反論し、飛んで行ってしまった。


「バカか、お前!」


 少年の背中を見送りながら、朱花は呟いた。


「行っちゃった…」


 それから、朱花の世界は激変した。世界が色を変えてしまったかのように美しくなった。

 朱花は毎日、同じ時間・同じ場所で少年を待った。少年がまた来るかもしれない。来ない日は、寂しいが、変わらず美しい夕暮れが慰めてくれた。


 何日も何日も通いつめ、少年はもう来ないかもしれないと思い始めたある日、


「だから、お前何してるんだよ」


 急に頭から降ってきた声に勢いよく振り向く。


「おぉ!?」


 朱花は反射的に少年を抱きしめていた。少年はいきなり抱きつかれ、びっくりしていた。


「何だよお前!マジでワケわからん!!は・な・せ!」


「嫌ですわ。また飛んで行ってしまうでしょう」


「あー!わかった!しばらく飛ばねーから、離せ」


「はい」


 アッサリ素直に解放した朱花に、少年は少なからず驚いた。


「お前、変なヤツだな」


「そうかもしれません」


 朱花はニコニコと少年の言葉に応じていた。少年と会話出来ることが幸せだった。


「お前、何しに来たんだ」


 少年の質問に、朱花は素直に答えた。


「以前は、私ここから見る夕暮れが好きで、来ていましたの。今は、貴方に会えるかと思って来ていましたの。私、夕暮れよりも貴方が好きです」


「は!?」


 少年は再び顔を真っ赤にして、朱花の後ろに座った。丁度、背中合わせになった。朱花は少年の背中に寄りかかる。少年はビクッとしたが、怒りも飛んで逃げたりもしなかった。


「ワケわからん」


 少年がボソッと呟いた。朱花はそれに答えず、ただ少年の背中に寄りかかり続けた。


 結局朱花はそのまま眠りこけてしまい、少年に自宅に送り届けてもらったらしい。何故少年が家を知っていたのかわからなかったが、朱花は、また少年と会える予感がしていた。



 朱花はそれから更に何度も何度も岬の岩山に通いつめた。


 少年はそのたびに朱花を待っていた。何か語る日もあれば、何も語らず過ごす日もあった。


 ある日、朱花は意を決して言った。


「私の名前は朱花です。あの、貴方のお名前は?」


 何日も一緒に過ごして今更だが、一度機会を逃すとなかなか言い出せなかったのだ。


「無い」


「え?」


「お前の名前は2回目に会った時にお前の母ちゃんから聞いたから、知ってる。オレは生まれてまだそんな経ってない精霊だから、名前なんか無い」


 少年は拗ねたような口調で言った。朱花はちょっと考えて、少年に提案した。


「ゆうみ。夕の海で夕海。貴方も、この景色が好きなのでしょう?」


 朱花の笑顔に、少年…夕海は視線を逸らした。


「まんまじゃんか」


「気に入りませんか?」


 困ったような朱花の表情に、夕海は告げた。


「いい」


「え?」


「これでいいって言ったんだよ!」


 それきり、少年はそっぽを向いてしまい、朱花はまた少年の背中に寄りかかった。


「…今度は寝ても送らねぇぞ」


「ふふ…残念」


 しばらく、沈黙が訪れた。そして、沈黙を破ったのは朱花の方だった。


「うふふ」


「何だよ、気持ち悪いな」


「だって、嬉しいのですもの」


「何が」


「名前」


「誰か契約者見つけて、代えるかもしれないのにか」


 本来、若い精霊に初めて名前をつけるのは、最初の契約者である。契約者により、以前からの名前をそのまま使うか新たに名前をつけるかは違う。


「でも、最初の名前なら覚えていてくれるでしょう」


「な…」


 夕海はしばらく黙って、少し考えてから口を開いた。


「お前、いつもそんなこと考えてんのか?」


「いいえ。疲れてしまいますもの。でも…そうですわね。私、貴方の中に残りたい」


 朱花は、真っ直ぐ夕海を見詰めた。


「例え、私が消えたとしても」


 例え、それが残酷な願いであると理解していても。


 夕海はその日、何も語ることはなかった。




 朱花は毎日会うたびに気持ちを告げていた。


「大好きですわ」


「…そうか」


 最初は顔を真っ赤にしていた夕海だが、そのうち慣れたらしく普通に返すようになった。

