水滴を止めて。
彼女は、現れた。
僕の目の前に、
僕は、彼女を救う。
赤崎さんは、
「おはよう。」
はじめて無垢な笑顔を見せた。
「いつもみたいに、」
僕は、また殴られ、頭を打ち付けられ、いつも以上に血だらけになっていく。
「僕も、もう君と一緒で足りない。君と同じ。」
僕は、微笑みながら、
彼女の首根っこを掴み、プールに、無理矢理沈めた。
赤崎さんは、苦しんでいた。
けど、僕は助けたい。
もう血は流れないよ。
呼吸が止まった。
もう血は流れないよ。
ゆっくり、彼女の顔を引き上げ、いままでできなかった抱擁を強くした。
彼女の顔は安らかに見えた。
僕は後日、警察に連れて行かれた。
赤崎さんのご両親が激しい見幕で、近づいてきた。
ご両親は、一枚の用紙を渡してきた。
読めと言われたので、四つ折りにされていたそれを渋々開く。
[
私、赤崎結衣は、飯田雄二を自身の病気による、ストレスのはけ口にしていました。
けれど彼は、私を受け止めて、救ってくれました。
何回もお願いした安楽死ももうやめます。
彼は私を救ってくれると言いました。
私は、彼に救われたいです。
生きたいです。
]
涙が、たくさんでて、止まらなくて、机を伝ってさらさら流れた。