第2話 刻印のベーゼ(1)
二度目の舞踏会。
展開は、まるで判で押したように同じだった。
「あら、どこの貧乏貴族かと思えば……」
公爵令嬢カトリーナの嘲笑。
取り巻きたちの冷ややかな視線。
そして、私のオティアに向けられる、ねっとりとした情欲の目。
(ええ、そうね。吠えなさいよ)
扇子で口元を隠しながら、私は冷めた目で見つめていた。
一度目は恐怖と屈辱で震えていたこの場面も、展開を知っていれば、ただの通過儀礼に過ぎない。
「……ニーナお嬢様への侮辱、取り消していただきたい」
オティアが前に出る。
その背中は、一度目と同じく頼もしく、そして脆い。
「威勢もいいのね。……ねえ、賭けをしましょう?」
来た。
悪魔の――いいえ、ただの経験値稼ぎの誘いだ。
「そこの騎士と、わたくしの護衛で決闘をさせるの。……わたくしが勝ったら、その騎士の『所有権』を譲りなさい」
前回、私はここで激昂し、冷静さを欠いた。
けれど今回は違う。
私はオティアの背に手を添え、愛おしげにその銀髪を撫でた。
「……オティア。勝てるわね?」
「っ、はい!必ずや勝利を!」
オティアは私の期待に頬を紅潮させ、剣を抜く。
相手はあの剣技に秀でた大男。
今のオティアでは、万に一つも勝ち目はない。
(でも、勝利なんてどうでもいいの)
私は知りたい。
魔女の言葉が真実かどうかを。
この子の魂に刻まれた死の経験が、どう作用するのかを。




