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「よって、今回の討伐遠征にはサーヤ殿が同行する。皆、しっかりと警護及び補佐をするように」

「待てこの馬鹿。『よって』の詳細を省くんじゃない」


 集った討伐隊の代表である面々を前に、ビシッと決め顔で命を下したオーレリアン殿下。だが、今日も重たそうな漆黒の金属鎧を着込んでいるコデルロスさんは、柳眉を吊り上げすかさずツッコミを入れた。

 承諾ではなく速攻でツッコまれるという事態に、む? という、不思議そうな表情を浮かべるオーレリアン殿下、額に手をやり溜め息を吐くティエリちゃん。

 ……確かに、不安しか残らないです、婆様。


「仕方がないな。詳しく説明するのでよく聞くように。

そもそもの始まりは約五百年前、我が国の成り立ちに……」

「今度は遡って詳細過ぎだ馬鹿!」


 真顔で歴史的事情の解説に入ろうとするオーレリアン殿下の滔々とした語りを遮り、とうとうコデルロスさんが手刀を繰り出しオーレリアン殿下の脳天を縦にかち割った。いや、一応割れてないし無傷だけど。それぐらいの勢いはあった。


「ちょっ、え? 良いの? アレ」

「お気になさらず、サーヤ殿。

オーレリアン殿下が何らかの形で王子として相応しくない言動を取った場合、近衛騎士コデルロスはどのような手段を取ってでも正道へ矯正するように、との王命が下っております」


 不敬罪や王族への危害に当たるんじゃ? と、オロオロ周囲を見回す私に、ティエリちゃんが無表情で教えてくれた。……つまり、コデルロスさんは熱血天然系オーレリアン殿下の相方さんである、という理解で良いのだろうか。今日も着物っぽい天官の制服姿のティエリちゃんは、全く動揺していないので、あの二人のああいったじゃれ合いは日常茶飯事のようだ。


 そうそう。ティエリちゃんについて重大な勘違いが発覚した。黒髪をベリーショートにしている一見美少年なティエリちゃんは、婆様の曾孫娘ちゃんなのだそうだ。ボーイッシュな雰囲気だが、言われてみれば腰の辺りとかがまろやかだし、腕力も無かった。


「むう、全くコデルロスは乱暴な。そんなだからお前は未だに独身なんだ。なあティエリ?」

「お二方の漫才に、僕を巻き込まないで下さい」

「婚約者すらおらんお前に言われる筋合いは無い。ついでに言えば、俺が独身なのは俺の乱暴さが原因ではなく婚約者殿がまだ年若いからだ」


 正確には聞いてないけど、オーレリアン殿下とコデルロスさんが二十代後半で、ティエリちゃんが十代前半くらい。この国の結婚適齢期が十五歳かららしいから、オーレリアン殿下がまだ婚約すらしていないのって、やっぱり天然系だからかなあ……?いやいや、王子でありながらここ十年ばかり前線で魔物や魔帝と戦い続けなくてはならなかったほど戦況が切迫してきていたからで、多分殿下の性格ではなく時勢が悪かったんだ。うん、きっと。


「とにかく、サーヤ殿が、魔物討伐に、参加するに至った、理由と、流れを、きっちり、説明、せよ」


 勘違いや早とちりをしないよう、一言一言区切って強調しつつ、コデルロスさんはオーレリアン殿下の脳天に指先を押し付けぐらんぐらん揺らしながら端的に要請した。


「あ、私はさっきの五百年前のどうこうって話も気になり……」

「おお、サーヤ殿にはまだ語っていなかったか?」

「サーヤ殿、その話はまたおいおいに」

「いい加減、ほう・れん・そうを学べこの馬鹿!」


 私が何気なく呟くと、オーレリアン殿下が食い気味に身を乗り出すが、左右から押さえ込まれて殿下はしゅんとうなだれた。


「ううむ、コデルロスやティエリには話していなかったか?

