りさは影りさ?
「あ~あ」
私はため息を吐いた。
私の名前はりさ。今年で18歳になる。高校生の最後の秋。
「やだなあ、もう」
私の落胆の理由は、(風邪)を引いたこと、である。
私はよく、体調を崩す。
そして、大イベントを何回もおじゃんにしている。
今回は、(試験の前の日)だ。
追試なんかあったら、大学試験のスタートラインに、出遅れてしまう。
そうだ。
あれ、試そうかな……。
そう思い、私は、友達から教えてもらった、ある、おまじないをしてみることに。
「確か……こう」
手を合わすと……。
カッ!
私の手が光った。
「え!?」
お次は、手から煙が……。
シュウウウ……
「な……な……」
その煙は、一か所に集まっていく。
「ひ……人?」
そう、人を形どっていく。
私は腰の力を失って、へたり込んだ。
目を開く人、それは、私によく似た……。
「ひゃ……」
私によく似た人は、一瞬そう笑って、
「こんにちは」
そう言った。
「あ、アナタ、なに?」
私はそういうと、
「あー、自分で呼んでおいて、そんなこと言うの」
と、恨めしげに言う、人。
「私は、りさ」
「わ、私がりさよ!なによ」
そう、当然の主張をする私。
「私は、りさ……と、いっても、そうねえ……」
少し考える、もう一人のりさ。
「そう、影りさ、ってところね」
「影りさ……?」
「そう、影りさよ」
そう言って、影りさはすっと、手を前に出すと……、
「貴方を助けに来ました」
そういうと、影りさは、ひゃひゃと笑った。
「私、腰が抜けて……」
私がそういうと、影りさは、面白がって、
「ひゃ、これが貴方の勉強机ね」
「私の勉強机を……」
私は、かろうじて立ち上がった。
「返して!」
私は、影りさに飛び掛かった。
「おっと、ごめんごめん」
「私は、今から勉強しなきゃいけないの」
私は、影りさにそう言った。
すると、影りさは、ひゃひゃっと笑い、
「私がするわ、勉強」
「え?」
「その為に私を呼んだんでしょ?私、貴方を助けに来たのよ?」
「う、嘘」
「嘘じゃないわ、ひゃひゃ」
「そうね、貴方は休んでなさい。後は私が……」
そういうと、影りさは、私の身体を押した。
ーえ……?
そのまま、私は暗黒の世界に入った。いや、入れられた。
「影りさー!」
暗黒の中から、私はそう叫んだ。
すると、影りさは、にやあ~と笑って、
「貴方、今は貴方が影りさよ」
そう言って、ひゃひゃと笑った。
「……!」
「まあ、そこで、おとなしくしてなさい、りさ」
「な、なによ!影りさ!私をここから出しなさい!」
「ひゃひゃ、試験が終わるまでよ。大丈夫、そしたら出したげるわ」
「あんた、私を乗っ取ろうと……」
「だあいじょうぶ、信用しなさい、私を」
暗闇……、
どこまで……どこまで、続くのか……。
わたし……を、出して……。
そう思っていたのは、いつなのか……。
その瞬間、天地が入れ替わった。
「え……?」
そこは、私の部屋。
「も……も」
戻ってきたのだ。
「か、影りさは……」
影りさは、どこにもいない。
そうして、あくる朝、
試験の結果、私は、赤点を取らず、大学に望みをつないだ。