 ある日、夕海は朱花に言った。


「お前の好きって、中身が無いよな」


「え?」


 朱花はよくわからず、首をかしげた。正直な自分の気持ちを告げていただけだったから。

 夕海は朱花の様子を見て、さらに話した。


「本当に好きって感じじゃない。オレがどう思ってるか気にしてる感じが無いし、自分の中だけで完結してる気がする」


 夕海は朱花の瞳を覗きこんだ。瞳の奥を、心を見ようとしているかのように。


「お前は、本当にオレが好きなのか?」


「はい」


 朱花は迷わなかった。それだけはハッキリ、朱花の中にあったから。


「お前は、オレに好かれたいか?」


 朱花は今度は答えられなかった。


 好かれるはずが無いから。


 朱花自身、考えないようにしていた。人として長らく、朱花には執着という物が無かった。人として欠けている。

 朱花は自分が嫌いだった。だから好かれるはずもない。ただ、自分が好きでいるならいい。その姿を見るだけで、夕海が幸せでいるなら誰といても朱花はかまわなかった。夕海の言う通り、当時の朱花の『好き』は中身がない。自分でもよく理解せずに使っていた。


 好きな存在が出来ても、朱花はまだ好きな存在ですら拒絶していた。


 その時、朱花は答えを持たなかった。いつまでも答えられない朱花に、夕海は悲しげに微笑み、告げた。


「今はまだいい。お前が婆さんになる前までに、答えをくれ」


「はい」


 朱花はこの日初めて、本当に夕海に向き合った気がした。



 答えは出ないまま。それでも夕海は朱花と過ごしていた。


 春が来て、夏が過ぎ、秋に変わり、冬が訪れた。


 朱花は季節が変わっても、毎日毎日岬に通い、夕海と過ごした。関係は変化することはなく、朱花は変わらず夕海と共にいるだけで満足していた。


 出会った時は夕海の方が背が高かったが、いつの間にか朱花は夕海の背を追い越していた。


「お前、でかくなったよな」


「あまり嬉しくありませんわ。私、女性にしては身長ある方ですもの」


 朱花は、少し自分の身長を気にしていた。そして、自分の成長を感じるたびに思わずにはいられない。

 紅も夕海も、自分が年をとっても変わらない。朱花は、夕海が人間だったらよかったと思っていた。

 共に年をとり、限りある生を生きる。それは自分だけで、朱花は夕海を置いていく。


 それは避けようもない事実だった。


 夕海が朱花の手に触れる。夕海だけ、変わらない。重ねた手は、朱花の方が若干大きかった。


「お前が年取ったら、どんな婆さんになるのかな」


「人間、そんなに中身は変わりませんわ。私、きっと可愛いお婆さんになりますから、ずっとお友だちでいてくださいまし」


「考えとく」


 いつか、時間が2人を別つ。


 その予感を抱きながら、敢えて語ることはなかった。


 傷つくだけと、解っていたから。解っていても、自分から手を離すことなど出来なかったから。


 今思えば、この頃の朱花達はきっと互いに変化を恐れていた。このままではいられないことを互いに理解しながら、それでも共にいる時間がいとおしいと思っていたから。


「大好き」


 まるで呪文のように、朱花は告げた。



 それから更に時は過ぎ、朱花は16歳になった。


 朱花は15歳から王宮で兵士としての訓練に励み、翌年には近衛兵に出世した。武術に長けていたのはもちろん、契約者としての資質を見込まれてのことだった。


「聞いてくださいまし!近衛になれましたの」


 もちろん朱花は出世した喜びを最初に夕海に伝えに言った。


「よかったな。お前、頑張ってたもんな」


 笑って、頭を撫でてくれる。夕海の優しい言葉が、朱花にとって何よりのご褒美だった。


「うふふ、ありがとうございます。夕海に誉められるのが、一番嬉しいですわ」


 そして、朱花が近衛に選ばれたことが2人の変化のきっかけになった。


 実は、近衛に初めて採用された女性が朱花だった。


 女性の兵士はいるものの、やはり総合的に力では男性に劣る。

 朱花はそんな中で棒術を学び、非力ながらも男性に劣らぬ戦闘能力を持っていた。また、契約者の名門であるランフォード家の娘で、精霊と対話ができ、契約者としても期待された。


