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硬派な彼女  作者: Satch
10/12

第10話:仲直り

翌日の学校からの帰り道、いつものように美咲ちゃんと手を繋いで帰る。


「ねぇ、美咲ちゃん?」


「なぁに?」


と可愛い顔で見上げてくる。


「あのさ、き」「お響の話はしないで!」


ぷぃっとそっぽを向いてしまうけど、手は繋いだままだ。

っていうか反応、早! 「き」しか言ってないのに…。


「な、なんで分ったの?」


「真顔になった」


そっぽを向いたまま答える美咲ちゃん。


えっと…え? そんなに普段ニヤけてるってこと?


少しヘコみながら響子さんと1度会うように勧めてみる。


「お響の話ばかりするゆたかくんなんか嫌い!!」


美咲ちゃんは繋いでいた手を振り解き駅のほうに走って行ってしまった。


「なんだまた痴話喧嘩か?」


「ちげーよ、っていうかまたって言うな!」


振り替えると和利が、ニヤけながら立っていた。


「今度は何だ? イタズラでもしようとしたか?」


「イタズラって…忘れてるかも知れないけど、美咲ちゃんは同級生だからな!」


「冗談だ」


「タチの悪い冗談はやめろ…」


「それで何かあったのか?」


少し真顔になった和利へ、さきほどまでの経緯いきさつを話した。


「っていう訳で、説得失敗したところ」


「…」


和利は腕を組んで目を瞑り、何やら考え込んでいる。


「和利?」


「…やめとけ」


「え?」


目を開けた和利は真剣な顔で俺に言うんだ。


「変に首を突っ込むな」


「なんでだよ!」


和利は少しだけ目線を泳がせ、また視線を合わせてきた。


「美咲との関係が終わっても良いのか?」


「それは……困るけど…」


「だったらもう美咲とお響の事には関わるな」


「…」


「俺も豊たちには仲良くしていて貰いたいしな」


そう言うと和利は俺の肩を叩き駅のほうに歩いていった。


「本当にそれでいいのかな…」


俺の呟きは夕焼けに染まりつつある空に、静かに消えていった。





翌日、美咲ちゃんは学校を休んだ。

和利に聞いてみたが何も聞いていないということだった。


「どうしたもんかな」


美咲ちゃんとの関係に亀裂が入るのも嫌だけど、一つだけ気になっている事がある。

それは美咲ちゃんが響子さんのことを『お響』と呼んでいた事。


美咲ちゃんもどこかで響子さんとの関係が、元通りになる事を願っているんじゃないかと思う。


俺は授業も聞かず(いつものことだが)に作戦を考えていた。

そして思いついた作戦が「美咲ちゃんのお見舞いに行こう大作戦」だ。





放課後、俺と響子さんは美咲ちゃん家の前に居た。


「本当にいきなり行って大丈夫なの?」


響子さんは少し不安そうな顔で腕を組んで来た。っていうか胸を押し付けるな!


「大丈夫…な訳は無いかな」


「だったらやめない?」


「でも、こうでもしないと会ってくれないと思うよ?」


「うーん、そうだよね…」


「じゃ響子さん頑張って!」


「えぇ!? 丸投げ?」


「…」


「ねぇ、一緒に来てよー」


ぐいぐいと俺の腕を引っぱる響子さん。

ぽよんぽよんと抗い難い誘惑が俺の肘に直撃してます。


「わ、わかりましたから」


「わかれば良し!」


くっ! 可愛らしいところがあると思ったら演技だったか!




