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79、後片付け−1

セシリアはブルームと伯父さんにこれまでを話して聞かせた。

「セシ…くっ、私はね、小さい頃からセシリアが自分を犠牲にしてまでも私を守ろうとすることがいつも不安だった。小さなセシをいつか失うことになったら、無理をしてひどく傷付いたらと…、きっとそれは前世の望愛としての人生がセシリアを不安にさせていたんだね。ねえセシ、まだ不安? 私やリアンがいつかセシを嫌いになると思う? そんな事あり得ないのに。

いや違うな、セシ? セシリアが不安になる暇もないくらい、私もリアンも溢れるほどの愛を伝えていくから覚悟して! ね? 5年先も10年先も30年先もきっと一緒にいるよ、だからセシリアの側にいさせて?」

「僕は心配しなくても魂が繋がっているからずっと一緒だよ! 生きるのも死ぬのもずっとずっーーーと一緒なの!」

「ふぇぇぇぇぇぇん! お兄様! リアン! 大好き! 傍にいてぇぇ!」


「はは…、望愛良かったな! 傍にいて欲しいって素直に言える人が傍にいて、優しくてお前をちゃんと愛してくれる家族がいて、お前が今ここで独りぼっちじゃなくて心底安心したよ。

伯父さんな…望愛 本当はお前が死んでから生きる気力がなくなって…後を追おうと思ったんだ。お前と暮らした昔の家に戻って、お前がよく座っていた縁側に座ってお前のところに逝こうと目を閉じたら、手紙があったんだ。

お前から私宛ての手紙。

あの家には久しぶりに行ったからあるはずが無いのに、確かにあった。そこには私を気遣う文面と今のこちらでの生活について綴られていた。最初は信じることができなかったよ、誰かのイタズラじゃないかってね。でもいつだって手紙は私の元に届き近況を知らせてくれる、嘘だろうと思いながらも私はいつからか、それを待ち望むようになっていた。


望愛、凄く苦労しただろう?有難う、あの手紙がなければとっくに自分の人生を終わらせていた。

いつの間にかここで望愛は生きているって自然に受け入れていた。こちらの世界で元気に生きていると知って嬉しかった。

実は私のせいで獣医になり結果的に殺されることになってしまった。それをずっと後悔ばかりしてた。だけどこの世界でも続けているって知って、やっと気持ちが軽くなったし救われた。

大好きなブルーム君とドラゴンのリアン君がいるって書かれていた時は、複雑な感情だったな。大きくなったのだと実感し、手を離れてしまった寂しさと、あの小さな望愛が恋や愛を知ってくれた事が嬉しくて堪らない。ふふ駄目だな、もう最近はすぐ涙が溢れて…。でも、もう傍にいてやれないんだと思うと苦しくて…ね。


ふぅー、望愛が『助けて伯父さん』て言った声が聞こえたんだ。

もうね、無性に心配で心配で傍に行ってやりたくて仕方なかった。こうして来ても私に出来ることはないって分かっているけど、それでもただ傍にいてやりたかった、抱きしめてやりたかった。

望愛、愛しているよ、本当の子供のようにずっと愛してる。前世でも私のお陰でお前は生きてこられたって言うけど、違うんだ…私こそがお前がいたから生きる事が出来たんだ。

望愛…いやセシリアだったか、連れて来てくれて有難う、私は今…幸せだ」


「伯父さん! 伯父さん! 一緒に来てくれて有難うぅぅぅ」


もうグズグズだった。みんな泣いて、ただ今生きていることに喜びを感じていた。

望愛としてもセシリアとしても今まで生きて来た中で1番満たされた瞬間。愛する者に囲まれて一番幸せな時間だった。



「伯父さん、無我夢中で伯父さんまで巻き込んでこの世界に連れて来ちゃったけど、これからどうしたい?」

「今更聞くのか? んーー、私の希望はこのまま望愛、セシリアの傍で生きていきたい。あちらの世界に未練はないよ。もう、離れたく無いよ」

「伯母さんや蘭ちゃんは?」

「うん、まあ出来れば何かしら持って来たい気持ちもあるけど、無くても構わない。思い出は心の中にあるからね。それより今はあんなにも会いたかったセシリアがいるんだ、また一緒に暮らしたい。あっ、でも仕事…どうするか?」