サーヤ殿の浄化の力を探る手法を婆様と相談し試行錯誤した結果、残すところは魔物と直接相対する手法のみとなったのだ。

武芸の心得が無いサーヤ殿を単独で城壁外に放り出すのも危ないので、討伐隊と同道する方が安全と……」

「そういう重要事項は、早めに連絡しような? 何で出立するその日に言い出して連れてくるんだお前は!」

「……オーレリアン殿下節、今日も絶好調」


 ……えっ、作戦会議や顔合わせじゃなくて、出発直前の待ち合わせだったの、これ?

 もしかしたらこの国は、魔帝の軍勢に攻め込まれる前に、オーレリアン殿下の天然で滅びるかもしれない。討伐隊の部隊長を務める皆さんの生ぬるい眼差しや、コデルロスさんの握り拳でこめかみをグリグリされているオーレリアン殿下を見ながら、私は冷や汗が背に流れ落ちるのを感じた。



******



「フラーシスや周辺諸国が興る以前、この地を支配していたのは大魔道帝国だった」


 城壁外に出て北上する討伐隊の真ん中後方寄り。ティエリちゃんと一緒に輜重荷馬車の御者台に座り、街道を移動の最中。

 流石の権力者、オーレリアン殿下の命令にはよほどの事がない限り臣下は逆らえないらしく、私が討伐隊に飛び入り参加する事は覆せれない決定事項とされ、私の扱いはひとまず、輜重隊と道行きを共にするティエリちゃんの傍から離れないように、という立ち位置で収まった。天官という仕事は、聖職者であり医務官のような立場らしい。


 城周辺にはさほど強い魔物は出現しないとかで、斥候部隊が周囲を警戒して魔物を排除してくれるので、出発してから数時間ばかり、今のところ私は魔物の姿形どころか気配すら感じる事もない。とても平和な道中に、ティエリちゃんがこの世界の歴史についてぽつぽつと語ってくれた。


「五百年以上前のこの世界では各地で魔道研究が盛んに行われていた。そしてある時、魔道を至上のものとし、天の彼方へ手をかけんとする一人の皇帝が現れた」

「天の彼方へ……宇宙に出ようって事?」


 翼持たぬ人が空に憧れるのは、こちらもあちらも変わらないなあ、と思いながら相槌を打つと、ティエリちゃんは首を左右に振った。


「サーヤ殿の言う『うちゅー』というのが、かの方の住まう地を指しているのかは僕には分かりませんが、不遜なる皇帝が目指したのは尊きかの方に成り代わり、世界を支配する事でした」

「えっ、無理でしょそんなの」


 天の彼方から世界を見守ってくれている、慈悲深く尊き……なんちゃらかんちゃらと、その時々や人によって讃える美辞麗句バリエーションがやたらと多い、集約して通称『かの方』こと、この世界の女神様的存在な『わらわ様』は、三次元以上の存在だ。その特性を表すかのように、誰も『かの方』に分かり易く名前を付けたり偶像とし崇めようとすらしない。

 まず生きてる次元が違うというのに、いったい全体どうやってその座を奪うというのか。


「その皇帝は何をしたの?」

「まず永遠の命と時間を支配しようとし、皇帝は帝国臣民を全て生贄に大規模魔道を展開しました。直接収容したり手をかけるものではなく戸籍を媒介にした為、帝国臣民にはこの世界のどこにも逃げ場所が無かったそうです」

「うえっ……」


 いやいやいや、おかしいよね? 自分が守るべき自国の国民を皆殺しにするとかさ?


