表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/42

第7話

 Sideシオン。


 魔女の誘い。

 重なる面影。

 俺はあれから、ひたすら事後処理におわれていた。彩の民には、お礼状やら、ソーラーバッテリータイプのロボットやらの土産を渡し、帰ってもらった。

 今やっているのは、その手配のためできなかった仕事である。夜中になっても終わる気配がない。


 ドアがノックされる。こういう習慣があるのは紅達だけだ(針はドアは自動がほとんどなのでノックはしない)

 慌ててドアを開けると、紅がトレイに食事を持っていた。


「こんばんは。夜食を持って来たので、入れてくださるかしら」


 紅から、トレイを預かり、部屋に招き入れる。正直、さっきの事があるから気まずい。紅はめざとくパソコンの電源が入っているのに気づいた。


「まだ仕事していたの?」


 と咎めるような口調で言った。

 俺は慌てて話題を変えた。確実に怒られると思ったからだ。もう気まずさなんか吹っ飛んでいた。いつもなら、紅はこの程度ではごまかされない。

 しかし、紅は少し考えるそぶりをみせ、まっすぐに俺を見て言った。


「針国王、シオン=リドナー殿。ご多忙の身とは存じておりますが、私の願いを聞いていただきたい」


 小さな手が、俺に向かって伸ばされた。


「行きませんか、彩に。私の国に」


 気が付いたら、その手をとっていた。紅は、ほっとしたように笑っていた。


 初めて見た筈の、子供のようにあどけないその笑顔を、俺はどこかで見たような気がした。


 どうしてこんなにも惹かれるのか。




 その答えはまだ出ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