 朱花は期待に応えようと、今まで以上に訓練に打ち込み、岬に行けない日もあった。

 近衛唯一の女性であり、朱花は容姿も美しく、とてもモテた。本人は全くモテる自覚が無かったが。


 兵士達の訓練場は城の城壁の中にあった。武術大会等の会場にもなるため、すり鉢状の建物であり、周囲には観客席がある。

 朱花がいつものように武術訓練をしていると、観客席に夕海の姿があった。

 喜び、駆け寄ろうとしたが、運悪く近衛の上司に声をかけられてしまった。


「やあ、朱花。今日も頑張っているね」


 ニコニコと愛想よく、上司は話してくる。朱花はとにかく上司の後ろの夕海が気になった。


「ありがとうございます。でも今日はもう止めようかと思いますの」


 朱花はそのまま会話を切って夕海の所に行きたかったのだが、上司は嬉しそうに話を続けた。


「じゃあ、一緒に食事でもどうだろう。君の話が聞きたいんだ」


 今の朱花ならば、夫が待っていますからとかわしてしまうが、当時の朱花はとても困惑した。


「あの…」


 戸惑う朱花の手を強引に上司がとった。


「大丈夫。2人きりではないから。たまには仲間との交流も必要だよ」


 強引に連れて行かれると思った時、風が吹いた。


「な!?」


 その風は明らかに自然現象ではなく、精霊によるものだった。朱花も立っていられず、吹き飛ばされた。


「オッサン、嫌がる女を無理矢理ってのは関心しねぇな」


 朱花は夕海にだき抱えられていた。


「お前…その子を離しなさい!」


「やなこった!」


 そして、夕海は朱花を抱えたまま、訓練場を飛び去った。


「先輩…今日は呑みますか」


「そうだな…」


 その後、残された近衛独身男性陣による呑み会があり、結束が高まった…らしい。


 朱花は急激な展開についていけず、ひたすら呆然としていた。夕海は朱花をいつもの岬で下ろしたが、何を言ってよいものか、朱花はさっぱりわからなかった。

 沈黙を破ったのは、夕海だった。


「悪かったな、邪魔して」


 夕海はどこか不機嫌に見えた。朱花と目を合わそうとしない。朱花はまだ、ぼうっとしていて思考が正常に働かなかった。


「…何がですの?」


 故に、ボケた。朱里の方が激しくボケるため目立たないが、実は朱花も相当な天然である。


「あー!わからないならいいよ!お前、さっきの奴よりオレと居たいだろ!」


「はい」


「なら、連れてきて、問題ないな」


 朱花は先ほど何に対し謝罪されたのかをやっと理解した。


「私、困っていましたの。助かりましたわ。ありがとうございました。大好き」


 夕海は笑う朱花から目を逸らす。


「大好きは関係ないだろ」


「思ったので」


「そっか」


 繰り返し告げられる言葉に、夕海はもういちいちツッコミはしかなった。


「…まだ、私の『すき』は軽いですか?」


「え?」


 予想しない問いに、夕海は驚いた。朱花はあまり夕海の言うことを気にしていないと思っていたかららしい。こんな風に意見を求められたこと自体、初めてだった。


「どう、だろうな」


 そして、夕海は繰り返し告げられる言葉を、いつしか否定しなくなっていた。

 それが諦めなのか、他の理由からなのかは朱花にはわからなかったが、正直『すき』を否定されるのが悲しかったから、朱花は嬉しかった。


「すき」


「そうか」


 このまま、同じ時間を過ごせないことを、もう朱花は理解していた。


 だからこそ、限りある時間の中、朱花は伝え続けた。


 ただ、自分の想いを。



 夕海と別れ、朱花は家路につかず、寄り道していた。


 本当は、朱花は夕海の契約者になりたかった。でも、同じぐらいの強さで、それは駄目だと言う自分がいる。