「一説には、命を奪ったり健康が損なわれる想定はされていない魔道だった、とも言われています。

確かに、帝国臣民と皇帝は、ある意味永遠の命と時間操作を得た、と言えなくもありませんし」

「え、じゃあ……」


 噂の皇帝さん、今も生きてるの? そう、ティエリちゃんに私が尋ねようとしたその時だった。

 ピーッ! という鋭い警笛が街道の脇の森から響き渡り、輜重隊の周囲を囲っていた騎馬の騎士さん達が迎撃陣形に散開し、襲撃に備え槍を構える。

 討伐隊はそれなりの人数が移動するので、狭く見晴らしの悪い街道を移動中、隊列の真ん中や後方に横っ腹から奇襲を受ける事も多いそうだ。


「第三部隊は周囲の警戒及び迎撃、第四部隊は馬車の警護に専念せよ!」


 輜重隊の周囲の警戒を担当している部隊を率いているのはコデルロスさんで、あのやたらと重たそうな漆黒の鎧を着用したまま自在に馬を駆り、隊列の先頭を進んでいるオーレリアン殿下に伝令を走らせると矢継ぎ早に指示を下し、森の茂みから凄い速度で飛び出してきた赤い何かを、目にも留まらぬ速さで鞘から引き抜いた腰の剣を一振りし、一瞬で斬り捨てた。

 コデルロスさんが先鋒を撃退したのを皮切りに、街道を挟む森から次々と赤い何かが物凄い速さで飛び出してくる。輜重隊は襲撃ポイントから抜け出すべく馬車を牽く馬の速度を上げ、その周囲で迎撃する騎士さん達が槍を振り回すと、赤い何かが次々と跳ね飛ばされていくが、傷口から流れ出る血液といった体液のような物は見えない。あれは……


「ティ、ティエリちゃん」

「サーヤ殿、お静かに。あれらは人の大きな声に反応して襲い掛かってきます」


 私が隣のティエリちゃんの手綱を握っている方の着物の袖を思わず掴むと、ティエリちゃんは平素と変わらぬ表情で、懐から小瓶を取り出した。白い粉末が入っている。


「それは?」

「お塩です。僕には魔物を自分一人だけで浄化する能力はありませんが、天官は塩を撒いて魔物の瘴気を極限まで薄める事が出来るのです。それは婆様の浄化作業の負担を減らし、お助けする事にも繋がります」


 まさかのお塩。道中の夜営時のご飯作りで調味料としても活躍するごく普通の食塩が、ティエリちゃんの武器だった。

 ピンッと片手で蓋を押し開け、手綱を操りながらティエリちゃんが小瓶を構える姿はやたらと様になっている。


「サーヤ殿、伏せてっ!」


 ティエリちゃんの指示に従って、デカい図体でなるべく縮こまって身体を伏せると、私の肩越しにティエリちゃんが「はっ!」と短い気合いと共に瓶を振り、細かい粉末状の塩は宙を舞う。

 ティエリちゃんによる、清めのお塩攻撃は見た目に反してかなり遠くまで届くらしく、撒いた地点から五メートルくらい先で、わざと大きな声を上げて注意を引き付け、複数の魔物と交戦していたコデルロスさんの周囲に群がっていた魔物達が、目に見えて動きを鈍らせた。その内の何匹かは、黒い煙のような姿になって襲い掛かってきた時の姿を消す。


