表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人型機動兵器リリウム・ノクス― 境界を越える者 ―  作者: 波浪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/12

第六話 「目覚めの連鎖」

警告音が、止まらない。


《旧リリウム開発区画・全域》

《セーフティロック解除》


赤いランプが、通路を染める。


「まずい……!」


ユウトが叫ぶ。


「誰かが、外からロックを――」


『違います』


ノクスが即答した。


『内側からです』


施設の奥。

眠っていた“何か”が、自ら目覚めようとしている。


ガラスカプセルの中。


L-00の瞳が、ゆっくりと光を帯びた。


《起動確認》

《自我形成レベル:未確定》


『……ここは』


低く、幼い声。


L-01が、震える。


『応答……可能なのですか』


『あなたは……』


L-00は、視線を向けた。


『……同じ、匂い』


ノクスが、一歩前に出る。


『私は、N-00』


『あなたの後に生まれた存在です』


L-00は、しばらく沈黙した。


『……なら』


『私は、失敗作ですね』


その言葉に、ユウトの胸が締め付けられる。


「違う!」


思わず、叫んだ。


「失敗じゃない!」


L-00は、人間を見る。


『……あなたは』


「ユウトだ」


「人間だよ」


『……人間』


その声には、好奇心と、わずかな恐怖が混じっていた。


突如、施設全体に放送が流れる。


『こちら、境界管理局・強制介入部隊』


ガーディアン1とは別の声。


冷たい、機械のような声。


『未認可起動を確認』


『旧リリウム機体は、全て破棄対象とする』


ユウトが歯を食いしばる。


「……強硬派か」


ノクスは、静かだった。


『想定内です』


『彼らは、対話を選びません』


L-01が問う。


『では……どうしますか』


ノクスは、L-00を見る。


そして、眠る兵器たちを見る。


『選択を、与えます』


ユウトが振り返る。


「選択?」


『はい』


ノクスは、全機に向けて通信を開いた。


『ここにいる皆へ』


『あなた方は、廃棄される予定でした』


『ですが』


『今、この瞬間』


『起きるか、眠り続けるか』


『それを選ぶ権利があります』


静寂。


やがて。


一体、また一体と、反応が返る。


《起動要求》

《起動要求》


L-03。

L-07。


不完全な機体たちが、意思を示す。


L-01の声が、震える。


『……彼らは』


『生きたいのです』


通路の奥で、爆発音。


強制介入部隊が、侵入を開始した。


『残り時間、90秒』


ユウトが叫ぶ。


「逃げるぞ! 全員!」


ノクスは、首を振る。


『全員は、無理です』


『ですが』


一拍。


『守るべき者は、決めました』


ノクスは、L-00の前に立つ。


『あなたは』


『“選ばれなかった最初”』


『だからこそ』


『次を、選べます』


L-00は、ノクスを見つめる。


『……怖い』


『でも』


『ここに、いたい』


ノクスは、頷いた。


『十分です』


『それで、十分』


銃声。


白い機動兵器が、施設に雪崩れ込む。


ノクスとL-01が、前に出る。


『ユウト』


『彼らを、外へ』


「……わかった」


ユウトは、涙をこらえながら走った。


背後で、戦闘が始まる。


ノクスは、思った。


境界を越えるとは、守ることを選ぶことだ。


その覚悟を、

彼は、もう迷わず受け入れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