魔王城の上の後日談
お久しぶりです、みなさん。
彼此、50年ぶりでしょうか?
相変わらず魔王様の侍女を勤めている、マリーベルです。
みなさんにご報告がありまして。
10年ほど前になりますが、恋人ができました。
40年ほど年上の魔人族の男性で、少し天然なところが可愛い恋人です。
20年前に100歳の成人になられた魔王様には、私の権限で強制的に侍従、侍女、側近を数名つけました。
成人となれば魔王業務がさらに増えますので、流石に私一人では賄いきれません。
なので、強制です。
今のところ脱落者はおらず、何とか仕事をこなしてくれているようで安心しました。
やっと私も休暇を取れるようになって、休暇を自分の時間に費やすことができます。
休暇の初日を丸々睡眠に充てたのは、仕方がないことでしょう。
恋人を作る余裕もできて、大満足です。
今日は20日ぶりの休暇。
もちろん、恋人とデートです。
待ち合わせは大通りの噴水広場。
恋人同士の待ち合わせでよく使われる場所です。
周りを見るとカップルの多いこと。
私も第三者から見れば、そう見られているのでしょうか?
少しくすぐったいですね。
私が到着した時には、すでに恋人は待ち合わせ場所で待ってくれていました。
手を繋いで大通りのお店を冷やかします。
お昼にはオープンテラスのカフェで食事をして、次の行き先をまったり話します。
植物園に行くか、それとも博物館に…………。
「マリーベル様、見つけた!!」
ちっ……
「マリーベル様、緊急事態です。魔王様が大変なことに!すぐにお戻りください!!」
ああああああ――――
せっかくのデートが……
「わかりました。すぐに行きます。」
楽しいデートはここまでのようですね。
優しい恋人は笑って許してくれましたが、恋人と泣く泣く別れ、魔王城へ走りました。
――――――
「……で?これが、緊急事態……??」
え?これが?何処が?
「緊急事態ですよ!魔王様が部屋に立て籠って出てきてくれません!」
魔王様の部屋の前で、魔王様付きの者たちが右往左往しています。
私は思わず、「放置でいいのでは?」と本音が漏れてしまいました。
別に一日仕事しないくらいでどうにかなることもありません。
仕事をしたくない日だってあるでしょうし。
「だ、駄目ですよ……。もし何かあったら……。」
あの魔王様ですよ?
最強の魔王様に何があるというのでしょう?
こんなことで、私のデートが潰されるなんて。
「放置で。」
「え、いや、でも……。」
「放置で。」
「…………。」
バンッ!!
「何で放置なんだよ!心配して来てくれてもいいじゃないか!?」
魔王様が元気よく扉を開けて出て来ました。
あぁ、やっぱり。
またですか。
魔王様の癇癪によって、これでデートを潰されるのは五回目。
一回目は実験室の爆破、二回目は行方不明、三回目は魔力暴走、四回目は書類の不備。
そして、今回は引き篭もりまたは仮病ですか。
「マリーベルは俺のだろ!?何で他のやつと出かけるんだよ!?」
いつになったら、まともなデートができるのでしょうか。
今回の恋人は懐が深いので笑って許してくれますが、いつまで許してくれるのかわかりません。
また振られそうな気がします。
「聞いてるのか!?マリーベル!!」
魔王様、もう成人したのですから、侍女離れしてください。
誰か、私にまともな休暇をください!!




