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きゅうへん

翌日、講義終わりに病院に行った。今日の部活は休み。お店で言う定休日。




受付周辺がやけに騒がしい。なにかあったのかな? と思っていたその時。








「佐田さん! 大丈夫ですか!? 佐田さん!!」




目の前を、ゆうが心臓マッサージを受けながらどこかに運ばれていった……。








後をつけると、奥には手術室があった。








近くにいた看護師に訊いた。




「なにかあったのですか!?」




返ってきた答えは、




「容態が急変しました! 今から手術をするところです」




「そうですか……、わかりました。ありがとうございます」








それから3時間後。手術は終わった。




無事に成功したが、一時的処置に過ぎないと言われた。








手術後、医師付き添いのもと、面会が許された。




「ゆう 本当に大丈夫なの?」




「……今はね。まさか、ここまで長引くとは思っていなかったなぁ」




「なにか患っているの?」




「……うん、ここまできたら……、言うしかないな……」








ゆうは、私にすべてを話した。








「そうなんだ……、なんかごめんなさい。なにも知らないで」




「良いんだ、俺が黙っていたから」




「ねぇ、ゆう……」




「なんだ?」




「私とさぁ……」




うまく言葉が出てこない。




「死ぬまで、いや、これからずっと一緒にいてくれない?」




「……蝶」




ゆうは頷いた




「……断る理由がどこにある?」








私は心の底から喜んだ。








すると、医師がやってきた。




「あ、あの、ゆうは治りますよね?」




私は、医師に訊いた。




「えぇ、ただ、油断を許さない状況が続いています。そのことだけは、わかっておいてください」




「はい……」








呆気にとられていると面会時間が終わると看護師に言われた。








「明日、すこし早めにくるね、あと部活のみんな連れてくるね」




「おう、待っているよ。……そうだ」




「ん?」








「もし俺になにかあったら、日記、見ていいよ、ただし蝶だけな」




「なんか怖いなぁ」




「そんなことないよ」




「うん……。なんかそんな気がする……、じゃ、じゃあ、また明日」








私は、ゆうの顔を見た後、手を振って、病室を後にした。












医師は、ゆうに訊いた




「いいんですか? 今、延命処置をしていることを黙っていて」




「……いいんです。 俺は、蝶の笑顔が見られれば、あとは何も望みません」




「そうですか。でも想像以上に進行がはやいです。長くて48時間が限界かと……」




「わかりました……」


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