第3話:美咲ちゃん家へGO!後編
「…いつまで憑いて来る」
「それ字違うし! 俺、超生きてるし!」
「どうでもいい…」
えっと…泣いていいですか?
「…どこまでついて来る」
電車を降りてもついてくる俺に少し不機嫌そうに問いかけてきた。
「それは、美咲ちゃんの家までだけど?」
「…」
え? 無視!? 自分から聞いといて無視!?
…
「え!? ここが美咲ちゃん家? でけぇ…」
門が大きくて玄関前には車が止められている、そんな豪邸が目の前に広がっている。
「…そこは隣」
「え? あ…あはは」
美咲ちゃんがお嬢様っていう妄想が先行して勝手にこの家だと思い込んじゃったよ。
「へーここか…」
まぁごく一般的な2階建ての一軒家だった。
「何が言いたい?」
「いえなにも…ってかさっきの家がデカ過ぎだ!」
「あの家と比べるな」
「うん」
美咲ちゃんは門を開けて振り返った。
「…それじゃ、さよなら」
「えぇ!? ちょっと待ってよ」
「…何?」
いかにもめんどくさいと言った感じで聞き返す。
「何って…美咲ちゃんの部屋見たいなーって」
「…」
ちょっと嫌な顔しているけどさ、本当に家見てバイバイだと思ってたのか!?
ってか変なことしようとか思ってるわけじゃないよ?
純粋にもっと話しをしたいなーって、美咲ちゃんは外だと自分を抑えている感じがするんだよね。
美咲ちゃんの部屋なら他に誰も居ないし、本当の彼女が見られるんじゃ無いかと、そんな感じです。
って俺、誰に話してる?
「あら、美咲帰ったの?」
その時ドアが開いて、美咲ちゃんに似ている綺麗な女性が顔を出した。お姉さん?
「あ、お母さん」
「!?」
美咲ちゃんのお母さんだった!?
「あらあら、お母さんなんて何年ぶりに呼ばれたかしら? いつもはママなのに」
「…」
みるみるうちに美咲ちゃんの顔が真っ赤になっていく。
まぁママって呼ぶのは想定内だから気にしなくていいのに。
「あらそちらの方はどなた?」
「通りすがりのバカ」
通りすがりのバカってどんなやねん!
「こ、こんにちは、あの俺、竹田豊って言います、美咲ちゃんのクラスメートです、今は」
「『今は』ってところが意味深ね」
と美咲ちゃんのお母さんは俺にウインクした。 色っぽい…。
ボーっと見てたら、何故か美咲ちゃんが睨んでました…俺、何かしたかしら?
「まぁ、ここじゃなんだし、あがんなさい」
「はい!」
「ちょっとお母さん! あんたも即答すんな!」
そりゃ即答もしますよ、それが今回の大きな目的だしね。
…
「へぇ、ここが美咲ちゃんの部屋かー」
玄関脇の階段を上った2階の部屋の1つが美咲ちゃんの部屋。
明るい色調をベースにしていて、ぬいぐるみとかもあり女の子らしい部屋だった。
「…変態」
「えぇ!?」
確かに今ニヤニヤしてたけどさ、いきなり変態って…いやまちがっちゃいないけどさ。
「ここは開けたらダメなんだからね」
美咲ちゃんは小さな手をいっぱいに広げてタンスの前に立った。
まぁおそらく下着とか入ってるんだろうけどバレバレだよね?
見たいのはやまやまだけど、それはまた今度見るからいいや。
「美咲ー、紅茶いれたから持って行きなさい」
「…開けたら殺す!」
そう言い残して美咲ちゃんは部屋を出て行った。
「こぇー…」
あのタンスじゃなければ開けてもいいんだよね?
勉強机の引き出しを開けてみる、シャーペンとか消しゴムがいっぱい入ってる。
なんでこんなに入ってるんだろう? 集めるのが趣味なのかな?
別の引き出しを開けると1枚の写真が目に入った。
それを手に取ろうとした瞬間、ドアが開いて美咲ちゃんが戻って来た。
「あ! 開けるなって言ったでしょ!」
「え? だってあのタンスは開けてないよ?」
「そういう問題じゃない!」
「えぇ!?」
「しかも本人に見られるなんて…」
「ん?」
「あの写真は別になんでもないの!」
美咲ちゃんは涙目で何を言っているんだろう?
