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硬派な彼女  作者: Satch
12/12

最終話:近い未来

最終話です、本当は前回で終わらせる予定でしたが、

ちょっとだけ延ばしました。

「ねぇ、あれもう使った?」


結局みんなでひとしきり遊んで休憩している時、不意に響子さんが言った。

チラっと美咲ちゃんを見ると、かなと楽しそうに話してる。


「俺たちまだそんな関係じゃないっすよ」


「相手が幼児体型の美咲じゃ、する気にならない?」


なぜか響子さんは無駄にデカい胸を揺らすので、手のやり場に…もとい目のやり場に困る。


「そういうことじゃないですけどね」


「え? まさか豊くんにペド…の趣味が?」


「それはない! 忘れているかもしれないですが、美咲ちゃんは高校生ですから」


「…そうだった、かなちゃんと話しているのを見てると、つい忘れちゃうんだよね」


うん、背格好もだいたい一緒だし、かなと同い年に見えても仕方ないか。


「まぁいずれ2人の気持ちが盛り上がったら、自然となるようになると思います」


このままどんどん距離が近づいて行けば、健康な男女ならいつかそうなるでしょ。


「その時はちゃんと使ってよ?」


「何を?」


「んな! そんなエロい事を私に言わせる気か!」


「えぇ!?」


エロい事ではないと思うが、渡してきた本人が何言っちゃってるの?


「も、もちろんその時は使いますよ」


「美咲を傷つけたら、分ってるよね?」


と言って響子さんは腕で俺の首をホールドするが、巨大な肉の塊りが目前に広がる。


「分ってます! っていうか胸が! 胸がぁぁぁ!」


「あ、それ知ってるラ○ュタでしょ?」


「違う!」


「なにお響の胸に顔うずめてるの!」


「それも違う!」


っていうか地味に腕をつねるのやめてぇ! 手がちっちゃくて余計痛い!


「きゅ、休憩終わり!」


「あー誤魔化した!」


今の話をここで追求されたら困るし、かなもいるし、誤魔化すしかないっしょ。


「美咲ちゃん、あれに乗ろう!」


指差したのは、2人乗りの浮き輪で滑るウォータースライダー。

『ウォータースライダー?』って最後のハテナはなんやねん…。


「かなも乗りたい!」


「かなちゃんは私と乗ろうねー」


「むー…」


かなはしぶしぶといった感じで響子さんと手をつないで歩いていく。





さほど待つこともなくウォータースライダーに乗る順番が来た。

バランスの問題もあり、美咲ちゃんが前で俺が後ろに乗る。


その時まで気付かなかったが、2人で浮き輪に乗ると、ほとんどぴったりとくっ付くような感じだ。


「ひゃう! ゆたかくんあんまりくっ付かないで…」


「そ、そんなこと言われても…ちょっとだから我慢して」


「う、うん」


「準備よろしいですか?」


無駄にスタイルの良い係員のお姉さんが、胸を揺らしながら確認してくれる。


「はい、お願いします」


係員のお姉さんは無駄にデカい胸を揺らしながらボートを力いっぱい押した。

胸を強調しているのは特に深い意味は無いですよ? いやまじで。


「にゃぁぁぁああああぁぁ!!」


ボートが滑り始めた途端、美咲ちゃんが尻尾を踏まれた猫のような声で鳴いた、もとい叫んだ。

美咲ちゃんの体がグイグイ俺に押されてきて、柔らかい感触とかいろいろヤバいっす。


最後はやはりお約束のように転覆しましたよ。


ぜんぜん深くないが、水の中で美咲ちゃんをキャッチして水面に出る。


「ゆたかくん…?」


「うん? 何? 美咲ちゃん」


「あのね、手がね…」


「手?」


美咲ちゃんの手を見るが、特に気になるところは無い。んで俺の手は…。


「ぬぅおぉぉぅ! ご、ごめん」


思わず胸を掴んでいたみたい、まぁ掴むほど無いんですけどね。


「あ、あるもん!」


俺の心を読んで、頬を膨らます美咲ちゃんは天使のようにかわいいね。


「おだててももう遅い!」


「すみません」


頼むから心を読まないで欲しい。


ウォータースライダーのプールサイドで、待つこと数分で響子さん達が降りてきた。

響子さんの胸の揺れは堪能できたが、ポロりは無かった。


「ちぇ…」


美咲ちゃんに物凄い目で睨まれた。





夕焼けに染まる街を、美咲ちゃんと手を繋いで帰る。響子さんは半分寝ているかなを連れて先に帰った。


「ねぇゆたかくん休憩の時、お響と楽しそうに何を話してたの?」


「え? それは…」


あれが楽しそうに見えたのか…。まぁ最後は少し嬉しかったが。


「浮気の相談だ!」


「違う!」


「じゃあ何?」


美咲ちゃんはジト目ですぐそばまで顔を近づけてくる、っていうか近いし!


「み、美咲ちゃんのことだよ」


「私のこと?」


「そそ」


「お響のことだからろくな話じゃないんでしょ?」


当たってる! っていうか誰でも当てられるか…。


「うーん、いつか話してあげるよ、たぶんそんなに先じゃないと思うから」


「…」


美咲ちゃんはじぃっと俺の顔を見つめてから、ため息をつく。


「うん、ゆたかくんを信じてるもん、その時まで待ってる!」


夕焼けに伸びる2つの影が1度だけぴったりとくっ付いてすぐ離れ、また手を繋いで歩き出した。

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