 自分は兵士で、大切なものを守るため、他者を傷つける存在。自分はいいが、夕海に同じ道を歩んで欲しくない。夕海はあの岬で笑っていて欲しいと思う。

 しかし、もっと一緒にいたい。契約者ならばいられると思ってしまう。


 完全に相反する心。


 しかし、もうあまり時間が無い。朱花が近衛になれたのは、ランフォードの血のこともある。朱花はそろそろ自分の精霊を探さなければならなかった。


 1人、暗い森をあてもなく歩く。他に精霊を見つけられるかもしれないから。

 不意に、風が吹いた。


「あれ、君、ユウのお気に入りじゃん」


 一瞬夕海かと思ったが、目の前に降り立ったのは、大きな羽根を持つ青年だった。


「貴方は?」


「オレは緑夏(りょくか)。君だろ?契約者でもないのに、夕海とかアイツに名前あげたの」


 ズキン。


 はっきりと胸が痛んだ。初対面なのに、青年に苛立った。


「貴方には、関係ない」


 初対面の相手に敬語を忘れ、憤りを感じるなど、今までないことだった。


「そうでもないよ。アイツはオレの弟みたいなモンだから。君、夕海にこれ以上関わらないでよ」


「貴方には関係ない!!」


 朱花は、怒っていた。自分でも戸惑う程に、激しい怒りに翻弄される。


 気がつけば、いつもの武術で相手を叩きのめしていた。


「あ」


 朱花が正気に戻ったのは、相手に右ストレートと回し蹴りを決め、失神させた後だった。


「イタタ…君、見かけによらず相当な乱暴者だね」


「殴ったことは謝りますわ」


 朱花は少し頭が冷えたが、まだ苛立っていた。


「オレが君に夕海から離れろと言ったのには理由がある。オレは、自分の契約者を愛し、看取った。だからだよ」


 ドキン。


 朱花は、何も答えられなかった。緑夏も先ほどのような軽い口調ではなく、真剣な瞳で朱花を射抜く。


「わた、くしは…」


 喉が乾く。

 手が震える。

 何か言わなくてはと思うのに、言葉が出てこない。

 直感だが、朱花はこの男の言葉が彼の真実であると理解した。


「きっと、後悔する。君が、アイツを傷つける。君が人間で、アイツを置いていくから」


「…やめて」


「君だって、本当は解っているんだろ」


「いや!」


「君達は一緒に居るべきじゃない」


「もうやめて!」


「忠告は、したよ」


 耳を塞ぎ、うずくまる朱花に声をかけ、緑夏はもうすっかり暗くなった夜空に飛び去った。


 朱花は、緑夏の羽ばたく音で彼が去ったのを理解したが、うずくまり、膝を抱えたまま動けなかった。


「貴方なんかに、言われなくたって…」


 朱花は解っていた。心が近くなるほどに、終わりの日に、朱花は夕海を傷つける。

 朱花は解っていた。紅と共にいれば、嫌でも考えてしまうことだから。


「熱い…」


 気づけば涙が溢れていた。朱花は声を殺して、たった1人で泣き続けた。


 朱花は初めて、自分のために泣いた。苦しくて、悲しくて、泣くしかなかった。


 どのくらい、動けずにいただろう。もう森は深い闇に包まれている。今が何時かわからない。

 いつしか涙は止まっていた。


 帰らなければ。大おばあ様が心配してしまう。


 そう思うが、動けない。動きたく、ない。動いたなら、現実に帰らねばならない。答えを出さなければならない気がしたから。


 バサバサ。


 鳥のような羽音にビクッとなる。また、緑夏だろうか。朱花は自分の身体を抱きしめた。まるで、子供が怯えているかのように。


「朱花?遅いから皆探してんぞ。大丈夫か?どっか悪いんか?」


 男の子のような、女の子のような、中性的な声。


「きさ…」


 夜空から舞い降りたのは、朱里の精霊・黄砂だった。


「うっ…えっ」


「へ?え?オイラ?オイラが泣かせたの?」


「ち…が」


 いきなりまた涙が溢れて止まらなくなった。黄砂を見て、朱花はすごく安心した。気が緩み、また涙がこぼれだす。

