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54、チャリティーパーティーー2

プリメラ・ハドソンは王宮で聴取を受けていた。

「どんな男たちでしたか?」

「分かりません…、生徒会の仕事で各店に今日の予定などの連絡事項を伝えに行っていたんです。それで人が多くて…急に手首を掴まれて…、引っ張られて、口を抑えられて…あっ! それでアシュレイ王子殿下を見かけて、 それで相手の手を噛んで叫んだ後、荷物みたいに小脇に抱えられて…」

ポロポロポロポロ プリメラの目から涙が溢れる。

冷静になれば自分がどんな恐ろしい目に遭ったか、体の震えが教えてくれる。

言わなくちゃ、犯人を捕まえてもらわなくちゃ、そう思っても言葉が出てこない。

「あぁぁぁぁふぅぅ、ひっくひっく な、何で私が…? お金持ってないし、家だって今は貧乏…なぁぁのにぃぃ、な いっくいっく ふぅぅ、可愛いから? そ、それでもー怖かったー! 怖かったよぉぉぉぉぉ!!」


「あ゛――、そうですよね。大丈夫かですか? 話が無理そうなら…また後でにしますか?」

コンコンコン

「ハドソン伯爵がお見えになりました」

「通せ」


「プリメラや! プリメラ!」

ガシッと抱きしめて泣いている。

一人娘が誘拐未遂となれば、さぞかし肝が冷えた事だろう。

プリメラも父親が来て一頻り泣いて落ち着きを取り戻した。


「顔は見ていないけど、口を抑えられて引き摺られる時…間違いなくこの女だなって誰かに確認している声が聞こえました。 その後、私が暴れて顔に当たったと思います。痛てぇって聴こえて私の指に血がついていたので何処かを引っ掻いた気がします」


「怖いことを思い出させてすまなかったね。必ず捕まえるからね」

「はい、ボッコボコにしてやってください! 無理やり拐って告白されたって絶対好きになったりしないんだからって! ちゃんと言っといてくださいね!!」


その場にいる誰もが、告白のために拐ったわけではないと思っていたが、口にはしなかった。



学園ではまだチャリティーパーティーは続いている。警備の人間が増えて少し物々しいが、大事にならなかったこともあって、話のネタになっていった。



シャンゼルはコース料理ではない盛り合わせの料理を出す事にした。2プレートに少しずつ盛り付けした『リュクス』を出した。沢山の料理が目にも鮮やかに少量ずつ乗っていて、正に贅沢な皿になっている。1つ目の皿には食事としての料理が乗り、もう1つの皿にはデザートが乗っている。

これには女性がかなり食いついた。外で食べることに抵抗があった筈だが、そのプレートを見るなりそれがいかにお得なセットか計算され飛ぶように売れた。

そう、実際のところ売れれば売れるほど赤字にはなるが、ここは赤字の問題じゃなくプライドの問題。王都で1番のレストランの名に恥ずかしくない姿を見せるために奮起した。店に客がいない寂れた様子を見せるなどあってはならない、飲食店1番人気の座を易々諦めるわけにはいかなかった。


レガシーも2日目は別の商品『バッグチャーム』を売り出した。

バッグなどにキーホルダーのようにつけられるアイテムだ。根元にはコインがついていてそのコインの片側には幸運を呼ぶと言われている聖獣の刻印、反対側には何も刻印がされていない。2cm位のコインチャーム3枚と3本のラインストーンのチェーンが下がっている。更に細長いネームプレートが付いておりここで注文した物を要望があれば名前を刻印してお渡しするサービスもついてくる。また、コインの片側にも例えば家紋を入れたり、要望があればそれに合わせたす図案を刻印することもできる。

これもカップルでお揃いにも出来るし、ラインストーンのチェーンはストーンなしのノーマルにして欲しいと要望すればそれと交換する。カップルで購入しなくても1人でもネームプレートとして愛用できる。しかもネームや家紋や好きな図案を入れるにはこの場では引き渡しできない、故に顧客情報をゲットして後日店に足を運んでもらう事ができるのだ。


これはカバンにお揃いでる付けるだけではなく、剣の飾り房にもでき、男性に贈るにも喜ばれた。指輪はジャラジャラつけ難いが、学生でも大人でも付けやすく昨日以上の爆発的ヒットとなった。


