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20、攻略者

グラシオスにローーークオン!

生徒会の仕事しなきゃ良かった…。時間がない、でも接点を作る為に王立図書館か学園の図書室へ行ける時は行ってグラシオスを探した。そしてとうとう見つけた!


グラシオスは図書室で難しそうな本を読んでいた。

なになに? 難しそうな本…、共通点は作れないから『勉強教えて!』これ一択!


「あのー、私プリメラ・ハドソンって言います。勉強を教えて貰えませんか?」

きゅるるん

これで興味持ってくれる筈!

「何故?」

「わーい、嬉しいですぅ〜」

「はーーー違う快諾も承諾もしていない、何故私が見ず知らずの君の勉強を見なければならない? そう聞いたのだが?」

「あれれ? セリフが違うぞ? ここは『いいけど どうして私なの?』でしょ!」

きゅるるん

「……………。勉強するなら勝手にすればいい、ただ私の邪魔はしないで欲しい」

「有難うございます!お隣失礼しまーーす」

グラシオスは勿論『勉強なら勝手に一人ですればいいだろう?』の意味で言った言葉だが、プリメラは『君の好きにすればいい』と受け留めた。


『今までも勉強を口実に近づいてくる人間は多くいたが、ここまで厚かましい者はいただろうか!?』

「ここなんですけどぉ〜」

ここは簡単な問題でも解かせて、褒めちぎってヨイッショーー!!


「………本気か?」

「本気ですよぉー! あっ、頭が悪いって馬鹿にしたでしょう? 私もそう思うけどぉ〜」

「この問題は12歳から始めるドリルの第1問…ここで躓いて次に進めるものか!?」

「えっ!? あれ? あーーーー、ああ間違えちゃった!」

テヘペロ 何でこんなのが紛れてたんだ? 適当に選びすぎたか。

「ハドソン嬢は今何歳なのだ? 12歳から始めるドリルは…普通の貴族であれば8歳で習得しているものだ。もしや見た目に反して未だ8歳なのか?」

「はぁ? 何言ってんの? あ、いえ。私はれっきとした15歳、王立学園に通うピッチピチの女学生です! 失礼しちゃう! さっきのドリルは紛れ込んでいただけ!」

「お静かに!!」

「すみません。そう興奮しないで静かにしてくれたまえ」

「だってぇ〜、…(シュン)ごめんなさい」


「まあ、王立学園に通っているというなら君の言い分を認めるよ。どこか簡潔にいいたまえ」

『おっ! やっと望む展開!』

それから質問に返す形で勉強会をした。

攻略への道の第一歩! 良し! いい感じ!




セシリアとリアンはそれから様々なテストと審査を受けていた。

そして予想通り、ものすごい数のお茶会や夜会の招待状が届いていた。中には勿論、ブルームとお近づきになる為に妹のセシリアに近づこうとしている者もいる。

こうなって来ると誰にどんな思惑があるか分からない…、お兄様は忙しいと断る理由があるがセシリアは家格が上の者からの誘いは断れない。

よし、エレン様に聞いてみよう!


