第2話:美咲ちゃん家へGO!前編
サブタイトルを修正しました。
「美咲ちゃんまだかなー?」
学校の最寄駅の改札で、美咲ちゃんが登校してくるのを待っている。
流石に美咲ちゃん家の最寄り駅じゃ、今度こそ嫌われてしますかも知れないしね。
「おーい、豊?」
「おう、和利か」
嫌なタイミングで声をかけてきた親友に軽く手をあげて応える。
「何やってんだ?」
「ん? ちょっとな…」
「また、ストーカーか?」
「ストーカーじゃねーし! …そんで『また』って何だよ!」
「まぁ、通報されねーように気を付けろよ、変態」
「変態…は否定しないが?」
「しないのかよ!」
「それよりお前さっさと学校行け!」
手で追い払うような仕草をすると和利は
「馬に蹴られればいい」と捨て台詞を吐いて去って行った。
「蹴られねーし、っていうかその辺に馬は居ないだろが…」
「っていうか美咲ちゃんおせーな」
とつぶやいて改札を見た瞬間、美咲ちゃんを発見!
同じ制服の群れから美咲ちゃんを一瞬で発見するなんて運命?
「おはよー!」
「…」
美咲ちゃんは俺の姿を認めると、何も言わずに素通りしていく…。
「無視!?」
まぁ、予測の範囲内だけど、ここまで予想通りだと少しメゲそうになります。
「ねぇねぇ、待ってよ美咲ちゃん!」
「…慣れ慣れしく名前で呼ぶな」
やはり睨んだ顔もかわいい、っていうか睨んでる風に見えないんだけどさ。
「一緒に学校行こうよ!」
「…馬に蹴られればいい」
ちょっ…え? それって今、流行ってるんですか?
「ね! カバン持ってあげるよ」
「うるさい!」
「あぶっ!」
美咲ちゃんカバンが俺の顔スレスレを通っていった。
「…その場しのぎで、告白する奴なんて信用できない」
「あー…アレねー」
「…」
「いやなんつーか、自分でも後になって恥ずかしくなってさ」
「恥ずかしい…こと」
「あ、いや、そういう意味じゃなくってさ」
「…?」
「いつかは告白するつもりだったけど、あのタイミングでするとは自分でもびっくりでさ」
もう告白しちまったもんは事実として受け止めないとね。
「え…?」
なぜか美咲ちゃんはきょとんとした顔している。
「だから、告白自体はその場しのぎじゃなく、本気なの、分かる?」
すると美咲ちゃんの顔がだんだん赤くなって来たように見えた。
その瞬間「…先行く」と言って突然走り出した。
「ねぇ、今顔赤くなってなかった?」
走り去る背中にそう声をかける。
「別になってない」
「えー?」
「なってない!」
確かに美咲ちゃんの顔は赤くなっていたと思う。
単純に照れているだけなのか、それとも…?
昼休み美咲ちゃんの前の席が空いていたので、後ろ向きで座ってみる。
本に夢中で俺に気づかない、つーかどんだけ熱心に読んでるの?
どんな内容の本を読んでいるのか気になったので、ちょっと覗き込んだ時、
ようやく美咲ちゃんが顔を上げた。
「…!?」
その距離、数センチ。
アップでみる美咲ちゃんは、反則的にかわいい。
「いきなり何をする!」
「いだぁ!」
いきなりグーでパンチ食らいましたよ!
えっと…
「それは俺の台詞だと思うけど…?」
「いきなりキスしようとした」
「はぁ!? 教室でそんなことするかぁ!」
「それもそうか…」
なにやら美咲ちゃんはブツブツ言っている。
「え?」
「うるさい!」
「あぶっ!」
今度はギリギリで避けれた。
「避けるな!」
「えぇ!? そんなむちゃな!」
「…馬に踏まれればいい」
えぇ!? 蹴られたあと踏まれるってこと?
つーか馬は確定なのかな…。
その時、午後の授業開始の予鈴が鳴った。
「じゃあ、美咲ちゃん、今日一緒に帰ろうね!」
「…」
「照れちゃって」
「照れてない…馬になればいい」
馬になる……えっと、それどういう状況なんですか、ってもういいや疲れた。
帰りのホームルームも終わり、美咲ちゃんの席を見たら、もういない!
ホームルーム終わってまだ数秒だよ? どんだけダッシュしたんだぁ!
とはいえ女子の足だし、特に美咲ちゃんはちっさいのでダッシュすれば追いつくだろう。
ダッシュで下駄箱に向かうと案の定、ローファーに履き替えてる美咲ちゃん発見!
「おまたせ!」
「…待ってない」
だよねー。
美咲ちゃんは渋々といった感じでローファーに履き替えるのを待ってくれている。
なんか彼氏を待つ彼女みたいでこういうのいいね。
「ねぇ美咲ちゃんは彼氏いるの?」
「…」
駅へ向かいながら確認のために聞いてみたけど、華麗にスルーされました…。
駅に着くと「じゃあ」と言って、美咲ちゃんは自宅に帰る電車のホームに歩いていく。
当然俺も着いていき一緒に電車に乗る。
「…!? なぜ着いてくる…」
「つーか、気付くの遅!」
「…あんた逆方向」
「うん、まぁ、逆…かな?」
「はぁ…」
そんな大きなため息つかなくても、ん? あれ?
「っていうかなんで逆方向って知ってるの?」
「知らない」
「でもはっきり逆方向って言ってたけど?」
「知らない!」
ぷいっとそっぽを向いてしまったけど、そんな表情もかわいいね!
でもなんで俺の家が逆方向だって知ってたんだろう? まさか! 美咲ちゃんも俺のこと!?
なーんてあるわけ無いよね、今までそんな素振りすら見たこと無かったし、
たぶん電車に乗ってるところかホームにいるところでも見たんだろう。
「へへへ」
「…キモイ」
少なからず美咲ちゃんが、俺のことを知っていてくれたことが嬉しくて、ついニヤけてしまった。
「いやなんか嬉しくてさ」
「バカ?」
「そうそう俺バカだから…ってバカじゃねぇ!?」
少しはクールになったか…