「伯父さんの持ってきたい物は写真? 蘭ちゃんの伯父さんを描いた絵?」

「ああ、それしかないしね。…妻や娘との時間より望愛との時間の方が長くなって、思い出も望愛との方が多くなっていたからね。動物病院はね、潰そうと思ってたんだけど、手紙にこちらでも動物の世話をしているって聞いたから…、知り合いにあげたんだ。それで預かっていた動物たちもスタッフも引き継いで貰ったから心配しなくて良い」

「有難う伯父さん、凄く気になっていたの」

「望愛のカルテは詳しく書いてあるから分かり易いって言っていたよ。

それから…望愛を殺した人は…あの後捕まったよ。ワニはね、警察が連れて行ったよ。望愛、あの時、…助けてやれなくてすまなかった、ずっとがむしゃらに頑張ってきたのに、あんな最期にしてしまってすまなかった」


「伯父さん、こっちの世界でね2歳の時に前世の記憶を思い出したの。昔の自分を思い出しても心残りは残してきた動物と伯父さんの事だけだったよ? それにね、ここでも動物と関われる事が嬉しかった。ここでは前世では得られなかった私を愛してくれる家族がいる。それにね、ここは魔法がある世界なの、それで動物と話が出来るようになったのよ!昔の経験と記憶が今の私を助けてくれたの。あの事件は伯父さんのせいじゃないもの、私が生きてこられたのは伯父さんのお陰よ、心から感謝してる、昔は素直に伝えられなかったけど、伯父さん大好き! 愛してるわ!!」

「そう…か、有難う望愛」

ひと通り話を終えると、ブルームを休ませることにした。リアンにお願いしてブルームが休むように見守って貰った。もう、大丈夫だったが、それでセシリアが安心するなら、と大人しく従った。



セシリアはここで暮らすことを選択してくれた伯父に、この世界の常識について話した。

貴族と平民とか、正直平和な日本では魔法も魔獣も戦争も身分制度もイマイチ ピンとこない。だから説明して本を見せるとやはり伯父もこちらの文字も言葉も自動変換されていた。隠れ家の本邸には今までセシリア、ブルーム、リアンとローレンの部屋しかなかったのに、またいつの間にか伯父の部屋が出来ていた。伯父はキッチンを見てまた涙を流した。ここのキッチンは望愛と暮らしていた家のキッチンそのもので、それは妻と娘と暮らしていた家のものでもあった。

そして更に自分の部屋だと通された部屋は、以前住んでいた私室と変わらなかった。それに妻と娘と写った写真や、娘 蘭が描いた家族の絵も、妻のお気に入りのネックレスや指輪、(これらは私が贈ったものだ)ワンピースも、妻に贈られたシャツもネクタイも娘の七五三の写真も初めて履いた靴もぬいぐるみもボロボロの人形もあった。

これにはもう、腰砕けだった。涙腺崩壊。

「何でこれ…」

「伯父さん 酔うといつも自慢してたよ、えへへ 伯父さんの自慢話し聞くの大好きだった。伯父さんが伯母さんや蘭ちゃんの事 大好きな事が伝わってきて私まで幸せな気分になったの」

「ははは、馬鹿やってんな」

さっきはあまり無理も言えず、セシリアが言った『写真と絵』に頷いたが、いつまでも捨てられずに残していた、消えゆく記憶に縋り付いていた思い出たちがここには全て揃っていた。望愛は私をよく見ていたんだな。


