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逃亡
ねぇ。お嬢様。あなた様に、僕は、、、
少しでも、なにかを、お返し出来たのでしょうか?
バーンっっっ
突然、背中に焼けるような痛みが走った。
逃げなければ。
ただ、ただ、それだけを思って
木々が生い茂る山道を
前へ前へと駆けた。
全速力で。
ざっっっっ
しまったと思った瞬間に
痩せた身体は
空中に舞って
気づけば、激流に飲み込まれていた。
苦しくて苦しくて
もがくもがくもがく。
必死で、浮かび上がりたいのに、
早い流れに引き摺り込まれるように、
もみくちゃにされて、、、
あぁ。もうだめだ。
と思った。
そこで、俺の意識は混沌の闇へ落ちていったんだ。