ファブシーは準備不足とターゲットを見誤り、昨日と同じことしか出来なかった。持ってきた指輪やネックレスを割引価格で売るしか出来なかった。そしてサクラも仕込んだ。


マリオの屋台も本日限定ソースで勝負。

だが案外他と違って安価なので子供たちからの人気が高かったので、甘めの味付けなどで勝負。飲み物とセットでよく売れていた。


スターヴァは2日目はローストビーフ丼とケバブサンド(肉増量中)を販売。

こちらも飛ぶように売れていた。ケバブサンドにおいては屋台で出して欲しいと何人にも提案された。


鳳凰は肉肉マン、小籠包、エビチリ包子、杏仁豆腐で勝負。

完全に食べ歩き用に手軽なものに絞ってきた。だがそれが当たった。


みんなケバブサンドを食べ、肉肉マンを食べ、戻ってきて小籠包いって、お腹いっぱいといいジト目で杏仁豆腐を見て苦悶の表情を浮かべ、杏仁豆腐を購入してドレスを緩めたりベルトを緩めたりしていた。


大盛況のうちに終わり、集計され順位が発表された。

1位はレガシー、2位はスターヴァ、3位は鳳凰となった。


皆が片付けに追われ撤収作業に入った。

まだ祭りの余韻が残る中、すっかりプリメラの事は忘れていたが、忘れていない者たちもいた。


警備に当たっていた者たちとプリメラ誘拐に関わった者たち。


プリメラを誘拐した者たちが捕らえられた。捕らえたのはレイモンド・マルゴット副騎士長。

融通の効かない堅物、下手な小細工は出来ない。

ディアナは屋敷に戻りパースが戻ってくるのを震えながら待っていた。


「まだなの? ねえ! パース! パースは何をやっているの!!」

「まだ戻っておりません」

「ねえ、今回雇った者たちはどんな人間なの? すぐにバレるようなことはないでしょうね!」

「直接雇ってはおりません。ただ仲介の男が捕まった場合、こちらを秘密にするかは分かりません」

「ああああーーーー!!! 何だってこんなに使えないにも者しかいないの!!」

「私もソディックのようにここを辞めてどこかに身を隠しますか?」

「……まだいいわ。兎に角パースが戻るのを待つわ」


別室ではシルヴェスタ公爵が吠えていた。

「何だこれは!? シャンゼルもファブシーもこの程度の売上しかないのか!!」

「はい、今回は王都で流行の店が出店していたこともあって…。シャンゼルは2日目の売り上げは好調でした!が、初日が思わしくなかったのでトップ3には入りませんでした」

「2日目の売り上げは確かに伸びたようだが…、大して?何だこれは!! 赤字ってどう言うことだ!!」

「どうやら客寄せを重視した結果のようでして…」

「トップ3にも入らずこの赤字か! 責任者を変えろ!」

「はい、承知致しました」


「それで、スターヴァや鳳凰はシルヴァータから食材を購入しているのだろう? これだけ儲かっているならかなりの額が入ってきている筈だろう、どうなっているのだ?」

「それが…、スターヴァは当初シルヴァータから食材購入をしていたのですが、2回目の価格改定の際にシルヴァータとの取引を終了しました」

「ああ? ではどこから購入しているのだ!! あれだけの売上を誇る店だ!相当な利益になる、分かっている筈だろう!! それを黙って指を咥えて見ていたのか!!」

「も、申し訳ございません!! 王都では我が社以外では食材購入は出来ません! だからすぐに泣きついてくると思ったのです! で、ですが一向にシルヴァータの会員になると言ってはこない状態でして…」

「どこから購入しているか分かったのか?」

「し、調べているのですが、分からないのです! 潜入させて調べさせようとしても研修期間というものを設けていて、大抵潜入させようと思った者は採用されないのです」


「何故今まで報告しない!! 馬鹿どもが! ふーふーふー。 鳳凰の方はどうなのだ?」

「こちらは最初からシルヴァータから食材は購入していません」

「どこから購入しているのだ!?」

「ふ、不明です」


「命が惜しくば、今すぐにその2店がそこから食材を購入しているか確認して来い!!」

「はい! 承知しました!!」


「馬鹿ばっかりだ! 

