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18、社交界デビュー−1

テストは年に4回行われる。上位20位までが名前を張り出されている。

1回目のテストの結果が良ければ楽しい舞踏会を迎えられる、と誰もが必死になる試験だ。

プリメラは絶対の自信があった。

意気揚々と見に行った。1位から下へ順番に見ていくがプリメラの名前はなかった。


嘘よ! あんなに勉強したのよ! あり得ないわ!!


後日 成績表を渡された。

そこに記された数字は…36位、微妙――――。229人中 36位か。

まあまあかな! 結構 頑張ったよね、私。

そうだよ、どこの家だってみーんな家庭教師雇って勉強してるもんね。

うんうん、女の子はお嫁さんになれるけど、男の子は出世がかかってるんだもんね、そりゃ必死になるよね。

次回は負けないぞー!! うふふふ。


そーだ、他の攻略者の顔を見に行こうっと!


ところが学年が違うと校舎に入る際に審査を受けなければならない。

「第1学年の者が何用ですか?」

「えっ? 別に用とかはないけど、みんな何してるのかな〜?って思って」

「ご用がない方はお通し出来ません」

「えーーー!! 少しくらいいいじゃない! ぷーーー!」

「申し訳ありませんが、この学園は王侯貴族が通うものですから厳格なルールがございます。どうか、騒ぎになる前にお帰りになってください」

「あなたって冷たい人ね。可愛い子のおねだりは聞いた方がいいわよ!」

そう言うと戻っていった。


んもーー! 失礼しちゃう。

顔見たかったのに!! ならイベントで会うしかないわね!

グラシオスは図書室イベントでしょー、ベルナルドは剣術訓練、ローレンはお茶会。

どれが1番最初に会えるかなぁ〜?

あっ! ローレンって同じ15歳じゃない!?

顔見れんじゃーん!

よし、早速行こうっと!


ふんふんふーん!

あっいた。

ローレン・シルヴェスタ公爵令息。

えーっと、ディアナがアシュレイの婚約者候補になったので親戚から優秀な者を選び養子として迎えたのだったかしら。

プライドの高いディアナは、ローレンの出自(元は伯爵家)を蔑む、所詮は偽物とイジメ倒してきた。

心の中では何度もディアナを殺すほど憎んでいた。

ヒロインの私が人間扱いしてあげる事によって、私を深く愛するようになるのよねぇ〜。


別に逆ハーとかは興味ないんだよね。でもみんなのアイドル、愛されキャラは一度経験してみたいかー。



4人の中で1番合う人とラブラブになれればいいかなぁ〜。

婚約者から奪って断罪とか後味悪いじゃない?

処刑、国外追放、一族処刑、没落に落とした上、他人の男奪って、愛する人と一緒になれて最高にハッピーー! はキツイよねー。 せめて別の男紹介してあげたい! みんなwin winでハッピーがいいわけ。


ん? アレがローレンだよねー?

ローレン、ゲームみたいな影ないなー。

そっか、表面に出してたらもっとイジメられちゃうしね。

まあ、話してみたいとどんな人か分からないもんね!


あとはー、図書室行ったらグラシオスには会えるのかなぁ?

うん、もしいたら勉強教えて貰おうっと! それくらいはいいよね! 恋愛に発展するも良し、 ならなくても学力が上がる! うん、いい感じ。みんなから尊敬される、ヒロイン最高!


大本命 アシュレイは…、生徒会に入って距離縮める筈が、テスト36位だったからきっと声が掛からない。

んーーー、立候補ってないのか聞いてみよう!