 自分が泣かせたのかとオロオロする黄砂に、朱花は精一杯否定の言葉をつむぎ、必死に首を降った。


「違うんか。よかったー。朱里に殺されるかと思った」


「ふ…ふ。朱里はそんなことしませんわ」


 心からホッとした様子の黄砂に、思わず泣きながらも吹き出した。朱花は今自分が変な顔をしてるかもしれないと思った。


「あ、笑ったな。あれで朱里もかなりシスコンなんだぜ。前だって…」


「前?」


 黄砂が明らかにしまったという顔をした。


「いや、バラしたらマジで朱里が怒る!アイツめったにキレないけど、キレると死ぬほどこえぇから!言いたくない!」


「ふふ、なら聞かないでいてあげますわ。そのかわり、私がここで泣いていたことは秘密」


「おう。わかった」


「約束ですわよ」


「うん。オイラも命は惜しいからな。朱花は…なんで泣いてたんだ」


「今は…聞かないで」


「わかった」


 黄砂は朱花の目が目立たなくなるまで待ってから、家まで送り届けてくれた。

 紅達には、迷子になっていたことにしてくれた。

 朱花は黄砂の優しさに感謝した。


 朱花はその日、何も無かったかのようにふるまった。本当は疲れきり、早く寝てしまいたかったが、朱里にも紅にも心配をかけたくなかったから。


 翌日、いつも通りの朝がきた。


 何故か朝ごはんは朱花の好きなものばかりだった。


 いつも寝ぼすけの朱里が起きてきて、珍しく紅・朱花と3人共に城に向かった。


 城に到着間際に、紅が朱花の背中をポンと叩いた。


「話したくなったら、話しなさい。いつでもいいわ」


 朱花は咄嗟に返事が出来なかった。紅はそれ以上何も聞かずに城内に行ってしまった。

 それと同時に気づく。あの朝ごはんも、きっと偶然ではない。あれは、茶希の不器用な優しさ。


 自分の何も無かったフリを見抜いて、気遣ってくれた2人。朱花は胸がしめつけられるような気持ちになった。



 まだ当時、朱里は近衛では無かったから、朱里は朱花と別々に訓練していた。


 別れ際、朱里は朱花の頭をクシャッと撫でた。


「無理、ダメだ、よ?」


 優しい、自分の片割れの笑み。

 自分の周りのひとたちの優しさに、朱花はすごく泣きたくなった。


 今度は、さっき言いたくても言えなかった言葉がするりと出た。


「ありがとう。大好きですわ」


「うん」


 先ほどまでのとは違い、自然に笑うことが出来た。

 問題が解決したわけではないが、沈んでいた心に、仄かなあかりが灯ったよう。


 心が、暖かい。


「さぁ、今日も1日、頑張りますわ!」


 手を振り上げ、朱花は微笑む。

 たくさん優しさをもらって、優しさは元気に変わる。朱花は思った。くよくよするなんて、らしくない。


 自分らしく行こうと思った。



 訓練終了後。いつもの朱花ならば岬に向かうところだが、前日の緑夏の言葉が心に残っていて、やはり会いには行けなかった。

 そのかわり、朱花は彩の南、砂漠へと向かった。森を抜け、草原を抜けると急速に視界が広がる。


 時刻は夕方。どこまでも続くような錯覚を感じる砂の海は、夕日を受け金色に輝いていた。


「綺麗…」


 あの岬の夕暮れにはかなわないけれど、朱花がうっとりと呟くほどに、この砂の海は美しい。


「ありゃ?朱花?」


 聞き覚えのある、中性的な声。純白の羽根を持った精霊・黄砂が降り立った。

 黄砂は砂漠の風の精霊であり、大概用事がなければ自分の力場である砂漠にいる。とはいえ、広大なこの砂漠で会えたのはすごい偶然であった。


「黄砂…」


 会えたらいいとは思ったが、まさか本当にこんなに簡単に会えるとは思っていなかったため、朱花もびっくりしていた。


「どした?あ、気分転換なら、オイラが案内してやるよ。砂漠はいいぜー、スゲーキレーなとこいっぱいあるし」