美咲ちゃんのお母さんに許可を貰い、美咲ちゃんの部屋に向かう。


「美咲ちゃーん、開けるよ?」


「え? ゆ、ゆたかくん? ちょ、ちょっとまって…」


部屋の中を走りまわる美咲ちゃんの足音が響く。

首を傾げながら響子さんを見ると、「部屋を片してる」と小声で言った。


「なるほど」


まぁ、元気そうなので、ほっとする。


「ど、どうぞ」


「開けるね」


「うん」


とりあえず俺だけ美咲ちゃんの部屋に入る。

えぇ、響子さんの無言の目力で指示されました…。


「…」


「…」


昨日あんな別れかたをしたので、お互い気まずい空気が流れる。


「「あ、あの…」」


同時に同じセリフを言って二人で赤くなる。


「ゆたかくんから…」


「いやぁ美咲ちゃんから…」


と二人ともモジモジしていると「ええい、付き合いたてのカップルか!」

と言いながら響子さんが乱入してきた。


「まぁ付き合いたてと言えば付き合いたてだけど」


「んなぁこたぁどうだっていいの!」


「タモさん?」


「髪切った? って誰がタモさんだ!」


どうやら響子さんは乗りやすい体質のようだ。


「ゆたかくんどういうこと?」


「…」


美咲ちゃんは鋭い眼差しで俺を睨む。


「出てって!」


「美咲ちゃん…」


「ゆたかくんもお響も出てって!」


「それだよ美咲ちゃん!」


「…?」


「美咲ちゃんは響子さんのことを嫌っているのに、昔の呼び名で呼んでる」


「…っ!? そ、それは…」


「本当は美咲ちゃんも昔のような関係に戻りたいと、思っている証拠でしょ?」


「…」


俯いてしまった美咲ちゃんから、響子さんに目線を移し合図を送る。


一瞬(?)な表情をしたけど、すぐに察したようだ。


「美咲! ごめん、ごめんなさい!」


美咲ちゃんの前で土下座をする響子さん。


「…」


「美咲がつらい時に傍にいてあげられなくて…でもね…」


「待って!」


「え?」


「わたしはそんなこと気にしてない!」


「?」


「なんで彼氏が出来た事言ってくれなかったの!?」


え? そっち?


「確かに最初は、なんでお響が傍にいてくれないのか恨んだけど、

和くんから彼氏が出来たらしいと聞いて恨みは晴れた。

だってお響の幸せを奪う権利はわたしには無いから、それに…」


「それに?」


「…お響が幸せならわたしも幸せだと思ったから」


すると響子さんは美咲ちゃんに抱きついて泣き始めた。


「うぅ、ごめん美咲、今度彼氏が出来たときには真っ先に報告するからね」


俺はそこまで見届けて美咲ちゃんの部屋を出た。

女どうし積もる話もあるだろうから今日はもう帰ろう。



自宅に着くと携帯にメールが2通入っていた。


1通は美咲ちゃんから


- ゆたかくん、今日はありがとう、それと嫌いって言ってごめんね(はぁと



もう1通は響子さんから


- ありがとー! 見た目バカっぽいけどやる時はやるね!(はぁと


うん、泣いていいよね? っていうか美咲ちゃんの送ったメール見てから送ってるよね?


でも…実質俺って何もしてないような…。まいっか。





今日もまた、美咲ちゃんの家で、勉強会です。


「美咲ちゃん、ここ分かんないんだけど」


「ここはね…」


その時いきなりドアが勢い良く開いた。


「うお!」「きゃあ!」


美咲ちゃんが俺の胸にしがみついてきた。


「あたしだー」


見ると巨乳…響子さんが悪びれもせず、ニカーっと笑ってた。


「もう、お響! 脅かさないでよ!」


「うん、まぁ、ごめん、っていうかご馳走様」


「え?」


自分の状況を確認した美咲ちゃんは、俺から勢い良く離れて、身だしなみを整える。


「それより、お響、今日遊ぶ約束してたっけ?」


「いんや、うちの両親が旅行に行ったお土産を持ってきたついで」


「えっと…響子さん? その登場の仕方、やめてもらえません?」


美咲ちゃんに抱き疲れるのは嬉しいけど、心臓に良くないんで。


「じゃあ、用も済んだし帰るわ」


えぇ!? 無視ですか!?

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