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83、手引き−2

伯父さんこと辰巳悠馬はこちらの世界ではあり得ない純日本人的顔立ち、ちょっと目立ちすぎるので魔法で認識障害とシルヴェスタ公爵の幻影魔法を利用して別の顔に見えるようにした。

伯父さんを守りたい、と言ってもずっと軟禁状態では流石に申し訳ない。

そこでセシリアの偽名、バンダル・ゴールドバーグを名乗らせる事にした。


バンダル・ゴールドバーグ……セシリアのイメージからガタイの良い、四角い顔に、揉み上げバーンの葉巻を加えた、やり手の人相をイメージした。本物の伯父さんは柔和な優しい顔なのにごめん! だってだって! 手広く事業をやり過ぎて、ゴールドバーグは知る人ぞ知る存在になってしまっていた。だから人のいい顔にするとすぐにつけ込まれると思ったのだ。


調べる内に分かったことがある、伯父さんはなんと魔力を持って界渡りしてきたのだ。

恐らくだけど、伯父さんの中の後悔がそうさせたのだと思う。

何故、独り立ちを進めたのか、何故、あの時助けられなかったのか。

繰り返し思い悩み抜けない棘となって心を押し潰していた後悔『もし時を戻せたなら絶対に1人にしなかった』 その強い思いでなんと伯父さんは時を戻す魔法が使えた。人間としてはまあまあ高い魔力を持っているが、世界を全部戻すほどの魔力はない。まだ使い慣れていないが、例えば、肘で引っ掛けたマグカップが割れた。やっちゃったー!と1分前に戻す、伯父さんの記憶は引き継がれるので位置を変えて何事もなくマグカップを守る。てな感じ。今は、どこまでの範囲をどの位の時間を戻せるか検証中。


魔力の高い者には、空間の歪みを感じるが、普通の人間程度の魔力では全く気付かない。違和感を覚えても、あ、似たことが前にあったかも? デジャヴと感じる程度。

因みに リアン→魔力高、セシリア→魔力高、ブルーム→魔力高、で検証にならないので、こっそりローレン、ルシアン、フリード、あと子供たちで検証した。


伯父さんがバンダル・ゴールドバーグを名乗るにあたり、ルシアンとフリードには伯父さんを紹介した。ブルームとリアンには前世の話をしたが、他の人間には話していないため、伯父さんの事は母方の遠縁だと説明した。だが皆 伯父の出自より、セシリアが心を許す存在と言うことの方に関心を持ち、セシリアが信頼を置く者として無条件に受け入れた。


伯父をゴールドバーグと呼び、少しずつあちこちに連れ出すようになった。

だから今は隠れ家からセシリアの屋敷にいる。そこから『ファーム』に行ったり、ブライト伯爵家に行ったりしている。一応、ゴールドバーグがオーナーとなっている為、スターヴァや鳳凰、トレヴィにレガシー、マーベラス、ホテル ビクトリア、警備リリーフなど、ここでは何をしているのかを説明しながら回った。

因みに警備リリーフは各店舗に食料を配達して回る際、シルヴァータや盗賊に狙われるので立ち上げた会社だ。ここの責任者はレイニード・クライブ元騎士副団長、社員は元部下。クライブ元騎士副団長ならば優秀な者たちを知っている。だがわざわざ騎士を止めて会社に入る訳ではない、怪我で引退した兵士たちだ。騎士を辞めた後、ちょっぴり腐っちゃった人もいたけど、セシリアが回復魔法と治癒魔法をかけて万全にして働いてもらっている。殆どの人が魔法騎士だったからお買い得であった。


それと ホテル ビクトリアはアシュレイを脅して許可を取り付けたヤツだ。

陶磁器や美術品を買い取り、ホテル内のそれぞれの部屋は、その陶器や美術品を特注で作らせたものが実際に使用したモデルハウスみたいになっている。1階はフロントとアンテナショップみたいに各地の特産品や陶磁器や織物や土産物などが売っている。あくまでもこれらはホテルが売っている。担当者が直接地方に買い付けに行き購入した物を展示し販売しているのだ。

2階にはスターヴァ、トレヴィ、鳳凰、レガシー、サロン、喫茶店などがある。最上階には展望デッキもある。

この国にはない、前世でのホテルっぽく作ったのですぐに話題になり大人気だ。



「はぁーーー、望愛は相変わらず働きすぎだな。それと『少し焦げてるハンバーグ』をここでも広めるのは…意地悪だぞ、焦げてないハンバーグだって作ってただろ?

