10/15
水滴は、其絽揃、戻れない処まで
僕は、それ以降、毎日、昼休み、プールサイドに通った。
時折、赤崎さんが姿を見せた。
声はかけないし、かけられなかった。
ある日、クラスのやつが、いきなり大声で叫びだした。
「あいつは怪物だ!」
赤崎さんを指差していた。
赤崎さんは、なんだか、少しわらけてくるような表情をしていた。
赤崎さんは、そっと立ち、その場の騒がしさなど、知らないようにしっとりと、教室を出た。
暫くして、僕は、どうしようもなく気になって、急いで、教室を出た。
「赤崎さん!僕の血は汚い!赤崎さんの血は綺麗だ!」
プールサイドで叫ぶ。
赤崎さんはうっすら笑みを浮かべて、近づいてきた。
「うるせぇよ。」
彼女は、僕を近くにあったモップで思いっきり殴った。
僕はプールサイドに頭を思いっきりぶつけた。
血がたくさん出た。
血はまたまた、どろどろと流れていった。
けれど、上からポタポタと、水滴が落ちてきた。
「なんでよ、、」
赤崎さんは泣いていた。
赤崎さんの左肩から、すーっと赤い血液が流れていった。
「またくるから。殴ったっていいから。」
僕は赤崎さんの虜になった。