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十三話 避けられて

確かにあれからまともに会話していないのは承知しているけれど、最近充君があたしを避けているような気がする。



目が合えば逸らされるし、声をかけようとすれば何処かに行ってしまう。


好きだと言えば、今度は嫌いになったのだろうか。



やはりこの前の姿を見て幻滅したのだろう。



別れは行動で察してくれと言うことだろうか。



交際がなくなるのは失礼ながらこちらとしては嬉しい。


しかし仕事がやりづらい。

それに・・・。



「充君と喧嘩でもしたの? 最近様子がおかしいみたいだけど」



恵美さんにも心配されている。




「とりあえず今は人が少ないから休憩とっていいわ」



恵美さんの笑顔が救いだ。


あたしは逃げるように休憩室に入って行った。



「うざいんだけど」



顔も見ぬままに上から声が降って来た。



「いきなりなんなの?」


勿論声の主は優馬だ。

今日は日曜日で優馬は皆同じ時間に出勤する日だ。



昼と夕方の瀬戸際の時間。


一時の忙しさが終わり、次の忙しに向けて力をためておく時間。



「仕事しすぎていらだってんの?」


「ちげーよ。あんたらがうざいって言ってんの。何があったかしんねえけど、職場まで喧嘩持ち込むって小学生かよ」



優馬は不機嫌丸出しの顔で言ってくる。


「喧嘩したわけじゃないわよ。ただ充君が急にああいう態度になっただけなの」



優馬がイラつく前にあたしが一番困ってる。



「理由もわかんねえの?」


「知らないわ」



優馬はふーんと言いながら、資料を見つめている。



「明日ここ休みだよな」


「そう、だけど?」



突然何を言い出すのか不思議になっていると、優馬が不敵な笑みを浮かべた。



「任せろ」



何を。と聞こうとすれば、その前にフロアに戻ってしまった。



まさか充君に小学生みたいだから止めろ。とあたしに言ったことと同じことを言うつもりだろうか。

それともうざいとでも言うつもりだろうか。



任せろ。と言われてこれだけ不安になったのは初めてだ。





それからの仕事はとても気が重かった。


まさか仕事中に何かするとは思えないが、優馬が充君に近づくたびにドキドキして仕方なかった。



わざとやっているのかと思えるほどに何度も充君の近くを通るので、心臓が持たなかった。


おかげで仕事が終わってから「春美ちゃんったら充君のこと見つめちゃってー、素直になればいいのに」と恵美さんに勘違いされる始末。




「片づけさっさと済ませるわよー」



恵美さんはそう言いながら奥に戻って行った。

あたしは先程までカットしていた場所を片づけていると、優馬が充君に近づいているのが目についた。



「ちょっと顔貸せ」


明らかに喧嘩腰の優馬に、充君も眉間に皺を寄せて睨み返した。



不穏な空気すぎて不安で仕方ない。

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