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神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第5章 弟子の魔法使いは世界を彼らと共に守り抜く(掟破りの主人公大集結編!!)。
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第75話 異世界の来訪者たち 精霊編(弟子は変態を見てしまう)。

「やっと調子が戻ったぁぁぁぁ!」

「悪かった。ちょっと縛りが強過ぎたな」

「『神縛り』だっけ? 一部とはいえよくオレの中にある女神(精霊)の力を抑えてたな」


 場所は魔術師のシュウが仮の拠点にしていた建物内部。

 シュウが掛けていた『神縛り』の魔術具の影響で、ヴィットは一時的に精霊との繋がりが弱くなった。

 確認の為にも戻っていたが、どうやら時間と共に効力は弱まってようやく回復したらしい。


「どうだ?」

「……ああ、行けそうだ」


 結界に集中しているシュウが尋ねると手のひらを振ったり見て頷く。

 ちょうど結界の方でも隠れていた塔の感知。正確な位置さえ分かれば此処から転移が可能である。

 

「じゃあ今度こそ頼むぞ。『四神使い』」

「あまり期待されても困るがな」


 オレはそこまで強くないぞ? と苦笑して彼もまた戦いの場へ向かった。





「『煉天の破震衣(マグナ・ストライカー)』ッ!」

『ゴバァァァアアアアアア!』


 火属性と土属性を合わせた『煉天』の魔力を拳に纏って打ち込む。

 スモアの頑丈な外装は破壊出来ないが、衝撃は確実に内部の本体へ届いている。


「ラッ!」

『ゴバァアアアアアアッ!』


 拳や蹴りを打ち続ける。スモアも翼のような刃や鋼の尻尾、ツノが生えた頭突きを打ち出して来た。


「なんでもありか!」


 全身武器みたいな相手。鬼畜魔王が似たようなスタイルをしていたが、アレは触れただけでも命を落としかねない死属性。そもそも比較する対象がおかしいか。

 衝撃を鎧の内側へ打ち込む打撃。あの鬼師匠の体術の一種で押し始めて来た。


「っ、だいぶ硬さには慣れた! そろそろ決めるぞ!」

『ゴ、ゴバァ……!』


 途中までお互いの攻撃は拮抗していたが、次第にこちらが有利になる。しばらく至近距離からの打撃戦が続けて決め手の一撃を出すタイミングを狙っていると……。


『っ……ス、スモア!』

『ゴバァ!?』


 零さんが相手していた老人魔法使いが突然こちらに飛ばされて来た。スモアはキャッチする前に本人が自力で持ち直したが、顔には明らかな疲労の色が見えた。


「悪い。そっちに飛ばした」

「結構手こずってますね?」

「見た目よりタフな奴でな。ギリギリで攻撃を躱しながらこっちにやって来た」


 零さんの方も優勢のようだが、どうも連中はどっちもしぶとい。

 そうこうしているとまた上空の塔から光が照らされた。地面まで落ちると転移の魔法陣となって新たな敵側の援軍らしき女が姿を現した。長い灰色の髪に褐色の肌と尖った耳、見るのは初めてであるが、妖精族の中でも珍しいエルフ種のダークエルフ。闇の妖精族であるマドカの上位種族だ。


『何やってるのよ二人して』

『すみませんエラ。貴女にまで手を借りる事になってしまって……』

『お喋りは後にしましょうツファーム。ここからはアタシもやるわ』


 ダークエルフのエラと呼ばれる女性が手元に紫色のムチを取り出した。

 妖精魔法の武器だろうか。対応策の為にも一旦距離を取ってマドカを頼るか考えたが、その前にムチは紫色のオーラを噴き出させる。毒々しいそのオーラは地面の草を優しく撫でただけで腐らせていた。


『ハァアアアア!』


 そして振るわれたムチは長く伸びてこちらに迫って来る。俺も零さんもすぐに退避しようとしたが、変則的に動くムチは蛇のように動き回って読み切れない。下手に動く事ができず零さんと一緒に守りに入ろうとしたところ……。



「ボインの気配がする!」



 ……最悪な登場台詞でヴィットが登場した。

 突然目の前で発生した光の感じからシュウさんの転移魔術?というヤツだろう。

 どこに持っていたのかいつの間にか手に持っていたなんの変哲もない盾。分厚くもない普通の盾で触れただけでも危なそうなあのムチを弾き返した。いや、盾に触れた部分のムチが溶けた。