セシリアは伯父にべったりだったのでブルームとリアンは好きにさせていた。

子供に戻ったようなセシリアを微笑ましく見守った。




王宮では…、陛下の御前に連れてこられたロナルドを見て、陛下や王太子殿下たちはギョッとした。

「何故、その者を連れてきたのだ!」

「ヒィィィィィィィ!」


「恐れながらご報告申し上げます。黒い魔獣の脅威は去りました。それから…、ロナルド・マンセル男爵 シャングリラの首謀者は生命維持以外の魔力を失いました。利き手も失い、現在のところ脅威はありません」

「確かなのか!? どうやって! どうやって始末したのだ!! グリフォン、サーペントを本当に始末できたと言うのか!」

「…ドラゴンが…、結界で囲い食べ…ました」

「ド、ドラゴン!?」

陛下は出血多量で意識を失いドラゴンが出たことを知らずにいた。

「ドラゴンはどうしたのだ!」

「黒い魔獣たちを食べると…消えました」


めちゃくちゃセシリアに忖度してボカして報告した。

まさか肉片から人間が復元されるなど…あり得ない光景を、そのまま報告できない。

そんな報告すれば王家はセシリア嬢を離さないだろう、自由を失ったセシリア嬢は暴走するかもしれない。暴走したセシリア嬢はロナルドどころの騒ぎではない、はっきり言って王宮の魔獣も完全掌握されている、いや魔獣を使わずともたった1人で殲滅するのも難しくない。しかもあのドラゴン、見るからに魔獣たちの王に君臨しているモノを従えているのだ。

あのブルームに対する執着、ブルームだけでもと国に縛りつければその元を始末するかも知れない、しまうしなくともアシュレイ殿下のように記憶の改ざんをやって退けるかもしれない。ここは必要以上に陛下たちに印象付けない方が良いと判断した。


セシリアの能力を知られ無理やり王宮に縛りつければ、あの大臣たちみたいに何でもやらせようとするだろう、だがセシリア嬢は面倒になれば表情も変えず原因を排除するだろう、きっとそれは誰にも気づかれずに完遂する。

彼女の優先順位は彼女の中にあるもので決まる。だから今回血だらけの陛下を知りながら平然と無視して魔獣を優先させ、尚且つ無視して転移して何処かへ行ってしまった。

それを我々に追うことは出来ない。あれだけの技能があれば、我々はすぐ隣にいても彼女に気づくことも出来ないだろう。気づかない間に皆殺しも簡単だ。彼女は術式もなく高度な魔法をぶっ放せる。他人の魔法を奪うだとか、魔力を生活できる分だけを残して奪うとか、人間離れした魔法までやってのける。そんな緻密な魔法出来る人間は恐らく他にはいない。


しかもブルームを復元する際に魔獣や聖獣を取り込み自分の魔力もドラゴンの魔力も使ったのに、ロナルドのモノは使っていなかった気がする。恐らくロナルドの魔力をブルームには入れたくなかったのだろう、その拘りもブルームに対する執着を感じさせる。


クライブ元副騎士長の言う通り、セシリアの様々な秘密はあまり明らかにせず、セシリア、ブルーム、リアンはそっとして置く方が平和に済む気がした。


それに…、国王陛下もそろそろ代替わりしそうだ。

この様な状態でもまだ、シルヴェスタ公爵に迎合しようとする姿に心の中では皆、失望していた。護るべき主君の姿はなかった。


ロナルドは様々な魔法を左手で確かめたり、左手で魔法陣を描いたりして、魔法を行使しようとしたが、魔力が足らず発動出来ない。少し休めば魔力は回復すると思っていた、人より多い魔力を持っていた為、第3の手のように魔法を使ってきた。魔法が使えず魔力が少ないと不便で仕方ない。いつもは少し休めば回復する魔力がちっとも回復しない。隙を見てMPポーションを奪って飲んだ。したり顔で何度かコッソリ奪ったMPポーションを一気にあおる。