セシリアはエレンのところへ行った。

そして、招待状が届いたところをリストにして持っていった。エレンはそれに派閥と個人的見解を書き入れてくれた。


「派閥が違うからって付き合ってはいけないと言うことはないわ。ただ、情報を取る為に呼ばれたり、偽の情報で嵌められたりする事もあるの。

それからわたくしが注意しているのは急に羽振りが良くなっただとか、いつもお金に困窮しているだとか、あまり良くない噂を聞く人たちは除外しているわね。

お断りの理由は様々だけれども…セシリアは、権力を使って無理やりなんてこともあると思うから気をつけないと…」

「なるほど、ただのお茶会などと侮ってはいけないと言うことですね。派閥…派閥か…」

なるほど、どこの誰が繋がっているとか裏リストを作るのも面白いかも…。


「セシリア、悪い顔しているわよ?」

「エレン様 わたくしは貴族のことに不勉強でどのような方がいるか存じ上げないのですけれど、それらが分かるような物はございますか?」

「そうね、王立図書館に貴族名鑑があると思うわ。ただ、王族派、貴族派、困窮具合なんて載ってはいないわよ?」

「ええ、少し勉強するつもりなだけです」

「…ねえ、どんな物を作るの?」

エレンも悪い顔をする。そう、セシリアは勉強すると言っただけで何かを作るなんて一言も言っていないのに、エレンはピンときた。


「わたくしの様な不勉強な者にでもすぐに分かる系図と派閥などを分かるようなリストを作ろうかと思います」

「そう、きっとわたくしも少しは役に立つわ、だから協力は惜しまない、ね? いいでしょう? 出来たものも見せてくれる?」

「ええ、勿論です」

「うふふふ」

「おほほほ」 


エレンもただの令嬢ではない、幼い頃から変わった子供のセシリアと付き合ってきたのだ。互いのことをよく知っている。


「セシリアは1人り違う学園で問題はない? それに学園もあるのに大丈夫?」

「ええまあ。多分近々王立学園に転入すると思います」

「あら、そうなのね。リアンは?」

「ええ、勿論一緒に行きます」

「そう、何かあったら教えて頂戴ね」

「はい、頼りにしているます、エレンお姉様」


早速セシリアは王立図書館へ行き貴族名鑑を複製しマジックバッグへポン。

貴族名鑑は毎年更新される。セシリアもデビューを果たし今年の物にはそれが明記されるだろう。邪魔にもならないのでここにある貴族名鑑は片っ端から複製していった。


貴族名鑑には王家、公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家、準男爵家、騎士爵の順番に記載されている。内容は序列や領地、簡単な系譜などが簡単に書かれている、だけ。

公爵家32家 内6家王族系なども分かる。だけど、顔写真は載っていない、イマイチ分かりづらいなぁ〜。データだけじゃこの量、覚えられないな。全貴族を覚えるなんてムリムリ。


まあ、カルテ作りと思ってやってみようかな。

そんな軽い気持ちだった。

望愛の病院ではカルテに患者(動物)の写真も載せていた。取り違えなどの問題もあるからだ。


一代限りで爵位存続できない者、お取り潰しになった者、後継者を失いそのまま爵位を返上した者様々だった。貴族って案外どこかで繋がっていたりして複雑。

派閥外での結婚は滅多にない、それがある時点で急に犬猿の仲である間柄で関係を持ったり…。うーーーん、やるなら徹底的にやりたいような、気がする。後悔するかな? するよね? でも気になるし…。主要な人物は顔写真…欲しいなぁ〜。