女性たちの噂話が聞こえる。

『アシュレイ殿下もディアナ様も本当に仲が宜しくて羨ましいわ』

『本当ね、この間もお揃いのドレスで夜会に参加されていて、互いを見つめ合い眩しいほどだったわ』

『ええ、殿下がまさか流行の《トレヴィ》をご存知とは思いませんでしたわね』

『それがあれはディアナ様がお揃いで着たいってご用意したものみたいですわよ』

『あら、大胆ですわね』

『でも、少しわかるかも…、王家が用意なさるものは伝統と格式を重んじていて、少し、いえかなり流行とはかけ離れてますものね。王室に入るまでくらいお若いのですもの、可愛いドレスが着たいと思われるのも分かるわぁ〜』

『でも、殿下もディアナ様に味方してくれたから着れたのでしょう? やっぱりお優しくて、羨ましいわぁ〜』

『そうね、実際お似合いになっていたし、殿下が着たことで更に《トレヴィ》の格式が上がって名声が大きくなり、今後も声がかかるかもしれないわね』


へぇー、アシュレイってば悪役令嬢と仲良しなんだ…。

はぁー、今のところパートナーになりそうな人はいないなぁ〜。いざとなったら幼馴染ブルームに頼むしかないのかなぁ〜。でもダッサかったんだよねぇ〜、いや やっぱない、アレだけはない!


『ブルーム様が1番人気よね』

なぬ? ブルームって幼馴染の!?

『そりゃダントツよ! めちゃくちゃ優良物件だもの! 顔良し! 性格良し! 能力あり! 人脈あり! 人望あり! 成績優秀! 将来有望どころか輝かしい未来は確定! あー、少しでもお近づきになりたい!!』

『毎回、ブルーム様のスタイルが流行になると言われているほどセンスもいい、最高だわ!!』

『まだ 婚約者をお決めになっていらっしゃらないのよね?』

幼馴染のブルームとは婚約しなかったから、まあアレでは誰とも婚約できないだろう。あのブルームは全然イケてなかった、服もダサかった。あり得ない。

別人だな。


そのイケてるブルーム君には是非とも1回お会いしてみたいけど、まずは恋愛出来る人探したいな。


攻略対象者なら楽勝かと思ったけど、アシュレイは婚約者とラブラブなのね。じゃあ、後の3人で相性を確かめようっと。



その後何とかグラシオスとベルナルドの顔もチェック!

うん、ゲーム通りのイケメンだった。4人中で1番付き合いたいのは誰かなー?

1 アシュレイ、2 ベルナルド、3 ローレン、4 グラシオスって感じかしら?

お金持ってて、学校の帰りにアイス食べたり、クレープ食べたり、可愛いお揃いの小物買ってつけたり、カラオケ行ったり、写真撮ったり…、デートしたいな。恋愛して思いっきりイチャイチャしたーい!


だけど実際はアシュレイは王宮で政務、婚約者のディアナも王妃教育、結局 王宮に2人で帰っちゃう。ベルナルドも騎士訓練とかですぐに帰る。ローレンは公爵家の仕事があって帰っちゃう。グラシオスは勉強する為にどこかへ行っちゃう。

出逢いがなーーーい!!

私は前世で出来なかった青春がしたいのー!! ハッピーライフを求めているの! はぁぁぁぁぁ!!

やっぱり生徒会しかない!!


コンコンコン

「はい、どうぞ」

「あのー、私 プリメラ・ハドソンと言います。生徒会に入りたくてきました!」

「そうか、忙しくて猫の手も借りたいほどだったのだ。助かる、デコラ君、悪いが出来そうな仕事を割り振ってくれたまえ」

「はい、会長。 ハドソンさん 早速だけどこちらへ来てくださる?」

「あっはい! よろしくお願いします!!」

何よ! チョロいじゃない!! アシュレイとの接点ゲットだぜぃ!



「いきなり初日から遅くまで手伝わせて済まなかったね」

「いえ、問題ありません」

ここで偶然アシュレイたちに会うんだから!


