表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

城の尖塔の後日談


 柔らかな風が頬を撫で、小精霊たちが私の髪にイタズラをしていく。

花々が咲き乱れる庭園で、私は精霊たちと長閑な午後を過ごしていた。

何の心配もなくこんなにゆっくり過ごせるのは、結婚前以来のことであった。

 

 婚家から出戻った私を、国のみんなは以前と変わらず、快く受け入れてくれた。

……いや、変わらずというのは少し違う。

みんなが私に対して過保護になっていた。

家族や臣下だけではなく、全ての精霊を含めてである。

私はくすぐったい気持ちになりながらも、甘えさせてもらっている。

過保護な家族は、グリエット国について何も教えてくれないが、噂好きの小精霊たちが話を運んできてくれるから、あの国や国王たちがどうなったのかよく知っている。

何処にでも行くことが出来る精霊は、時に人の情報網を凌駕する情報を持ってきてくれたりもする。


 グリエット国は作物が枯れてしまった事で、多くの人が冬を越せないほどだと言う。

私に対する扱いが悪かった事で、精霊たちが怒ったことと、グリエット国から離れたことが原因だ。

一番被害を被るのは国民だろうが、シンフォニー国は一切助力はしない。

国民が直接悪いわけではないが、国同士の争いとはそういうものだ。


 国民や善良な貴族は、国王やその関係者に怒りをぶつけた。

極刑の案も出たようだが、それでは生ぬるいと判断されて平民落ちとした。

国民の苦労を思い知らせることと、国民に殺させることが目的らしい。

それだけ怒りが深かったことがわかる対応だ。

そして案の定、国王と愛妾は国民の手にかかってもういないとのこと。

死体すら残らなかったようだ。


 ……まぁ、自業自得の結果なので、私は特に何も思わない。


 グリエット国は何とか国として保っているが、弱り切った国に対して周辺国が黙って見ているわけはなく、周辺国はお互いに牽制し合いながら、虎視眈々と侵略の準備をしている。

正式にグリエット国が無くなるのも、もはや時間の問題だ。

すでにシンフォニー国は手を引いているので、後は勝手にするといい。


 シンフォニー国の目下の悩みとしては、離婚したとは言え、一度国外と婚姻をしているため、他国からの縁談が押し寄せいること。

もちろん、私を含めて。

 

他国にかまけてないで、自国で完結すればいいのに。


「ローゼ、ここにいたのか。」


「スヴァルトゥル、ごきげんよう。」


「ああ。」


 闇の精霊王スヴァルトゥル。

幼い頃からよく一緒にいたのに、ここ数年は姿を見せなかった。

けれど私がシンフォニー国に帰ってきてからは、頻繁に顔を合わせるようになった。

そして会うたびに花を一輪ずつ持ってきてくれる。

今日の花はファレノプシス。

昨日はマッティオラ、一昨日はアネモネ、その前はアルギランセマム。

私は気になって花を調べてみた。

これらの花言葉は全て――――。


 スヴァルトゥルと一緒にいる時間は、他の精霊も人も邪魔をしにこない。

みんないつの間にか気がついたら居なくなっている。

たくさんお喋りをするわけではないけど、スヴァルトゥルがいると心が落ち着いて安心する。

今日もまた挨拶を交わした後は、二人で並んで庭園をただ眺めるだけ。

でもこの穏やかな時間が、私にとって大切な宝物だ。






 


――――――


「いい加減、ズバッと告白すればいいのに……」


「うるさい。」


「ムッツリめ。」


「黙れ。」



学名ファレノプシス・アフロディーテ→胡蝶蘭

学名マッティオラ→ストック

学名アルギランセマム・フルテスケンス→マーガレット


よければ、花言葉を探して見てください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ピンクの胡蝶蘭。ピンクのストック。赤のマーガレット。 花言葉を調べてみたら色にも意味があるんですね。この色あたりだと思うのですが、如何でしょう(笑) 薔薇とスノードロップは送る時注意した方がいいで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