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閑話
炎の魔女は過去をみつめる。
重なる過去に思いを馳せる。
紅は、独り自室から、空を眺めていた。
わかっている。
自分が大人にも、子供にもなれないことを。その事実が何故こんなにも切ないのだろう。
どうして、こんなにも、シオンの言葉は心を揺らすのか。
本当はわかっている。シオンは、似すぎているから。
偶然にしては、出来すぎている。今日のパーティーでのシオンの行動は、似ているというよりあの人そのものだ。
あの人。
炎の魔女が、愛した、最初で最後の、ひと。
暖かい食事を、懐かしいといったシオン。
あのパーティーで重なった思い出。
紅は、ある結論を出すと、静かに部屋を出ていった。