でも、恋しく思ってくれてたんだな、嬉しいよ…うん、よく頑張ったな」

頭をポンポン叩いて、セシリアの肩を抱いて頭をコツンとつけた。

「セシリアは身長が大きいな、もう小さな望愛ではないな。お姫様みたいだ、…本当に綺麗になったね」

「…もう、中身はおばさんなんだけど、もう…こっちの歳に引き摺られちゃうみたい。うぅぅぅ、伯父さんに会いたかったの。ごめんね、子供に戻ったみたいに甘えちゃって」

「馬鹿だな、私だってずっと会いたいって思ってた。迷惑なんて思ってない。妻や子を失い空虚な私に望愛との時間が再び生きる力をくれた。望愛を失ってもう無理だって思った時も望愛からの手紙が届いて、もう少しだけ生きてみようって思えた。今は望愛と第3の人生を歩むことが出来て幸せだ。それに、魔法って不思議で面白いね。呼んでくれて有難う。それに、私には甘えていいに決まってる、伯父さんを必要だ!って言って寂しくさせないように、沢山甘えてここに存在していると実感させて」

ウィンクする伯父がお茶目だ。


前世ではお金を稼ぐ事に夢中になって、伯父さん孝行出来なかったので、前世でできなかった孝行も甘えも同じ時間を過ごすこともなんでも一緒にやりたいと思った。


「伯父さん、昔できなかったことをここで沢山しましょうね!」

「ああ、折角だ 人生を楽しもう!!」


セシリアやブルームは王立学園がもうすぐ再開されるので、そうすると側にいられない。そこでリアンにおねだりして眷属を伯父さんの護衛につけて貰った。何人も眷属を生み出せるあたりが流石の魔力量だ。

伯父さんの護衛の名前はニコラに決まった。




ディアナは山の中で快楽に喘いでいた。

首輪を嵌められ木に繋がれ裸で涎を垂らして、男たちの欲望を受け止めていた。


回復薬として飲まされたのは回復薬ではなく媚薬だった。

牢から救出したのは、ディアナを救うためではなかった。ディアナが明日処刑されてしまえば楽にあの女を死なせてしまう、それは許せないことだった。あの女は同じ目に遭わせて苦しめて殺さねば気が済まない。

そう今回の首謀者たちはナディア・カラリラ子爵令嬢とシャクラン・デュフル伯爵令嬢の父親たちだった。様々な証拠もありディアナを処刑に追い込むことは出来た。だが正直全然スッキリしなかった、自分の手で鉄槌を下したかった。それであの日ツテを使って牢屋にいるディアナを脱獄させるタイミングを測っていた。そこでディアナとローレンが話しているのを聞いてしまったのだ。自分の罪を従者に押し付け罪を被せ殺した事は露呈した、その上 ディアナは悪びれることもなく終わったことと称した、それが許せなかった!!

道具のように使われて、男たちの襲わせて傷心の娘たちが屋敷で療養することも許さず修道院送りにしたあの女、ただ殺すだけではもう許せなかった、反省するどころかこの期に及んでも女王様気取りの傲慢さに怒り心頭だった。


そこで手のものを使ってディアナを脱獄させ、その後ならず者に引き渡しディアナを襲わせているのだ。媚薬を飲んで少し経つとその効果はすぐに出てきた。

体が熱を帯び呼吸が浅く荒くなってきた。最初は運動不足からくる疲労かと思っていた。

肩で息をし鼻息が荒い、汗がボタボタと落ちて思考が歪んできて不思議な光景が見え始めた。柔らかいマシュマロの上を歩き包まれ四肢に力が入らない、足がもつれ始め立っていられなくなった。少し休憩させて貰おうと立ち止まり声を発しようとするもの声が出ない。

何、何が起きているの?


「おー、いい頃合いか? そろそろいいだろう。おい、逃げられないように首輪をつけろ!」

「お嬢ちゃん、初モノなんだろう?」

男たちは話しながらもディアナを脱がしていく。ナイフで切ると平民服のワンピースはストンと下に落ちた。その上にディアナは座り込んだ。下着に手がかかるとそれも破り捨てられた。