実はこれは実験だった。

ウィンザード魔術師団長はロナルドの魔力が回復しないことに疑問を持ち、敢えてロナルドが魔力を回復させる状況を作ってみたのだ。当然いつでも拘束できる準備はしていた。

魔道具で観察していると、MPポーションを飲んだロナルドはすぐに魔力を回復させた、ところが次の瞬間、ロナルドの体から魔力が抜けいつもと同じ量の魔力量に戻ってしまった。


「な、何だよ! 何で魔力が回復しないんだよ!!」

ロナルドの魔力量は本来はレベル10、優秀な魔術師でもレベル8程度のところレベル10もあった、ところが今はレベル2しかないのだ。レベル1に減っても問題ないがレベル2を超えると超えた分だけ減り、常にレベル2を保っていた。こんな事あり得ない!!

だがあり得ないを実現させる者がいる、それがセシリアだ。つまり、ロナルドは二度と魔力を以前のように持つことは出来ないと言う事だろう。一先ずロナルドの事は後回しでいいだろう。



次に出された命令は、シルヴェスタ公爵に逮捕命令。


これによりシルヴェスタ公爵の家などに兵士が向かう。

それと同時に魔獣に破壊された建物や瓦礫の撤去作業を行なっている。

王宮も他人事ではない、ロナルドのグリフォンとサーペントが壁を壊して出て行った為。あちこちに穴だらけだ。人命救助、捜索、様々なことが同時進行で行われる。

そのまだ混乱の中で、国王陛下は王太子殿下に譲位に向けて動いていた。


実は、シルヴェスタ公爵を召喚するか逮捕とするかなど話し合われた結果、逮捕し国家反逆罪で処刑との意見が出る中、国王陛下はこの様な状況になっても、シルヴェスタ公爵を王宮に呼び、ことの真相を聞くべきだと言った。だがロナルドの証言も証拠もあり、例え操られていたとしても最早取り繕う事はできない状況、シルヴェスタ公爵の処刑は間違いなかった。

国王陛下はその事勿れ主義の性格ゆえ、シルヴェスタ帝国が蔓延っても国王でいられたのだろう、だが今はその事勿れ主義が、多大な被害を被っている者たちの前では、国王もまた国家反逆罪に等しいと捉えられ、ロナルドやシルヴェスタ公爵に対する憎悪は同じように国王陛下にも向かった。


国王の譲位は満場一致で可決され強制的に引き摺り下ろされた。


ツェイサル王太子殿下が国王陛下となり、アシュレイ王子殿下が立太子された。

それに合わせてアシュレイ王太子の妃選びも白熱している。

当然王宮ではセシリアも候補に入れてはと話に上がったが、アシュレイ王太子を含めた上層部の一部が反対し候補から漏れた。



王都のシルヴェスタ公爵邸に踏み込んだ捜査員は、シルヴェスタ公爵夫人のシャルロットと息女 ディアナの居場所が分からず探すのに手間取った。もしや逃げ出したのか?と緊張が走ったが、ローレンの案内で秘密の地下通路の先の隠し部屋に隠れていた2人を含む数名を引っ張り出し捕らえた。


シャルロットとディアナは王都が魔獣の脅威に晒され恐怖から地下に逃げ込んでいて、戦いが終結したことを知らずにいた。だから捜査員が踏み込んだ時、自分たちを助けに来たと思っていた。それが自分たちを捕らえるためと知って暴れ始めた。2人揃って『わたくしを誰だと思っているの! 無礼者! 触れるな!!』と毛を逆立てた猫よりもタチ悪く難航した。だが、反逆罪だ、既に身分の有無は関係ない。