「なんだその盾は?」

「ん? ちょっとしたオレ専用の武器さ。魔力を弾く物質で出来てる。魔法使いにとっては嫌がらせみたいな物だ」


 見ながら問い掛ける俺になんでもない風にとんでもない武器を紹介をするヴィット。魔力を弾くって……絶縁体みたいな物か? 全然魔力を感じないと思ったらただの精霊使いじゃないな。

 

「ただし気、煌気には反応する。そしてオレの異能(・・・・・)を使えば……」


 盾が変化してシュウが持っていたような小さな鎖に変わって彼の腰に装着された。

 煌気、気の一種か。聞いた事はないが、確かに気が盾に拒絶されず流れるのが分かった。それに異能もあるのか。意外とネタが多い奴だな。


「どんな形状にもなれるが、今は邪魔になりそうだから戻して置くか」

「便利な武器だな。是非欲しい」

「いや、魔力持ちだと変化しないし、数少ないアイテムだから勘弁して」


 確かにそんな物を近くで使われたらこっちにも影響が出かねない。興味はあったが、譲ってくれそうにないか。


『またアンタかァァァァ! 四神使いィィィィィ!』

「あ、エラちゃんだ。ヤッホーエラちゃーん!」


 いや、ヤッホーって言っている場合じゃないと思う。あのエラとか言うダークエルフ、なんか無茶苦茶キレてるんだけど。


「元気そうで何よりだ。結構探したんだよ? あんなに打ち解け合ったのに逃げるんだから」

『よくも、よくもアタシをォォォォォォオオオオオオオオ!!』


 飛ばしたムチを戻すとまたムチをヴィットに向かって振るう。さっきまでの妖艶な雰囲気が吹っ飛んでる。般若か修羅みたいな形相で本気でヴィットを殺そうとして来た。


 が、ヴィットは平然とした様子で降り掛かるムチの嵐を躱している。

 身体能力はそもそも高いようだが、上手く気による肉体強化も行なっている。動きもキレが良くダークエルフの攻撃を完全に見切っていた。


「まぁまぁ、落ち着こうよ。こっちとしては話し合いで済ませたいんだ」

『ほざくな変態! お前は使命とか関係なく全世界の女の敵だ! 此処でアタシが仕留めてやるッ!』


 何があったか。会話と彼女の激情した様子からなんとなく察したが、ヴィットは心外とばかりに反論する。


「違う! オレは全世界の女性の味方だ! ちっちゃいのから大きいのまで! オレの果てしない愛で守ると誓ったんだ!」

『……』

「「……」」


 迷いのない表情で小さいとか大きいとか言ってる。……どうしよう、マジで帰りたくなった。

 俯いてプルプル震えているエラ(可哀想なダークエルフ)。仲間までビクビク怯えるくらいの魔力と殺気を漏らして──キレた。


『シ、シネェエエエエエッッ!』

「ええええ!?」


 そりゃキレるわ。新たな精霊魔法か、紫色の蝶の翼を背中に付けたエラがヴィットに向かって来た。


「怖いなぁー」

『っ、避けるな変態!』


 急接近したエラのムチ攻撃をヴィットはなんなく躱すが、エラは止まらず紫色の羽から無数の小さな毒針を放って来ると……。


「コロ……力を借りるぞ」

【灰にしてやるわ!】


 また声がした。瞬間彼の体から太陽の炎が吹き荒れる。


「“精霊武装”──【陽炎鼓譟(ヨウエンコソウ)】」


 彼の髪と瞳が真っ赤に染まる。服も炎色に染まって背中には朱雀のような翼の模様が付いた。


『──ッ! その力は!』

「“神威(カムイ)”、“炎舞(エンブ)”」


 太陽の炎を操っている。竜巻のようにして飛んで来る毒針から身を守ると、全ての炎を両手のひらに集めた。


「煌気術……奥義」

『ッ──エラ!』

『ゴバァァァアアア!』


 両腕でエックスを作りその中心に集めた炎の塊を込める。ヴィットが何をするのか察したツファームがスモアと共にエラの元へ。スモアが盾になるように前に出た。


「“王破(オウハ)”!」


 クロスした腕を解き放つ。太陽の炎球が敵側を劫火で埋め尽くした。

 ヴィット(変態)も参戦します。元々そっち方面の主人公がいなかったという理由で作られたキャラでした。上手く機能したかどうか怪しいですが。

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