 ニコニコしながら黄砂は提案してくれた。昨日の事があったから、気を使ってくれているのがわかって、朱花は穏やかに微笑んだ。

 黄砂のオススメの場所は気になったが、朱花は目的があってここに来た。


「黄砂、貴方に話があって来ましたの。今、時間は大丈夫でしょうか」


「へ?オイラ?」


 全く予想していなかったらしく、マヌケな声を出す黄砂。しかし、すぐに笑顔になった。


「もちろん、おっけー。どーせ暇だし。朱花の様子見に行こうと思ってたし」


「私の?」


「あ」


 黄砂はまたしてもしまったという表情になった。


「や。まーあの、その、な?気になるじゃん?」


 しどろもどろに言い訳する黄砂。


「昨日、泣いてたから?」


「まぁ、その、うん。だって友だちが泣いてたら、普通心配じゃん!お節介なのはわかってるけど…」


「私が黄砂の立場でも、きっと同じことをしますわ。ありがとう、黄砂」


「お…おう」


 会えたのは、けして偶然ではなかった。心優しい友人に、朱花は極上の笑顔を見せた。


 夕方とはいえ、直射日光を防ぐものがなく砂漠は熱い。黄砂は朱花の身体を気遣い、草原の木陰に移動した。手頃な岩があり、互いに向かい合って座る。


「で、話って?」


 黄砂が首をかしげる。


「あの…黄砂はなんで朱里の精霊になったんですの?」


「聞きたいことって、それ?」


 てっきり昨日泣いていた理由を話すのだと思っていたのだろう。だが、これはけして無関係な質問ではない。


「はい」


 朱花はハッキリ返事をした。不思議そうな顔をしたが、黄砂は話してくれた。


「精霊が、それぞれ契約者を持つときは、ソイツが精霊にとって惹かれる何かを持ってるから。オイラは朱里の『自由』さに惹かれた」


「自由?」


「何にも囚われず、自分のしたいことする奴だから、コイツおもしれー、傍にいてーなーって思ってオイラは契約した」


「解る気がしますわ」


 朱里はいつも自分のしたい事を貫き通す。ボーッとしているようで案外頑固な自分の片割れを思い出した。


「それで、あの…私達は生きている時間が違いますわよね」


「うん?」


「朱里がお爺さんになって、死んだら…黄砂はどうします?」


「まぁ…悲しむんじゃね?」


 黄砂の返答はアッサリしていた。


「後悔…しませんの?」


「でもオイラ、そんなんわかってて朱里と契約したから。オイラが自分で決めたことだから後悔とかはしないよ。きっと、ずっと忘れない」


「うん」


 朱花は涙を溢した。悲しくないのに、溢れてくる。


「あー、もしかして泣いてたの、それか。夕海とのことか。アイツは朱花が初めてだしな」


「………」


「まぁ、最初の契約者ってやっぱり思い入れあるもんなぁ」


 黄砂はウンウン頷いている。しかし、朱花は呆然としていた。涙も引っ込んでしまった。


「黄砂?」


「えっ?何?朱花なんか笑顔がめちゃめちゃ怖い!朱里そっくり!」


「なんで、夕海の事を知っているのかしら」


「あ゛」


 即座に飛んで逃げようとした黄砂の襟首を朱花は神速で掴んだ。


「黄砂?」


 朱花は思いきり威圧を込めて微笑んだ。


 草原の、木陰。そろそろ日は完全に沈もうとしている。

 そこには、2人の人影があり、片方は正座させられていた。しかもご丁寧に胴にロープが巻かれ、木にくくりつけてあった。


「あの、朱花さん。もう逃げないから、この縄ほどいて…もらえない…みたいね」


「どういうことですの?」


「やー、有名なんだよ」


「何がですの?」


 黄砂はしぶしぶと口にした。


「産まれたばっかの風精と、名門ランフォードの女の子の恋物語?大体オイラ達って契約者持ちでない限り暇だし…」


