題9話:過去
忙しくて書く暇がなかった…。
ようやく余裕が出来てきたので、ちょっとずつ執筆してました。
美咲の過去が少し分かりますが、展開が強引かも。
美咲ちゃんと響子さんの間に流れる、微妙な空気は耐え難いものがある。
どうしたものかとオロオロする俺を、響子さんがチラっと横目で見た。
「んじゃ、目的も達成したし、帰るわ」
「…」
美咲ちゃんは目を伏せたまま何も言わない。
「じゃあ、豊くんまたね」
「あ、はい、また」
「あ、そだ、メアド交換しよ?」
「え? でも」
チラっと美咲ちゃんを見ると、やっぱりジト目で睨んでました。
「いいから早く携帯出す!」
「…はい」
ポケットから携帯を出すと、響子さんに奪うように持ってかれた…。
赤外線通信を終えると、放り投げて返してきた。
「んじゃあね」
取り損ねた携帯が床に落ちる前に何とか捕まえて、
響子さんを見ると既にそこに居なかった。
「はやっ! ってか何だったんだ…」
ってかさっきからひんやりと冷たい視線に睨まれてます。
見なくても分かるほどに…。
「ねぇ、ゆたかくん」
怖! 妙に優しい声が怖!
「な、なんでしょう」
「さっき胸ばっか見てたよね?」
え? そっち? メアド交換のほうじゃないのね…。
「み、見てません」
「…」
無言で胸倉つかまれた!
「み、見てました…」
すると美咲ちゃんは自分の胸を押さえて考え込んでいる。
「お、大きければ良いってもんでも無いしさ」
「うん…あ! 揉んでもらうと大きくなるって聞いたことある」
「と、都市伝説でしょ…」
「じゃあ早速ゆたかく」「却下!」
「まだ何も言ってないよー!」
「だいたい分るから!」
素晴らしい提案だけど、大人の事情でそこは却下だ!
「大人の事情って何?」
「な、なんでもないよ、それより響子さんのことなんだけど」
「お響の話はしないで!」
美咲ちゃんは、ぷいっとそっぽを向いてします。
うーん、何か事情がありそうだな、今度和利にでも聞いてみるか。
その時、携帯がブルブルと振るえたので、ディスプレイを見てみると、メールだった。
タイトルを見ると『愛する豊くんへ』となっている。
ん? 美咲ちゃん? じゃないよなさっきから携帯なんて持ってもいないし。
本文を見てみると、響子さんからだった!
内容は告白かと思ったが、聞いて欲しいことがあるから、連絡くれという内容だった。
タイトル関係ないじゃん! っつか美咲ちゃんに見られたらヤバイじゃん!
「ふーん、もうそんな仲だったんだ?」
急に耳元で声がしたので、振り返るとイスに乗った美咲ちゃんが、
後ろから携帯を覗き込んでいた。
「っ!? ちが、違うから! さっきの今であり得ないでしょ!」
「分ってるよ…そのくらい」
ふっと、寂しそうな表情をする美咲ちゃん。
「美咲ちゃん…?」
「な、なんでもない…」
何か勉強という雰囲気でもなくなったし、なにより美咲ちゃんの様子が変だ。
今日は1人にさせたほうがいいのかも知れない。
「えっと…今日はもう帰るよ」
「う、うん…ごめんね」
「別に謝まる事じゃないよ」
「じゃあまたあしたね」
バイバイと手を振って美咲ちゃんの家を出た俺は、携帯を開き、早速、響子さんにメールを入れる。
- こっちはいつでも大丈夫です
するとすぐに返信が来た。
- じゃあ今から会える?
- OKっすよ
- まだ美咲ん家の近くよね? 駅前の喫茶店にいるから。待ってるわ。チュ
うん、最後のチュは余計だな。
美咲ちゃんに見られたら、あらぬ誤解を受けるから止めて欲しい。
駅前の喫茶店っていくつもあったらどうしようかと思ったけど、1軒しかなかった。
まだ新しい感じの店に入ると、すぐ目に付くところで響子さんが小さく手を振っていた。
「遅い! 初デートに遅れてくるとは何事か?」
「はい?」
何言ってんだこの人は!?
「冗談よ、座って?」
「あ、はい、あ、すみませんコーヒー下さい」
水を持ってきたウェイトレスにコーヒーを注文して、響子さんの向かい側に座る。
「話したいことって美咲ちゃんのことですよね?」
「うん、美咲のことというより、美咲と私の関係についてね」
「不思議に思ってました、友達…ですよね?」
「私はそう思っているけど、美咲は違うみたい」
そう言うと響子さんはしばらく窓の外を眺めている。
そして俺はと言えばその巨大な双丘を眺めてましたとも!
「美咲には…」
「え?」
不意に響子さんが話し始めた。
「美咲には、歳の離れたお兄さんが居たの」
「え!?」
「でもねそのお兄さんは私たちが中学生の時に、事故で亡くなったの」
「そ、そうなんですか…?」
「美咲はお兄ちゃん子だったから、それはもう酷く悲しんでいたわ、
葬儀が終わって学校に行くようになってからも、美咲はほとんど喋らなくなったの」
「…」
「いつも思い詰めた感じで、私や和利とも喋らなくなってしまったわ、
和利は付かず離れずの距離で見守っていたみたいだったけど…」
「けど私は当時、ずっと好きだった人と付き合い始めたばっかりで、
何をするのも楽しい時だった」
それは分かる気がする。
ウェイトレスが俺のコーヒーを置いて下がるの待ち、再び響子さんが口を開いた。
「本当だったら1番近くにいた友達として、美咲を支えてあげなければいけなかった、
でも、私は彼氏を優先してそれを放棄したの、ひどいと思うでしょ?」
「い、いや、それは何とも…」
「正直、私は美咲に対してどう接すればいいか分からなかった、幼かったのね」
そう言いながら響子さんは悲しそうな顔をする。
「中学生ではしょうがないと思いますよ」
「そうね、でも美咲は見捨てられたと思ったみたい、
昔は良く私の家にも遊びに来ていたけど、それも無くなったわ」
「元の関係に戻りたいと?」
「もちろんそう望むけど、どうかな?」
期待に満ちた目で見るの止めて下さい…。
「お、俺に聞かれても困るけど、昔の気持ちと今の気持ちを伝えて、
そして誠心誠意謝れば許してもらえるかも知れないですね」
「そうかな?」
「はい、でも保証は出来ないですけどね」
「そうね、その時は豊くんに慰めてもらおうかな?」
そういうと腕を胸の下で組んで、胸を強調する。
えっと…これはなんのアピールですか?
「いやいやいや、それおかしいから」
「豊くんは美咲のお兄さんになんとなく似てるわね」
「え? それって…」
お兄さんの面影を俺に見てるってこと?
「あ、でもお兄さんの面影を、あなたを見ている訳じゃないと思うから、安心して」
響子さんは俺の心を見透かしているようにフォローする。
「そう願いますね」
「豊くん」
急に真剣な口調になる響子さん。
「はい」
「美咲をちゃんと見てあげてね、私の胸ばかり見てないで」
「は、はい…」
バレてましたか…、っていうか真剣な口調で言うことか?
「そして、私と美咲の仲も取りもってね」
「ぜ、善処します」
「その時にはちゃんとお礼もするから」
そういうとまた腕を胸の下で組んで、胸を強調する。
だからそれは、何のアピールやねん!