エリス
2030年現在、人類、否、地球と名づけた星で生きる生物の全てが宇宙という広大な「乗り物」の中から抜け出し月という「乗り物」への移動を可能にした。
スペース旅行なんて言葉も流行語になったがそんなのはもう何年も前の話。
宇宙からみれば、時間の概念からみればたかが数年、人類の寿命がいくら延びようとたかが100年前後、いくら進化しようと歴史からみれば1ページにもならない。
1ページにはならなくても1行くらいにはなるかもしれない。
1行にはならなくても1文字にはなるかもしれない。
その1文字がなければ1行にはならない。これは確実だ。
『「エリス」これが今回人類歴史にも残る最大にして最大の距離にある人間が、人類が今現在辿りつくことができる惑星です。
太陽系といえば、水金地火木土天海冥なんて昔は語られていましたがその後、水金地火木土天海と学校では教えるようになりました。何が違うかわかりますか?
えーそうです。冥の字がない。冥王星の字が消えました。冥王星が発見されたのは約100年前、つまり君たちのお父さんがまだ生まれる前に発見されたものでした。
その惑星が何故太陽系の惑星から外されたのかその原因の一つがエリスの発見によるものでした。』