それから毎日プリメラは生徒会の仕事に励んだ。





セシリアも学校でテストが行われた。

歴代最高得点を叩き出し、ぶっちぎりの1位を取っていた。

「ブライト君、君ほど優秀な者が何故 王立学園ではなくこのカンザックル学園に入学したのだい?」

良い子ちゃんであるならば、この学園の教育方針の感銘を受けて…などと言うのだろうが、そんな気はさらさらない。

「自分の実力を知らなかった事と、わたくしが女だからですわ。わたくしには兄がおります、ですから我が家の全ては兄が相続致します。わたくしが勉学を極めても使い道がないと思ったのです」

「まあ普通の女性であるならば家のための結婚すると言う者が殆どでしょう、ですがここまで優秀となれば別です。貴女が特別な理由があって王立学園に行きたくない、と言うのでなければ私は、貴女を特待生として王立学園に推薦するつもりです。それでも良いですか?」


「あのー、それからもう1つ…従者の問題です。わたくしの従者はとても優秀なのですが、元は拾い子なのです。ですから王立学園に連れていくことが出来なくて…」

「ふむ、確かにかなり優秀だと聞いています。貴女と一緒に特待生として推薦してみましょうか?」

「特待生…ですか?」

「ええ、そうです。この成績であれば2人とも王立学園でも上位でやっていけるでしょう」

「…学園長がそのように判断なされるのであれば、それに従います」

「宜しい、その様に進めます。貴女の兄上は既に王立学園に通われているとか、私は教育者として優秀な者を埋もれさせておくのは勿体ない、是非前途あるあなたたちの力になりたいと思います。頑張り屋のあなた達には王立学園でも恐らく良い出逢いが待っているでしょう」

「有難う存じます」

よーしよしよし、計画通り!

お兄様の身辺警護するには違う学園は不利だったから、これであとはいつ移れるかね。


『リアンー! 王立学園に行くことになったら一緒に行きましょうね!』

『はいはい』


うふふ 絶対にお兄様は私が護ってみせるわ!!




プリメラは誰とも懇意になれずに社交界デビューの舞踏会を迎えてしまった。

だって生徒会の仕事すっごく忙しいし! アシュレイに近づく為に入ったのにいつまで経ってもアシュレイたちが来ないからデコラさんにそれとなく聞いたらアシュレイたちは誰も生徒会に所属していなかった!!

去年1年間猛烈アタックしたが全員忙しすぎて生徒会を手伝う暇がなく断念したとのこと。

そりゃないぜ!!

でも自分からやらせてくれって言ったのに、アシュレイたちがいないから辞めますとは言えずに、ずっと生徒会を手伝っていた。しかもポジションは書紀とか会計でもなく、ただの手伝い。攻略対象者とも接触できず、親しい人も出来ず、仕方なく舞踏会には父親と参加することになった。


順番待ちしている間周りに目をやる。

年配の方と来ている人もいるけど、殆どの人が同年代くらいの人といる。

婚約者かも知れないし、兄とか従兄とかかも知れないけど、今の私には凄く羨ましい!!

私は前世で出来なかった恋愛がしたいのにー!! ムキーー!!

何で私は父なんだよ! しかもイケおじじゃない!


「お父様、またお腹が出ました?」

「な、何を言うのだプリメラや。お前や母さんから厳しく言われて日々ダイエットしておるのに」

「だってお父様とダンスを踊るとお腹が邪魔で遠いんですもの! もっと格好良くなってほしいわ!」

「そんな事を言わないでおくれ プリメラや」



後ろからその様子をそっと見るセシリアたち。

「相変わらず娘には激甘なんだな」

「本当に。10年前は非情な領主っぷりを見せていましたのに、娘にだけは別なんですのね」

「全くだね。領民と牛を殺して、王家に水増し請求して領地を立て直した者と同一人物には見えないな」


「それはそうと、お兄様はちゃんとご無事ですか」

「ああ、プリメラ嬢のこと? 大丈夫だよ、まだ遭遇していない。心配性だな、ちゅ」

「だってぇ、心配なんですもの。お兄様はこんなにも素敵でしょう? また婚約などと言い出したらと思うと不安で」

「有難う、でも私としたら可愛いセシが魔の手に捕まるのではと心配だよ?」

「大丈夫ですわ。お兄様をご存知の方は気後れして声などかけてきませんから」

「本当に? ふふん、それなら良かった」


『伯爵家 セシリア・ブライト』

「お、コールされた行くぞ!」

「はい」

胸を張って笑顔を貼り付けて前に進み出た。

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