 素早く森を駆け、街道を通る旅人に襲い掛かる魔物。それはまるで、全身がどぎつく鈍いまっ赤な体表を持つ、トカゲのような爬虫類の姿に似ていた。

 不意の魔物奇襲をあっという間に迎撃し終え、周囲を警護していた騎士さん達が移動警戒態勢の隊列に戻ると、ティエリちゃんは輜重隊の隊員に手綱を任せ、馬車を下りた。


「えっ、ティエリちゃん?」

「すみませんが、後始末があります。サーヤ殿はこのまま荷馬車に乗っていて下さい。僕も後から参ります」

「ティエリちゃんと一緒にいるようにってオーレリアン殿下に言われてるし、私も一緒に行くよ」


 話している間にも荷馬車はゴトゴトと進んで行くので、私も慌てて飛び降りて、バランスを崩して転びかけながらもなんとか着地する。

 ティエリちゃんは「では」と、懐に手を入れた。


「念の為、こちらをお持ち下さい」


 先ほど彼女が華麗にふり撒いていた、食塩が入っている小瓶を手渡してくれた。


「でもこれ、ティエリちゃんの大事なお塩なんじゃ……」

「ご安心を」


 ティエリちゃんはニコリと微笑むとおもむろに両手を自らの着物の合わせに突っ込み、引き抜いた両の指の間には、お塩入り小瓶がそれぞれ四つずつ。指に挟んで腕を交差させ、得意げに構えるその勇姿に、私の脳裏にはシャキーン! という効果音が響き渡った。いったいどこに保管してるのティエリちゃんっ!?


「このように、いざという時に備えて予備塩は大量に常備していますので」

「うわあ、頼もしい……」


 キリッとした表情で好戦的にお塩を構えるティエリちゃんを、馬から下りて背後から歩み寄ったコデルロスさんが、無言のままティエリちゃんの両脇に手を差し入れてヒョイと持ち上げ、馬に乗せた。


「突然予告もなく何をするのですか、近衛騎士コデルロス。危うく大切なお塩を滑り落とすところでしたよ」

「じゃれていないで早くしろ。

サーヤ殿は俺の隣に。清めの塩……使えるのですか?」


 文句を言うティエリちゃんにピシャリと叱りつけ、コデルロスさんはティエリちゃんを乗せた愛馬の轡を手にしたまま、私を無表情で振り返って問う。


「え、分かりません。婆様との浄化の訓練でも、お塩については話題に出てきませんでしたし……」


 天姫の浄化能力というのは、自らの体内に集めた気を放出し穢れを浄化するもの、らしいので、道具を使うという発想が無かった。


「直接魔物にお塩をぶつける必要はありませんよ。天官の祈りによって、お塩が周囲の空気を清めてくれるのです」


 また出たよ、浄化のキーである『祈り』。ティエリちゃんが私の前でやって見せてくれたのは、祝詞も捧げない溜めも無い、本当に単なる塩撒きでしかなかったのだけれど、具体的には『祈り』って心の中で何を考えていれば良いんだろう?


「どうにも不安が残るな。

サーヤ殿、念の為にこれを持っていてくれ」


 そう言ってコデルロスさんが私に手渡してきたのは、投擲にも使えそうな大きさの刃物だった。果物ナイフよりも刃がずっしりと大きいのに、今の私の手は簡単に摘まんで振り回せるほどに軽い。いや、護身用に刃物を渡されたという事実は非常に重たく感じるけれど。


「……お借りします」


 コデルロスさんが率いる第三部隊と共に、つい先ほど荷馬車の安全を優先して駆け抜けた街道を少し後戻りすると、街道の道沿いの至る所に赤い魔物の亡骸が幾つも横たわっており、コデルロスさんが轡を引く馬に乗っているティエリちゃんは、周囲にふわりと小瓶の中身を振り撒く。……多分だけど、あれ、近くに立ってるコデルロスさんにもかかってない?


「天の彼方にまします偉大なるかの方の御慈悲のあらんことを、彷徨える魂に安息をもたらし給え」


 ティエリちゃんが瓶を傾けるたびに、周囲でぴくりとも動かず倒れ伏したままの赤い魔物が、一つ、また一つとその姿を揺らめかせ、黒い煙に変じて空気に溶けて薄れ、見えなくなってゆく。

 それはどこか、幻想的な光景だった。撒いてるのは霊験あらたかな聖水とかじゃなく、単なる食塩なんだという事実を頭の中から追いやっていられれば。あと、気のせいじゃなければティエリちゃん、コデルロスさんの頭にやたらとバサバサと塩を振り掛けているような。

 ……もしかしてティエリちゃん、ワザと? もしや、コデルロスさんの事が嫌いなの?


