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硬派な彼女  作者: Satch
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第1話:ストーカーじゃない!

硬派というよりツンデレかも。

この2つの違いが良く分からないんですけどね(笑)

俺には高校入学当初から気になっている女子がいる。

その娘は綺麗なロングの黒髪で、推定150cmくらいの身長。

まぁ、はっきり言ってちっさい。そして中学生にしか見えない。


美人というよりもかわいい顔立ちで、校内でもトップクラスではないだろうか?

キュートな見た目と違い、休み時間などは常に1人で読書をしている。

暗いとかそういうのとは違くて、なんと言うか硬派?な感じ。


笑った顔を見たことないことからクラスでも少し怖がられている。


でもある時、俺は見ちゃったんだ、子犬を抱き上げて優しそうに笑う彼女を。

その笑顔がめちゃめちゃかわいくて、その瞬間恋に落ちたって感じ?




「はぁ、美咲ちゃん、今日もかわいい…」


「おい、ストーカー」


「そうそう、俺は美咲ちゃんに付きまとうストーカー…って誰がストーカーじゃ!」


声をかけて来たのは親友?の三浦和利だった。


「なんで疑問符付きなんだよ! それより豊、あの娘は止めとけって」


「なんでだよ!」


「なんか告ってきた奴をボコボコにしたとか、10人対1人で喧嘩して勝ったとかって噂だぜ?」


「ただの噂だろ? 誰かが好き勝手言ってるだけだって、そんなの」


「そうか? ま、お前がフラれるの楽しみにしてるからよ!」


「すんな!」


まったくあいつは何しに来たんだ?

まぁいいや、絶対美咲ちゃんを落としてあいつを驚かせてやる!




そんなこんなで帰りのホームルームも終わり、皆、帰り始めると、俺の計画も開始となる。

その計画とは、『美咲ちゃんのお家を見に行くぞ!』だ。

やっぱりストーカーじゃんって? 違う! 断じて違う! お家が見たいだけという純粋な気持ちです。


「おい、竹田、ブツブツ言ってないでとっとと帰れ」


俺の思考を邪魔してきたのは、担任のゴリ山。本名栗山だけど、まぁ見た目がゴリラみたいだからゴリ山と呼ばれている。


「はぁーい、せんせ(はぁと」


「きもっ!!」


「かわいい生徒にそれはないでしょう」


「もういいから帰れ…」


「へいへい」


ってそんなこと言ってるうちに美崎ちゃんを見失ったじゃないか!

急いでカバンを抱えて昇降口に行くと、上履きから革靴に履き替えている美崎ちゃんを発見!


ま、まにあったー。


「さ、さようならー」


思い切って声をかけてみると、チラっとこちらを見ただけで何も言わずに行ってしまった。

何か少し警戒しているような目だったな。でも、めっちゃかわいい。

また見失わないうちに俺も革靴に履き替えて美崎ちゃんを追う。


電車通勤のやつは駅まで同じ道を歩くので問題なく駅に到着、

美崎ちゃんの家は、俺の家とは逆方向のようだ。


前もってお金をチャージしてあるので定期券でそのまま改札を抜け、

ホームへの階段を上がっていく彼女を追う。


電車を待つ彼女の位置からちょうど1両分くらい離れたところで電車をまっていると、

5分ほどして電車がやってきた。


隣の車両に乗る彼女を確認してから俺も電車に乗る。

彼女が確認できる位置まで移動すると程なくして静かに電車が動き始めた。


なんか本当にストーカーみたいだな俺…。



4駅ほど通貨したところで彼女がドアのほうへ移動するのが見えた。

次で降りるみたいだな。


次の駅で彼女が降りたのを確認して俺も降りると困ったことに気が付いた。


この駅は改札に行くのに彼女のほうの車両ではなく、こちらの車両側の階段を使わなければならず、

俺のほうが彼女の前にいることになってしまった。


乗り換えの駅ではないので、別の電車を待つこともできず、仕方なく改札に向かう俺。


振り返って彼女を見るとバレる可能性があるので、そのまま改札を抜けて定期券を買う振りをして、

切符売り場に向かうと、俺の後ろを彼女の長く綺麗な髪が通り抜けていった。


ここから自転車だったらどうしよう…という心配もあったけど。

自転車置き場と思われるほうに行かないので歩きだということが分かる。


「よかった…」


しばらく歩いていると閑静な住宅街になってきて、今、振り返られたら確実にバレる!

なんて思っていると彼女は信号のない十字路を曲がった。


見失うといけないので少し急いで俺も十字路を曲がると、仁王立ちの彼女が居た…。


「うわっ!? びっくりした!?」


「ストーカー…」


「ち、違うよ、お、俺ん家もこっちなんだよ…」


く、苦しい! 我ながらこの言い訳は無いよな…。


「嘘だ、ずっと後つけてた…」


「うぐっ!?」


ま、まずい! 気付かれていた…どうしよう。

ここは素直に謝ったほうがいいかもな。


「ご、ごめん、でもストーカーじゃないから!」


「変態…」


「変態でも無いし!」


「鬼畜…」


どんどん酷くなって行くよ、これ。


「同じクラスの竹田豊だよ!」


「……」


「…知ってる」


間が空いたよ…ひょっとして俺、クラスメイトとして認識されてない!?

さっきさよならの挨拶したのに、覚えてないのか!


「今度、後つけて来たら、殴る!」


そう言うと彼女はクルっと背を向けて歩いていく。


「ちょ、ちょっと待って!」


彼女はピタリと足を止めると振り向きもしないで返事を返す。


「…何?」


「えっと…何て言うか、その…」


「…用がないなら、呼び止めるな」


「あ、待ってよ」


「…だから何?」


「あの俺…君が好きなんだ!」


「…っ!?」


うわっ! 俺なにいきなり告ってんだよ!


「い、いきなり、何を言う!」


あれ、なんか動揺してない? もしかしてコレは脈あり!?


「か、帰る!」


彼女の前に回って呼び止める。


「ねぇちょっと待ってよ」


「うるさい!」


「いだぁ!」


カバンが顔面直撃したし…鼻血出てない?


「…ちょっとだけ話ししようよ」


「うるさい! うるさい!」


そう言うと彼女はダッシュで走っていってしまった。


でも美崎ちゃんの顔が少し赤くなっていたのは俺の見間違いだったのか!?

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