「べ、別にあんたを写そうと思って撮ったんじゃないんだから!」
なにこの基本的なツンデレ口調…あの写真には俺が写ってるの? どんな写真か気になって来た。
美咲ちゃんがちょっと涙をぬぐった隙に、写真を手に取った。
それは俺が友達と談笑していると思われる写真で、俺しか写ってない!
っていうかはっきり俺だけを写してるじゃん!
「あ! こら! 何度も見るな!」
「何時撮ったんだぁ! こんな写真!?」
「え?」
「全然気付かなかった…」
「も、もしかして今初めて見たの?」
「うん」
「…!?」
美咲ちゃんは両手で顔を隠してしゃがみこんでしまった。
えっと…さっきから美咲ちゃんの印象が変わっていくんですが何コレ?
しばらくすると真っ赤な顔の美咲ちゃんは立ち上がって言い放つ。
「そうよ、ゆた…あんたを撮った写真よ! 文句ある?」
「…いえ、ありません」
何故に逆ギレ?
「文句はないけど、何故俺の写真を?」
「うぐっ! そ、それは…」
「それは美咲が豊を好きだからだよ」
「えぇ!? 美咲ちゃんが俺を? って和利!? なんでここに…?」
何故、和利がここに? もしかして美咲ちゃんと付き合ってる?
「ん? ああ、俺と美咲とは幼馴染なんだ」
「そうか幼馴染か…って、えぇ!?」
何よそれ何なのよーって、おねぇ言葉になっちゃうよ!
「ちょ…おまっ、そんなこと一言も…」
「うん、面白そうだから黙ってた」
「面白そうだからって…」
そうだった、こいつは前からそんな性格だった。
「それと美咲とは小さい頃から一緒で、兄妹にしか思えないから気にしなくていいぞ」
「分かった…っていうかさっきのは本当のことか?」
「幼馴染か?」
「違う! その前の…その」
「ああ、美咲が豊を好きって話だろ?」
「う、うん」
「それは美咲本人から聞いたほうがいいんじゃないか?」
「そうだけど、って美咲ちゃんはどこに?」
「ああ、それならあそこだろう」
和利が指差したのは白い洋服ダンスだった。
「ま、まさか…」
「美咲は都合が悪くなると決まってあそこに入るんだよ」
「美咲ちゃんがこんなところに……居た!」
洋服ダンスを開けると、美咲ちゃんは向こう向きで体育座りをしていた。
そっと肩に触れるとビクっと大きく飛び上がった。
「ひゃあ!」
洋服ダンス開けられた時点で気付けー!
「美咲? 豊に告られたんだろ?」
「…うん」
洋服ダンスに入ったまま返事する美咲ちゃん。って叱られた子供か!
「それなら、ちゃんと応えてやれ」
「う…うん」
そろそろと洋服ダンスから出てくる美咲ちゃん。
出てくる時、少しめくれたスカートから伸びた太ももが見えて、ドキっとする、
そして少しだけ白いものがチラっと見えたけど、ここは黙っとこう。
「あ、あの…」
美咲ちゃんはモジモジとしながら何かを言おうとして和利を見た。
「ん? じゃあ後は若い2人でって事で、老兵は立ち去ります」
「お前同級生だろが!?」
和利が出て行くとシンと静まり返った部屋と、ガチガチに緊張した美咲ちゃんが居た。
「あ、あの…ゆ、ゆたかくん…?」
「お、おう」
ゆたかくんなんて呼ばれると、なんかくすぐったい。
「わ、わたしも…ね」
「う、うん」
「その…」
「…」
「ゆ、ゆたかくんが好き…」
「や、やったぁ! いだぁ!」
感激のあまり抱きつこうとして、思いきりビンタくらいました!
よくよく考えたら、ここって和利ん家の近くじゃん!
そうか! 和利ん家から帰るときに美咲ちゃんを見たんだ。
「でも、どうして俺を? 美咲ちゃんとは接点が無かったと思うけど」
「それは、子犬を抱き上げてすごく優しい顔してたから…」
俺が美咲ちゃんに惹かれたのと一緒かい!