そこに立ちはだかったのはマルゴット副騎士長だった。毅然と立ち命令を下した。

「馬鹿者! 何をしておる! 相手は反逆者の家族だ! 暴れるなら暴行を加えても構わぬ捕らえよ!!」

この命令により手荒な兵士たちに抵抗をやめたシャルロットとディアナはマルゴット副騎士長を睨みつけ、捨て台詞を吐く。

「覚えていなさい!! ここへ戻ったら一番にお前の首を刎ねてやるわ!!」


そのセリフにブルリと肩を震わす兵士たち。

「お前たち! 何をビビってんだ! 犯罪者は身分の有無に拘らず皆が口を揃えて同じことを言うのを知らないわけではないだろう? お前たちはいつも通り仕事をすれば良い! 犯罪者の恨みは俺が受けてやる!!」

「「「はい!!」」」


それから「痛いわね! お前の名前と所属はなんなの!!」口を開き悪態をつく度に警棒で尻を叩いた。この2人は公爵令嬢として生まれた生粋のお嬢様、人に尻を叩かれた事などないのだ。最初は羞恥で怒りを露わにしていたが、叫ぶ度に尻を叩かれていい加減学習した。

今は何を言っても無駄だと。


「ねえマルゴット副騎士長、何故貴方は侯爵家の嫡男でありながら、権力を拒むの?」

「無駄話しはしない」

「なあに? わたくしの魅力に抗えなくなるのが怖い?

この世の中はいくら否定しても、身分制度の上に成り立っている以上、人の身分に上下はあるし、弱い者は強い者に淘汰されるものなの。貴方がいくら正義の味方を気取っても所詮 貴方は侯爵家の嫡男、この国に守られている存在なの! 身分も肩書きも持たない者は! 貴方について来ているんじゃないの! 貴方の身分と肩書きについて来てるの! 馬鹿で何の役にも立たない連中に担ぎ上げられいい気になっていると足元掬われるわよ!!」


「ふっ、言いたい事はそれだけか? 別に無視してもいいけど一つ訂正すると、私は身分や肩書きに反発している訳ではない。私は侯爵家に生まれ多大な恩恵に与っている事は自覚しているし、それに不満などない。他者に罪悪感を抱く事もない、ただ…私は自分の目で見たものに信頼を置いている。実力ある者は重用し、ない者は側には置かない、それだけだ。

それに私は自分の仕事をしているだけだ、罪を犯せば裁かれる、単純明快なルールだ。何故そこに権力や身分が関係してくるのかが理解できない。鳥並みの理解力…鳥に申し訳ないか」


「…貴方だって、世の中 綺麗事だけでは済まない事 分かっているのでしょう?

貴方の妹が誰かを好きになって誰にも譲りたくないと言ったらどうするの? 相手を排除したいとは思わない!?」


「ああ、それでナディア・カラリラ嬢とシャクラン・デュフル嬢は排除された訳ですね。

残念ですが私は貴女とは違う考え方を持っている様です。

そうだ、シルヴェスタ公爵は反逆罪です。夫人も貴女もいずれ処刑されるでしょう。ですが貴女はその前に、前の2名に対する暴行傷害の件、プリメラ・ハドソン嬢に対する嫌がらせ、誘拐指示、なども併せて審議される事でしょう。まあ、貴女の死刑判決に変更はないでしょう。貴女の悪事については白日の下に晒され二度と貴女に媚び諂う者はいない、だから公爵令嬢扱いしてくれる者ももう現れない…。

ふっ、シルヴェスタ帝国は終わったのですよ。 連れて行け!」

「はっ!」


「嫌よ、そんな訳ないわ! 嫌よ嫌!! お父様―! お父様―!!」

ディアナの叫びは虚しく響いていた。


シャルロットとディアナは牢に収監された。未だシルヴェスタ公爵は捕まっていない。



王都や近郊の街や被害のあった地方は魔獣が暴れたせいで瓦礫の山で上手く機能していなかった。

王都の中心部に住んでいるのは主に貴族ばかり、魔獣の脅威は去ったと聞いても同じように瓦礫の山、それに不安から家から出ることもままならない。まだ混乱の中にあった。

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