 今のコデルロスさんは兜を被っているので、漆黒の頭部に白い粉雪のようなデコレーションがなされていく姿をハラハラしながら見守っていた時だった。

 ザンッ! という枝を踏みしめる音と共に突然頭上が翳り、黒い影が幾つも幾つも、みぞれのように騎士さん達に頭上から体当たりするように降ってきたのだ。

 一度安全を確保した場所、という事で少し気が抜けていたのかもしれない。完全なる不意打ちを食らって、第三部隊の騎士さん達の悲鳴が街道に木霊する。


「落ち着け、無闇に武器を振り回すな。散開し、一体ずつ確実に仕留めよ!」


 騎士さん達の中心、馬上でお清めの最中だったティエリちゃんとその周囲には魔物達も近寄れない、というかむしろ体当たりすれば殆ど自滅するようなものらしい。ティエリちゃんの傍らに立つコデルロスさんの隣で、私もその時まで大人しくしていたのだけれど。

 襲撃を振り払うべく、清めの空気を浴びて弱った魔物にコデルロスさんは槍を突き上げてトドメを刺し、突然の出来事にビックリした私が咄嗟に槍振り回すコデルロスさんから離れ、横っ飛びした頭上では黒い煙が立ち上っただけだったけれど、同士討ちを恐れて騎士さん達が戦闘の間隔を広げれば一気に私の周囲は空間が出来て、まるでぽっかりと穴が空いた中に取り残されたようだった。


「あっ……」

「サーヤ殿!」


 目測にして、周囲との距離は三メートルぐらい、だろうか。横っ飛びなんかしたせいで、私は地面に手を突いて転げている。

 決してティエリちゃんの傍から離れてはいけない、と、言われていたのに。悲鳴に近い声で私を呼ぶティエリちゃんのお塩攻撃は、このぐらいの距離でもちゃんと届く。届くけれど、生きている魔物にはその能力を弱らせる効果だけで、浄化したり魔物を仕留める事は出来ない。


 降ってくる。私の頭上から、黒い獣の形をした魔物が。

 きっと、赤い爬虫類をけしかて様子見や偵察のつもりで隠れ潜み、倒したと油断させて少数になったところを狙っていたんだ。ああ、黒い毛並みの狩猟犬を思わせるその外見通り、きっとコイツ等はとても頭が良いんだ。

 だって、間違いなく一番弱い私が、孤立化したところを、すかさず狙ってくるのだから。


 ティエリちゃんが清めの塩を撒くが、私目掛けて空から降ってくる勢いまでは減じない。何故ならそれは、引力に従っているからで。

 私の方でもがむしゃらに、ティエリちゃんから預かったお塩の瓶を振り撒くが、白い粉が舞おうが黒い犬形の魔物は歯を剥き出しにするだけで、怯む様子すら見えない。

 生き物ならば通常必ずあるハズの、感情を映して輝く瞳はそこには無く、眼窩にはまるで内側に煙でも満ちているかのように、黒い靄が揺らめくだけ。


 ああ、これは本当に、普通の動物なんかじゃない。

 魔物、だ。


「来るなあああああっ!」


 お塩の瓶を投げつけるが、コントロール力など皆無に等しい私の投擲など明後日の方向に向かうのみ。コデルロスさんから預かっていた短剣の鞘を払う事すら思い浮かばず、尻餅をついたまま滅茶苦茶に振り回す私に体当たりするように黒い魔物はのし掛かり、鋭い牙がずらりと並んだ顎が私の眼前でくわっと開き、肩に爪が食い込んだ。


「サーヤ殿っ!?」


 すわ、これまでかと絶望感に満ちた時、何故か私の脳裏に木霊したのは、オーレリアン殿下が焦ったように私を呼ぶ声だった。



 ざっぱざっぱ振り撒いたお塩は、収録後に(エアー)スタッフが美味しく頂かせて頂きました◎

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