 黄砂が何を言おうとしているか理解した朱花は、頭が痛くなってきた。


 つまり、2人きりだと思っていたが、風精達に覗かれていた可能性もあるわけだ。

 風精は大概が好奇心旺盛でこういったいわゆるゴシップが大好きである。

 しかも風精は距離があろうと空気の振動たる音を自在に集める事も出来る。

 そう考えると、タチの悪いことこの上ない。噂好きが盗み聞きの能力を持っているなんて。


「けどさぁ、まさか朱花が夕海を好きになるとは思わなかった。オイラ、夕海の片思いで終わると思ってたよ」


「は?」


 朱花の返事に黄砂は真っ青になった。リトマス試験紙並みの変わりっぷりだ。


「…オイラハ、ナニモイワナカッタ」


「黄砂?」


「無理!」


「黄、砂?」


「ダメ!オイラ命が惜しい!」


「正直に話したら、朱里に私が見せ物になってたのに知らんぷりしてたの、黙っててあげますわ」


「あぅ…」


 黄砂はガクリと力なくうなだれた。


「もはやオイラには破滅の道しか無いのか…じゃあさー、オイラが話したのも内緒って条件な?」


「もちろん」


 朱花はアッサリ了承した。別に黄砂を苛めたいわけではない。


 黄砂は顔をあげると、パチンと指を鳴らす。風が緩やかに流れる。音を散らしているのだとわかった。


 そして、ゆっくり話し始めた。



 夕海と朱花が有名になったのは理由がある。


 まだ夕海が名もない精霊だった時。生まれたばかりなのに、既に夕海には性別があった。

 これは珍しい事で、大概の精霊は無性別で生まれ、恋をする事で分化する。精霊は長く生きるためか恋をする事自体が珍しく、なかなか分化しないのが一般的だ。


 しかも夕海は風精である。噂好きの仲間達は、生まれたばかりの仲間の恋の相手を探ろうとした。


 そして、ほどなく相手はわかった。


 夕海は、決まって夕暮れ時になると岬へ向かい、少女を見つめる。

 少女は岬の夕暮れが好きであるらしく、毎日岬で夕暮れを見ていた。そして夕海は少女が去るまで、じっと少女を見続ける。

 その表情は、切なげであり、嬉しそうでもあった。


 夕海の恋の相手をつきとめた風精達は、朱花の情報を夕海に流した。黄砂も少し話したらしい。朱里が怖いので、当たり障りのない程度だと強調していた。


 夕海はただ、静かに聞いていた。

 仲間達は朱花はランフォードの出身だからきっと夕海と話せると面白半分で焚き付けたが、夕海は朱花を見つめるだけで、話そうとはしなかった。


 黄砂が知る限り、かなりの期間を夕海は朱花を一方的に飽きることなく見ていた。

 たまに岬以外でも朱里達と遊んでいるところなど見ていたが、大概岬にいる朱花を見ていたらしいと黄砂は言った。


 黄砂は、実は一度直接聞いた事がある。


『なんで、朱花を見ているんだ』と。


 夕海は少し考えてから黄砂に返事をした。


『あそこはオレのお気に入りでもあったけど、毎日アイツが来るからいなくならないかなって、最初は見てた。でも、いつからか、アイツ来るたび泣きそうだったから』


 気になった。

 だから、見てた。

 笑わないかなって思った。


 気がついたら、オレは男になっていたんだと、黄砂よりずっと年若い精霊は、困ったように笑った。黄砂は自分より夕海が大人に見えたと語る。


 そして、初めて夕海が朱花に声をかけたあの日。


 あの一言に、夕海がどれだけ勇気を出したかわからないと黄砂は笑った。


 朱花は声をかけた相手に冷たくするようなタイプではないけど、恋い焦がれ憧れた相手に話しかけるなんて、凄いことだとオイラでも思ったよ、と黄砂は笑った。


 朱花は、ドキドキしながら聞いていた。

 自分の知らない、夕海の物語。


 彼は、私が知る前から、ずっと私を見ていた。


 私が好きになる前から、私を好きだった。



 ああ、狂ってしまいそう。



