記憶喪失
記憶喪失になったネージュはそれまでのネージュとは全く異なっていた。自信の塊のような性格は自信のない性格に変わり、堂々とした立ち居振る舞いはおずおずとした話し方と態度に変わっていた。
「あの、私どうして病院などに?」
マネージャーが答える。
「君は怪我をしてここに運びれたんだよ?覚えてない?」
「いいえ、覚えていません。貴方は?」
「僕は君のマネージャー。覚えてないかな?」
「はい、申し訳ありませんが全く。」
ネージュは日常生活を送るには問題ないが、出会った人の事も自分のことも忘れていた。
それからケガが治ると彼女は再び舞台に立つ事になる。周りからの応援で舞台に立つ事になった。
ネージュは不安だった。こんな私でも芸能界でやっていけるのだろうか、と、……その不安は的中する。ネージュに対してよく思っていなかった人々がネージュをいじめはじめたのだ。最初は物がなくなったり壊されたり、そして、カッターの刃の入ったファンレター、色々な嫌がらせを受けた。それはまるで、彼女がしてきたことが自らに降り掛かっているかのように……。
「マネージャーさん!私、もう!耐えられません!!」
「ネージュ、でも、これは君の為なんだ!」
「もう、引退させてください!」
彼女の心は限界に達していた。そして、運命の記者会見の日。ネージュはタクシーで会場へと向かう。タクシーから降りたネージュは記者会見会場へと向かう。途中の階段に縄が張ってあって、転んでしまった。
「きゃーー!?」
勢いよく地面に叩きつけられる。ネージュの口元が緩む。
「……さあ、舞台の幕開けよ。」