ぜつぼう
翌日、部活が終わり、みんなで病院に向かった。
先輩は、ベッドで寝ていた。
「おはようございます」
「おう、おはよう」
昨日より顔色が良くない気がするが、きっと気のせいだろう。
「前より、痩せましたね?」
「まぁね……」
他愛もない会話をみんなとして
「先輩、私、飲み物買ってきますね」
「うん」
私は病室を後にした。
これが、最後の会話とは知らずに……。
5分後、私は病室に戻ってくると、状況は一変していた。
先輩が苦しんでいた!
布団には血が飛び散っていた。
胸を押えながら、今まで見たことのないほど苦しんでいた。
どうすることもできない私は、手を握り
「がんばって! がんばって!! 」
すると、先輩が、横になり、みんなの方を向いた。
「すみま……せん……ね、せっか……く……来……ても……らっ……たの……に」
「何言ってんのよ!? 先輩は、みんなの希望なんだよ!」
「野巻さん……」
「がんばって! がんばってよ!!」
周りが、がんばって! と応援している。
だが、健闘むなしく……、力尽きた……。
医師は、悔しさを滲ませながら先輩……いや、ゆうの顔に白い布が掛けられた……。
みんな放心状態だった。
なにもかもを失った感じだった。
希望が絶望に変わってしまったのだ……。
私は無力だ。
恋人なのに、なにもしてあげられなかった……。