表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
硬派な彼女  作者: Satch
6/12

第6話:宣戦布告、後編

「なっ!? わ、わたしだってゆたかくんをあんたになんか渡さないんだから!」


ビシッとカナに向けて指を指してますが、大人気ない…けど、ちょっと嬉しい。


「おい、カナ! 美咲ちゃんは俺の彼女だぞ」


「なっ!? にーちゃんロリコンだったのか?」


ちげーよ、っていうか高校生って言ったの聞いてなかったのか?


「え!? ゆたかくんロリコンだったの?」


「ち、ちがっ」


ロリコンではないけど、彼女が見た目小学生だから、そう思われても仕方ないのかな。

っていうかこの連携は何? この2人本当に初対面か?


「カナは立派なれでぃだけど、ミサキチはロリじゃん?」


と無い胸を反らしている。


「誰がミサキチよ!? って誰がロリよ!? 17歳よ!

あんたこそレディも言えない幼女じゃないのよ!」


美咲ちゃんは目の端にうっすら涙を浮かべている。

がんばれ美咲ちゃん!


「むぅ…にーちゃんはカナと結婚するんだぞ」


「えっ!?」


えっ!?


「ちょっとゆたかくん…どういうこと!?」


俺も初耳です。つーか怒りの矛先が俺に向きつつあるこの状況、どうしよう。


「えっと…カナさん何をおっしゃられているんですか?」


「にーちゃんが風邪で寝込んだ時、心配で見に来たカナの手を握りながら、結婚しようって言ったもん」


「手を握…」


ちょいと美咲さんそこに反応するのおかしいでしょ?

でも、いや、ちょっと待てよ…


「言ったかもしれない…でも、あれは」


手違いというか人違いというか。


「…」


「美咲ちゃん…?」


美咲ちゃんは俯いて身体をわなわなと震わせていた。


「ゆたかくんのバカァ!」


美咲ちゃんは階段をダダダと降りていき、すごい勢いで玄関から出て行った。

最後に玄関のドアがバタンと閉じると家全体が揺れた。気がした。


「…にーちゃん? バカとかアホとか甲斐性なしとか言われてたね」


「うん…いや、そこまで言われてねーよ!」


「ところでにーちゃん、結婚って何?」


ええ、そりゃもう盛大にずっこけましたとも!





休み明け学校に来るのがこんなに憂鬱だったことがあっただろうか?


「ないな」


「ちょ…和利! 心読むな!」


登校中に悪友に見つかり更に憂鬱になった。


「美咲から聞いたぜ、喧嘩したんだって?」


「うん、まぁ…」


「おっと、助けを求めようとしてもダメだぜ、痴話喧嘩の仲裁はゴメンだ」


痴話って…


「じ、自分でなんとかするよ…」


「美咲はああみえて結構頑固だぜ、まあガンバレよ!」


「ああ」


朝から元気のいいやつめ、普段はここから一緒に登校するのに、

作戦を考える時間をくれたということか?


作戦か…変に作戦など立てずに素直に謝ったほうがいいな。





「美咲ちゃん、おはよー」


「ぷぃ」


そっぽ向かれましたっていうか、ぷぃってやっぱ自分でいうんだ…。


「ぷぃ」


美咲ちゃんが向いたほうに行くと、今度は逆方向にそっぽ向く。

っていうかその効果音聞くと本気で怒っているのか疑問に思うよね?


でもどうすっかな、この姫の状態。

そろそろ1限目始まるし、ここは昼休みしかないな。





結局授業の合間の休み時間では、聞く耳すら持ってもらえなかったので、

強行手段で逝きたいと、いや行きたいと思います。


昼休みに入ったと同時に美咲ちゃんのところに行き、そのままお姫様抱っこ。


「えっ!? ちょ…なに?」


さすがの美咲ちゃんも面食らっているご様子です。


「ちゃんと訳を聞いて欲しいんだ、いいよね?」


「う、うん、わかったから、下ろして」


その返事を聞いて、お姫様抱っこのまま教室を出て屋上に向かう。


「おろしてぇぇぇ!」


「なんだなんだ?」

「ていうかあの娘あんなキャラだったか?」


教室では普段と違う美咲ちゃんに戸惑いの声が上がっていた。





「だからね美咲ちゃん? カナに言ったことは、間違いなの」


「間違い? 間違いで結婚なんて…言わない」


両腕を組んだ姿勢で、怪訝な顔をこちらに向ける。


「いや間違いというか人違いなの」


「人違い? 誰と間違えたのよ!」


目の端には涙が浮かんでる。


「誰と…って」


美咲ちゃんって意外と鈍感?


「美咲ちゃんに決ってるじゃん?」


「…っ!?」


美咲ちゃんは一瞬で全身真っ赤になりました。

いや全身を見たわけではないけどね!


「で、でも、なんで…あの子と間違ったの?」


「そ、それはもう別にいいんじゃない?」


全身からいやな汗が出てきてます。


「なんか怪しいな」


じーっと、ジト目で見てくる。


「あ、あや、怪しくねーし」


「んー? 正直におねえさんに言っちゃいなさい」


美咲ちゃんは鼻先数センチのところまで顔を近づけてくる。

顔近いって! っていうか、おねえさんって誰よ?


「あの時は風邪のせいで、意識が朦朧としていたわけなんですが」


「そんなことはどうでもいい」


「すみません…」


うぅ、この娘は弱み握ると、姫から女王様になるんですか?


「誰が女王様かー」


心まで読んでくる超人ですね。


「えっとですね、カナのシルエットがですね、美咲ちゃんに見えたわけなんですよ!」


「あの子のシルエット…小学生だよね、

んで、その小学生のシルエットとー、わたしのシルエットを間違えたということは…」


「んじゃ、教室もどろっかなー…」


何か命の危険が近づいている気がするので、その場を立ち去ろうとするも


「…まて」


ええ、当然呼び止められましたね。

しかも地獄の底から響くような重低音です、みなさんお元気で!

命があったらまた会いましょう! ぐすん…




ガコン!


「いだっぁぁぁぁ!」

宣戦布告っていうほど恋愛バトルは無かったですね^^;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