転生先は現代日本?!
乙女ゲーム『フェアリースノウ』の悪役令嬢ネージュ・リングランは主人公スノウをいじめ、王国転覆を企てたとして、悪行故に処刑された。処刑後、天界へと送られたネージュはとある神様と出会う。
「えー、悪役令嬢ネージュ・リングランさん。貴方は悪役令嬢として乙女ゲームで大活躍して処刑されました。」
「ちょっと!それ褒めてますの?!貶してますの?!」
神様は笑顔で答える。
「もちろん褒めております。自らに与えられた運命を真面目にこなした方と言うことで!」
「何よっ!私が処刑される事は生まれた時から決まっていたと言うの?!」
「ええ、そうです。まあ、貴方が改心されていたなら違った人生もあったと思いますけど。そうですね。これからの人生プランをオススメするなら、不幸な転生、それとも、今すぐ地獄旅行されます?」
「結構ですわ!私は転生いたします。」
「じゃあ、ごがつく虫の女王とかどうです?生前の罪状から考えて妥当だと思いますが…それとも排泄物に群がる虫とかもオススメですよ。」
神を名乗る少年は笑顔のままそう言った。
「ふざけないでっ!!人間以外御免こうむりますわ!!」
「ええー、贅沢だなぁ。じゃあ、ど貧乏でブスで…」
「もう結構!転生なんてしないわ!!」
「では、地獄旅行で…」
「それも却下よ!!」
神は呆れたようにため息をついた。
「はぁ、早く決めてくれません?早く帰って妻に手料理を作る予定が押してるんですよね。」
「そんなもの知りませんわっ!私にふさわしい人生にしていただかないと困ります!」
「はぁ、まあ、不幸な死に方をしたと言う点では同情の余地はありますね。良いでしょう。人間に転生させてあげますよ!」
「ふんっ!当然の事ですわっ!」
「では、転生するに当たって何かアイテムを持って行けるんですけど、何にします?あ、ぼく以外でお願いしますね?」
「貴方なんて持っていってもなんの得にもなりませんわ。」
「あ、はは。そうですね。」
神を名乗る少年は痛い所をつかれたように笑った。
「そうですわね……じゃあ」
ネージュはそのアイテムを神から受け取った。
「では、良き転生ライフを〜!」
光が辺りにあふれる。そして、ネージュは転生した。神は呟く。
「りささんの甘さがうつったかな。さあ、今日の業務はおしまい。早く帰らないとりささんに怒られる。」
神は帰り支度をしてそそくさと帰路へついた。
☆☆☆☆
ネージュが転生したのは現代の日本。顔や体型はネージュの時のまま転生されていた。
「あの神、なかなかいい仕事をしますわね!私の美貌と知性をそのまま転生してくれるなんて!」
ネージュは喜んだ。しかし、喜んだのもつかの間。
「……で?転生したのはいいけれど…」
今日の宿も食事も何もない。自分でなんとかしろとでも言うのだ、ろうか?
「ふ、ふざけていますわーーーーーーっ!!」
思わず大声で叫んでいた。路地裏に声が響く。しばらくしてとある男とぶつかった。
「すみません。」
「ちょっと!どこ見て歩いてますの?!」
怒れるネージュ。しかし、そんなネージュを見てその男の目は輝いた。
「君、アイドルとか興味ない?」
「は?」
ネージュの新たな人生が廻りはじめる。
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