 そう思った瞬間、朱花を急速に激しい風が包んだ。

 朱花は、この風を知っていた。


「おい!なんで黄砂と一緒にいるんだよ!なんでオレに会いに来ない!」


 愛しいひとの腕に抱かれ、朱花は以前よりずっとドキドキしていた。


 夕海の口調は怒っているようだったが、その表情は泣きそうだった。

 いつから居たのか知らないが、夕海の話を聞いている間、朱花はずっと夕海の事を考えていたから、本来彼にしか見せない表情をしている自分を見て、傷ついたのかもしれないと思った。


 そして、それが嬉しかった。気が狂いそうな程に。


 もっと、見たい。


「私が誰と一緒でも、夕海には関係ないでしょう?どうして怒るのですか?」


「な?」


 黄砂が驚く。

 夕海は、目を潤ませていた。なんとか涙をこぼさずにいるが、時間の問題だった。




 私は、好かれている。




 朱花は夕海の反応で確信した。


「ごめんなさい。嘘ですわ。黄砂に夕海の事を相談してましたの。同じ風精ですし」


「そう!そうなんだ!じゃ、仲良くやれよ!!」


 黄砂は真空の刃で手早く縄を切ると、凄い速さで飛んでいった。


「なんだ、黄砂のやつ」


「ふふ」


 朱花は、浮かれていた。最初、夕海がプロポーズを受けてくれなかった理由がわかったから。


 もう離せない。


 離れても、傍に居ても後悔するなら離れない。


 心は、決まった。


「ねぇ、夕海」


「ん?」


「幸せにするから、結婚してくださいまし」


「…またそれか」


「ダメ?」


 朱花は夕海をじっと見つめた。夕海は顔を真っ赤にする。耳に生えた羽根までピンクに染まるほど。

 いつもなら、逃げるところだが、朱花を抱き上げているため逃げようがない。朱花も逃がさないようしっかり抱きしめていた。


 まるで、2度目に出会った時のように。


「いいよ」


 夕海は朱花のプロポーズを受け入れた。





「そして、そのまま結婚して今に至るわけですわ」


 白亜は朱花の言葉に首をかしげた。


「なんで、最初夕海はプロポーズを受けなかったわけ?しかも朱花の気持ち否定してるし」


 好きだったなら、プロポーズはともかく、気持ちを否定する必要は無かっただろう。

 朱花はまるで神に祈るかのようなポーズで、目をキラキラと輝かせながら告げた。


「ダーリンには解っていましたの。初めてプロポーズした時、私はそれほどダーリンを好きじゃありませんでしたの」


「へ?」


「最初に言った通り、パニック状態での言葉でしたし。ダーリンは私が、ダーリンと同じかそれ以上好きになるのを、待っていましたの。私が、本当に彼を『好き』になるのを。私は、ダーリンの愛を自覚したとき、本当の意味でダーリンを『好き』になったのかもしれませんわ」


「…なるほど。後、緑夏はどうしたの」


「私とダーリンの愛の前に、障壁などありませんわ」


 つまり、感情論でゴリ押ししたのだろう。いずれ来る別れより、きっと朱花達は今を選んだ。

 白亜は納得し、それから夕海の事を話すときの朱花は面白すぎると思った。


 クールビューティで通りそうな朱花がアッチの世界に行ってしまっている。戻る気配は微塵もない。


「あぁ…そんな素敵なダーリンのお嫁さんになれるなんて、私はなんて幸せなのでしょう」


「馬鹿と一緒でつける薬は無さそうね」


 クスッと笑う白亜。朱花はキラキラしまくっている。


 以後、朱花によるダーリンへの賛辞、愛の言葉、どれほど愛しているかなど、他人の城にいるため、運悪く逃げようがない白亜は延々と夜明けまで聞かされることとなる。


 白亜はもう2度と朱花の前で夕海の話はしないと、固く心に誓った。


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