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22、告白−1

プリメラはイベント通りの行動をしているのに攻略が順調に進まないことに違和感を覚えた。

アシュレイは婚約者兼悪役令嬢 ディアナとラブラブ

グラシオスは接触するも勉強の事しか頭にない堅物(これは設定通り?)

ローレンはディアナにシスコン発症、しかも婚約者あり(ディアナの婚約が決まった後、決まった)

残るは軟派なベルナルドだけ。

でも そのベルナルドもゲームとは全然違っていた。

ゲームではもっと一生懸命な脳筋で攻略は簡単、難易度1レベルって感じだったのに。

今のベルナルドは自分の存在を誇示して焦りが見えた。しかも超―――チャラい。

何があったんだろう?

攻略方法が変わっちゃったのかなぁ〜?


うーん、何が違うんだろう?

私がヒロインになるには何が足りてない?

何か私が忘れた?


……………………あっ!!

アシュレイに私が小さい頃救ったって事実を伝えてないんだー!!

そっか、そっか、アシュレイはディアナとラブラブなら邪魔しなくてもって告白イベントをしていないからゲームがスタートしないんだわ、きっと そう!!


んー、別にアシュレイじゃなくても良いんだよね。ディアナと引き裂こうとか、処刑、断罪なんて望んでいないんだけどなぁ〜。でも仕方ないっか、ゲームスタートしないと私のイチャラブ学生生活が出来ないから。それが前世からの夢だったんだもん!



セシリアとリアンは王立学園に来ていた。

今日は王立学園でテストがあるのだ。特待生試験を異例の時期に行う。

まあ、ここに来るまでも散々テストをさせられてきた。その度にリアンを一時的に呼び寄せていた。

「ねえ、リアン…リアンは優秀だわ。従者としてではなく特待生として私と共に学園に通わないか?と聞かれたらどうする?」

「悩ましいね。でも従者でいいかな? セシリアの傍にいることが出来ればなんでもいい。僕は別に人間になりたい訳ではないしね」

「そう。でもリアンこれだけは言っておくわ。人間の中には身分に拘る人が多く存在するの。だから私の従者と言うことで嫌な思いをさせるかも知れない、許してくれる?」

「うん、許してあげる。セシリアがどんな人か知ってるから、セシリアの言葉だけを信じるよ。だから大丈夫だよ、僕は頑丈だからね。傍にいることが出来ればそれでいいよ」


セシリアが結婚すればリアンとの時間が減るかもしれない、それが今は辛い。セシリアの結婚はセシリアの意思では決められないから、今はこの時間が続くことを願った。



「セシリア・ブライト君、リアン君 君たちは非常に優秀だと言うことが分かった。当王立学園に入学して欲しいと思うが、どうだろうか?」

「有難うございます。わたくし自身はどこで学ぶかは重要ではないと考えております」

「それはこの王立学園に通う気はない、と言うことかね?」

「いえ、とんでもない。わたくしがカンザックル学園を選んだのはリアンの身分の問題があったからです。この通りリアンはここに通っても遜色ないほど優秀ではありますが孤児でした。ここに通う際の規定に反するのであちらを選んだに過ぎません。

わたくしもリアンに確認しました、共にここへ通えるとしたらどうしたいかと、答えは『自分の職務は従者なので従者で構わない』と言うものでした。

わたくしがお願いしたい事は、リアンを護って欲しいと言うことだけです。

この学園においてリアンは異端児として扱われることでしょう。でもわたくしが学園を移ることでリアンに余計な気遣いや心労を与えるのは嫌なのでございます」


「なるほど…。どうだろうか、それでは共に特待生として通い、従者としての職務を優先させなければならない事項が出てきたら従者として動く。離れに1室部屋を与えよう。万が一リアン君に危険が及ぶようなことが起きたらそこを避難・待機場所とする。どうかな?」


「まあ! 破格の待遇 感謝申し上げます!」

「なに、実はね ブルーム君から事前にこんな話が出るだろうと聞いていたのだ。

『妹は幼い頃から優秀で天才だと言われてきたけど、カンザックル学園を選んだ。何度も説得したがリアンの事を諦めなかった。今回転入の話が実現したとしてリアンのことが解決しなければ同じ結果だろう』とね。だからその対策を講じたのだ、セシリア君を失うことは大きな損失になると思ってね」


「多大なご評価感謝申し上げます。ご厚意に報いるべく誠心誠意邁進してまいりたいと思います」

「おお、そうか来てくださるか? ではその手続きに入りたいと思う。宜しく頼みますよ」

「はい、宜しくお願い申し上げます」



「予定通りいったわね」

「僕ってダシにされたんじゃないの?」

「えっ?」

「だって、ブルームを守るためのここに来たんでしょ?」

「えへへ、許して。だってお兄様が心配だったんですものー!!」

「もう、やっぱり!」

「私が何だって?」

「お兄様!」

「セシリアがブルームには甘いって話」

「ん? 本当に? 嬉しいな」

手と手を取り合って見つめあっている。

「だってお兄様をプリメラから守るには近くにいないと、手が打てませんもの」

「プリメラに私が夢中になるなんて事あるのかなぁ〜? 寧ろ嫌悪感しか湧かないけど?」

爽やかな笑顔で毒を吐く兄、そこもいい。


「ブルーム、魔術訓練が始まるぞ!」

「おお、分かった。 じゃあセシリア、リアン気をつけて帰るんだよ」

「はい、お兄様」



「さてと、リアンはこの後どうするの?」

「うん、もう一度行ってくる」

「そう、気をつけてね」

どこに?とは聞かない、リアンだって色々ドラゴンとしてあるだろう。

よし、その間の私は…、実家の動物たちに会いに行こう!