「あー、まだそこまで濡れてねーなー」

無造作にディアナの秘部に指が這う。

「ん!」

声にならない声が響き腰をくねらす。

「どうする? オイル使うか?」

「壊していいんだろう?」

「だがここにいる奴ら全員となると、もたせねーとなー」

「チッ! 面倒くせーなー」

「兄貴俺がやるよ! 俺練習したい! モニカ気持ち良くさせたい!」

「はは、じゃあいいぞうー」


そこにいる男たちに代わる代わる抱かれディアナは意識朦朧としながら痙攣していた、やる事をやった男たちは、満足するとディアナを放置してそれぞれが帰って行った


夜が明ける頃になるとディアナの首輪を外し、白眼を剥いたディアナを放置して最後の男も去って行った。


そしてその様子を魔道具に収めている者もいたが、その者もそっとその場を離れ帰って行った。意識を取り戻したディアナは、傷だらけで精液まみれの秘部を触り疼きを治めていたがそのうち深い眠りについた。


牢屋では牢番たちが気を失っており、ディアナがいない事で、兵士が捜索に出ることになった。その際、抵抗すればその場で切り捨てる許可も出された。

山の中で裸で眠りこけているディアナを発見した。生憎 ドレスも下着も破かれディアナに着せる服もなかった。破かれたワンピースには精液がベトベトについて泥だらけで羽織らせることも出来ない。何かディアナに羽織らせたくとも発見したのはただの兵士で外套もない、仕方なくロープで後ろ手に縛り、頬を叩いてディアナを起こし、そのまま裸で歩かせた。腰砕けのディアナは歩くこともままならない。

王宮からさほど離れていない山の中だった為歩いて連行される、媚薬を何本も飲まされたのでまだ完全には効果が抜けていなかった。だから歩く様子は、素っ裸で酔っ払って歩いているように見え、見た者は不快感を抱いていた。

明日に処刑を控えて脱獄が成功し、祝い酒で酔っている…そう勘違いした。


先に報告に行った者が羽織る物を持ってきたが、後ろ手に縛られている為あまり意味がない。靴だけは履いていたが、身体中に歯形や痣が付き、男の精液と泥もついていて異様な状態。トロンとした目で口に端からは涎を垂らし壮絶な色気を振り撒いていた、その様子は公爵令嬢と言うより娼婦にしか見えず、同一人物には見えなかった。


その様子を見たアシュレイ王太子殿下は、ディアナに監視をつけつつも風呂に入れ新しい服に着替えさせた。そして薄ら化粧もさせた。

考えてみると、3〜4年婚約者として過ごした時間は良い関係を築けていたと思う。シルヴェスタ公爵家の恩恵にあずかる部分も大いにあった。

『アッシュ、ディア』そう呼び合い穏やかな時間を過ごしていた時もあった、いやその時間の方が多かった。そう、プリメラの存在を気にするようになってからディアナはおかしくなったような気がする。あの常軌を逸した行動も全ては嫉妬ゆえだったのだろうか? 

いつからディアナを疎ましく思ったのだろうか?

シルヴェスタ公爵家の呪縛から逃れたいと言う思いが結果的にディアナを追い込んだのかもしれない、そう思うと今はディアナに申し訳なさもあった。

ディアナをこんな目に遭わせた人物に皆何となく心当たりがあったが、敢えて口にはしなかった。


処刑の時間になってもディアナは正気を取り戻さなかった。

男たちは巷で流行っている怪しげな媚薬の効果をディアナを使って試したのだ。やはり効果ばかりを求めて質が良くない物も多く出回っているので、知っておく必要があるのだ。その犠牲になった。

いよいよディアナの処刑の時間となった時、待ったがかかった。


『このような形で人知れず処刑されるのではなく、シルヴェスタ公爵と共に公開処刑するべきだ。そして二度と一部の人間が権力を手中に収める事がないように知らしめるべきだ。シルヴェスタ公爵家が裏で牛耳っていたヴェスタやシルヴァータの責任者も共に処刑するべきだ!!』


こう世論を扇動した。一刻も早く処刑をと望んでいた者たちも、結果は処刑である、全ての膿を出し切れ!と納得した為、ディアナの処刑は延期となった。ディアナは牢の中に戻されたが脱獄を鑑みて首輪で牢に繋がれることになった。そして魔道具による24時間の映像記録も撮られることになった。


それぞれが様々な感情を抱き、ディアナの処刑を見送った。




漸く王立学園が再開された。

ディアナの処刑の話で持ちきりだった。


やはりシルヴェスタ公爵家を倒すことは不可能なのではないか?

そして世の中でシルヴェスタ公爵家と関わりがない者も少ない、いつ自分の身に降りかかるかと戦々恐々としていた、


プリメラは再開された学園の寮に入る事になった。

寮から王宮にも通う、やっと平常通りの日常が戻ってきた。

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