はーーーー、だが今回の寄付金も全て我がシルヴェスタ公爵家に入る。アイツらが幾ら売り上げを独占しようとも私の懐が潤うのだ! 普段の取引は少し目を離し若干取りこぼしたが問題ないだろう、仕組みそのものが分かっていなければ同じだからな。くっくっく」


コンコンコン

「お父様 ディアナです。入っても宜しいでしょうか?」

「ああ、入りなさい」

「失礼致します。お父様にお話があって参りました」

「ああ、手短に頼む、問題が山積みでね」


「あ…その…えーっと」

「端的に言えと言ったのだが? これ以上イラつかせるな」

「はい……、実は学園で目障りなものがおります。アシュレイ殿下の周りを煩く付き纏い」

「それで本題は何だ?」

「はい…。実は今回のチャリティーパーティーの際にその娘に痛い目を遭わせようとサムリに頼んだのです」

「それで!」

「はい…、サムリが雇った者たちが騒ぎに乗じて拐うはずが、近くに殿下がいる時に行動を起こし、誘拐は失敗し、……犯人を追い王宮警備騎士が動き、全員かは分かりませんが、犯人をマルゴット副騎士長が逮捕したと言うことです」

「何をやっているのだ!! 目障りな者!? お前はもうすぐアシュレイ殿下の妃となる身なのだぞ? こんな事が明るみになれば全てが白紙となる、そんなこともわからないのか!? 今は大人しくしているべきだろう! しかも失敗しただと!? 話にならない!!」

「申し訳ございません!」


「しかもマルゴットだと!? はっ! サムリ! お前との関与はすぐに知られるのか?」

「いえ、仲介にダジールという者を挟みました。今回捕まった者と直接はやり取りしていません」

「殺せ」

「は?」

「殺せと言ったのだ。マルゴットより早くそのダジールを殺すのだ、良いな?」

「はっ、承知致しました」


「すぐに行け! ディアナ、これ以上馬鹿な真似をするな、良いな!」

「はい、申し訳ございませんでした」

ドレスの裾を握り締める。


ディアナはまだ安心は出来ない、安心どころか刻一刻と自分の首が絞まっている気すらする。ダジールがマルゴット副騎士長の手に落ちれば今度こそ自分はお終いかもしれない。

今はダジールをマルゴット副騎士長より先に見つけることをひとえに願う。


シルヴェスタ公爵は次から次へと起こる問題に頭を抱えた。


何だか嫌な予感がする。

シルヴァータ、ディアナ、あーくそっ!!


スターヴァや鳳凰は一体どこから食材を購入しているのだ?

王都に入ってくる流通は全て我がシルヴェスタ公爵家で牛耳っている。つまり外から来るモノは私の力の及ばないモノはない。それなのにあの量の食材をどのように確保しているというのだ!


スターヴァ 代理人 フリード・クラウン子爵 オーナー バンダル・ゴールドバーグ

鳳凰    代理人 フリード・クラウン子爵 オーナー バンダル・ゴールドバーグ


バンダル・ゴールドバーグとは一体何者なのだ? 何故クラウン子爵が代理人をしているのだ? まだ何かある気がする。それは何なのだ!!

クラウン子爵…、本来であればエヴァレット公爵家の嫡男が幼い頃に継ぐ名だが、スターヴァと鳳凰のエヴァレット公爵家の関与は見つからなかった。

それに…、バンダル・ゴールドバーグは世間に一切出て来ない。6〜7年前に突如出てきたものの、一切を秘匿して謎に包まれている、真実を知る者はいないと言う。

そこで代理人であるクラウン子爵に連絡を取るが『依頼人が一切を秘密にしている為 申し上げられません』と、こちらも何も語らず、誰も直接交渉はできないと言う。クラウン子爵には監視をつけているが、未だ接触の気配はない。


バンダル・ゴールドバーグ…頭が良く一筋縄ではいかない奴である事は間違いないだろう。食材をシルヴァータからは購入せずに商売を続けていられるのだから。

なんとしても正体を暴かなければ!!


「大変です 旦那様!!」

「今度は何だ!」

「孤児院や修道院に監査が入りました!!」

「はっ!? な、何故急にそんな事に!!」


シルヴェスタ公爵は目の前が真っ暗になり、倒れてしまった。

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