という事で、あちこちの貴族に忍び込むことにしました! テヘペロん


因みにリアンは只今 一人旅中。

リアンも転移魔法などを色々覚えたのだ。それで『何かあったら呼んで』と、フラリと出ていった。まあ、偶には狩りをしたり仲間と遊びたいこともあるか!と快く送り出した。


テッテレー! 『デジタルカメラ!』 あちこちの屋敷に忍び込んでは肖像画をパシャリ。


勿論 隠れ家でプリンター印刷。

やっぱり文明の機器に慣れていると無い生活は出来ないよねー。

でもこうなると面倒だけど、貴族名鑑ではなく一系統を掘り下げて系譜で辿りたいかな。

二重三重とダブルけど、そっちの方が分かりやすいよね。まあダブったものはコピペすればいいし。


例えば、ブルーベル侯爵家、今日現在の家族構成に肖像画、

当主 シューバ・ブルーベル侯爵 52歳 

※王族派 母にスカリア王女殿下

妻 サナベル (ユーベル公爵家 3女)49歳

   ※ユーベル公爵家 中立派

子:2男 2女 計4子

第1子:長男 ヨハン 27歳

    妻 サフィリア (ロイド侯爵家 長女) 25歳

      ※ロイド侯爵家 貴族派 但し穏健派

    第1子 長男 リュクリクス 3歳


第2子:次男 ローハン・ダンヘル 25歳

    妻 マーシャル (ダンヘル侯爵家 長女) 21歳

      ※ダンヘル侯爵家 王族派


など別に居を構えていても詳細を載せる。

そして、ユーベル公爵家にもロイド侯爵家にもダンヘル侯爵家にも載せるというものだ。

肖像画が無い家には…こっそり隠し撮りまでした。

公爵家から始めていった。末端は件数が多いからね。

因みに発端の派閥も色分けしてみた。中枢の強硬派以外はあまり影響はなさそうだった。


でも思わぬところで早くも矛盾を見つけて無限迷宮入り。


例えば、後継者を残せず(病気や戦争で命を落としたり)家門を閉じた家の子供が隠し子として登場していたり…。あと何気に多いのが平民との間にできた子を後継者として引き取るケース。まあ、当主が生きていて手続きをした場合は爵位存続にための対策かとも思えるが、何代も休眠状態の家門が復活している場合がある。調べてみると決まり文句のように家宝の◯◯を持っていた為、◯◯家の落胤と認める的なヤツ。その処理した人間が割と同じ人間だったりするので、偽物だろう事がわかる。その役所の人間を調べてみると陰で悪い事してたりする。いやー、まさか貴族名鑑から不正を見つけちゃうとはね。


まあ、いっか。私は別に不正を取り締まる役人では無い。

ただ一つ思うのは、ここら辺の裏がありそうな人間のお茶会や夜会には行かない、それだけ。近寄りたく無い人種の人間と分かり、それらと懇意にしている人間も排除。ついでにそんな人間を手足に使っている人間も排除。

あら、こんなところにハドソン伯爵の名前が…。

ふひー、あの時エンガチョしといて良かった良かった。


あー、もっと詳しく書き込みしたいなぁ〜。

交友関係とか財務状況とか、趣味とか…うずうず。


白いカラスを作り出した。白いカラスは使い魔だ。それをあちこちに飛ばし情報を拾った。

勿論 自身の店なども駆使して知った事実を書き加えていく。それから各家の馬や動物たち、相手は動物たちは何も考えないし話さないと思っているからその存在を忘れている。だから秘密も噂も色々知っていた。馬車の中で密談!? ラッキーでしか無い。


ふひー久しぶりに自分の性格を『凝り性』だなと実感した。気になると気になって眠れなくなるからもう諦めて最初から興味のままに探る。

故に普段は これは嵌まるかも?と思う物には極力手を出さない。必要なことは勿論やるけど、必要では無いことは時間を取られると分かっているから。今回のセシ流貴族名鑑に手をつけた時点で結果は見えていたのだ。普通の貴族名鑑では収まりきらないと、図書館である分だけ貴族名鑑を複製した時点で遡って系図を作ることは片隅にはあった、更に各家門で作り始めたあの時には…この結果は見えていたのだ。そして私は今後もここに書き加えていくだろう、情報は更新されていくものだから。

うぉー! エンドレス!!


何度か図書館にも足を運んだ。

領地に加え特産品なんかも書き込んでいたり、地形図まで書き加えたり、そうなると図書館にあった地形図だが、曖昧!?で調べてみるとワイバーンで飛んで描いたようだった。所々 想像が含まれている気がする。だからリアンに飛んでもらって写真を撮った。ついでに気候についても書き込み、領地の主な産業、収入源も書き書き、ついでに余計なお世話で財務分析も書き書き、奥様の買い物具合も、ついでに愛人の名前も書き書き。


そんな中 何度かグラシオスとも顔を合わせた。

まあこちらから声をかけることはなかったが、向こうからは声をかけられた。

「ブライト嬢」

「え? ああ、バーナー様」

「調べ物かい?」

「ええ、まあ。バーナー様もですか?」

「ああ、まあね。 そうだ、王立学園で君を探したのだがなかなか見つからなくてね」

「まあ、そうでしたの? 何かご用でしたか?」

「いや、用という事でもなかったのだが君となら有意義な時間を過ごせると思ってね」

「そうでしたか。実はわたくし王立学園には通っていませんの」

「えっ!? 何故 君であれば王立学園に入ることが出来ただろう?」

「ふふ 有難うございます。他校でも勉強は出来ると感じたからですわ」

「そうか、君らしい…か」


グラシオスと偶に話す仲になっていた。


あっ、ブルーム・ブライトとの関係を聞くの忘れた。

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