こっそり転移。


両親には会わない、だってここにいてはいけない人間だから。

「ああー、みんな元気だったぁ〜?」

『ああ、元気だよ』

『セシリアは?』

「元気元気! ダン、ケリー、マーサ会いたかったぁ〜」

『今日はリアンがいないんだね』

「そうなの、旅に出てるのよ」

『そうなんだねー。今日はどうしたんだい? 王都へ行っているんだろう?』

「ええ。少し時間が出来たからみんなに会いに来たの。困っている事はない?」

『ああ、至っていつも通りだよ』

「そうだ、あそこにいる白いカラス見える?」

『ああ、見える。あれがどうしたんだい?』

「あの子は私との連絡係なの。だから困ったことや気になることや変だなと思ったことをあの子に話してやって。そうしたら私に伝わるから」

『なるほどなるほど、分かった、そうさせて貰うよ』


「ああ、それから内緒だけど…ジャーン! 人参を持ってきたの お土産よ、食べてね!」

『『『ヒィィィィィィィン! 有難い!』』』

「それじゃあまたね!」


こっそりブルーベル侯爵家の動物たちにも会っておやつをあげて家に帰った。




「プリメラ・ハドソン伯爵令嬢…。知っているか?」

「ああ、勉強を教えて欲しいとよく来る…そう言えば最近は来ていないか」

「私のところにもよく来るな。なんだったか、自分だけが私の気持ちを理解できるだったか?」

「グラシオスやベルナルドのところにもか?」

「私のところにも来ますよ。義姉さんに虐められているのだろうとか訳の分からないこと言っていて、ノルティスの言う通りだったよ」

「ローレンのところにもか! ノルティスの言う通りとはなんだ?」


「昔 ハドソン伯爵家のお茶会に参加して酷い目に遭ったと言う話。

6〜7歳の頃にハドソン伯爵家のお茶会に初めて参加したらしいのだけれど、プリメラから酷い扱いをされたって。

たしか…、『お前は今日から私の奴隷だ、四つん這いになってご主人様と言え』だったかな? それまでも自分をお姫様扱いしろ、と配役を顔で選ぶらしくて、以前には虫扱いをされている子もいたとか。皆 食事がいいから行っていたけど、皆嫌がるようになって人が集まらなくなると、父親が仕事関係でゴリ押しして参加者を集めていたって話し。

ノルティスがあちこちで身の程知らずのバカ女と吹聴していたから、彼のお茶会に参加していた者は皆知ってるよ」

「何故、そのプリメラ・ハドソン嬢の事を聞くんだい?」

「最近面会の申し入れが頻繁に来るんだ。だからどんな娘か気になってね」

「気になる?」

「ああ。要件を聞いたところ、私が行方不明になった時のことだって言うのだ」

「はっ? 殿下が行方不明になった時のこと? まさか…、『名乗り出れば何でも褒賞を与える』ってやつか?」

「私もそんな気がしている」

「待て…待ってください。まさか、プリメラ嬢が殿下の婚約者を望むと言ったらどうなるのですか!?」

「分からない。いくらなんでも王族にしろ、とか国を寄越せとかそんな事は無茶は言わないと思っての触れだった。10年も動きがなかったのに…名乗り出る者が今更出るとは想像しにくいが、何だか嫌な予感がするのだ」

「確かに その事について話があると『おバカ姫』から謁見となると嫌な予感しかないな」


「陛下には?」

「いや、まだ正式には話しの内容を聞いていないから話してはいない」

「魔術師団に言って記録の魔道具を借りるべきだ。それから正式な立会人もつけるべきだ」


「殿下、義姉さんを傷つけたりしないですよね?」

「私も今更ディアナ以外と婚姻を結ぶつもりはない。杞憂であればいいのだが」

ローレンは不安を覚えすぐにプリメラの周辺を探り始めた。



準備万端の中でアシュレイ第1王子殿下との面会が行われた。


「えーっと、プリメラ・ハドソン伯爵令嬢、今日はどう言ったご用件かな?」

室内には護衛に文官に魔術師など多くの人間が同席している。

そして発言しているのはグラシオスだ。アシュレイ第1王子殿下は遠くの席に座りまだ一言も話していない。

「あの、どうしてこんなに人が多いのですか?」

「ああ、緊張させてしまったかな? 事前に申請があった内容は『殿下がワイバーンから落下し行方不明の期間についてだった』そうだね?」

「はい、そうです」

「あの時の事について恩人を探したいと言う思いから『褒賞を与える』と一文を付け加えてしまったために、虚偽の申告をする者が後を立たないのだ。だからこうしてあの件に関しては全て記録がとられる事になっている。そして、嘘だと分かった場合は処罰をされます。ご理解頂けますか?」

「ええ、勿論。なるほどねぇ〜。知らなかった…、そんなに偽物が出ているだなんて浅ましいですね。本物と偽物と見分ける必要性がある事は分かりました。同意致します」

「良かった、すんなり話が進みます。それで早速ですが、お話というのはなんでしょう?」


「実は黙っていたのですが、殿下をお助けしたのは私です」


まさか…、ここまで脅しておいたのに、なんの躊躇いもなくその言葉を吐くとはここにいる誰もが想像していなかった。


「そうですか、詳細を如何っても?」

「ええ、勿論です。お話しする為に来たのですから」


プリメラの話に皆が耳を傾けた。

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