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神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第4章 弟子の魔法使いは試験よりも魔神と一騎討ち(でも試験荒らしてトップを蹴落とす)
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第35話 ダンジョンは必ずしも階層が多いとは限らない(弟子は面倒を避けるために面倒を受け入れた)。

 試験は開始されて、俺たちはそれぞれ指定の入り口へ。

 入り口は東西南北で4ヶ所存在しており、1年だけでも人数が多いので、チームごとにランダムで四つのどれかへ移動した。

 ちなみに俺はこの東側からなので移動の必要がない。桜香のチームは北からなので、これから移動しないといけない。当分は会えそういないと安堵していた所為か、去り際にむすっとした顔で桜香が詰め寄る。


「じゃあ行くが、くれぐれも私が居ないと思ってハメを外し過ぎないように。手伝ってくれるのは感謝するが、お前のその得体の知れない力がどう試験に作用するのか、正直不安で仕方ない……」

「お前の言う外し過ぎないって、具体的にどういう事を指すんだ? サボるなって言うならまだ分かるが……」

「だ、だから刃が……! っ……」


 なんて言ったら苦々しい顔で立ち去って行った。何故? ただ質問しただけなのに……。

 少し離れたところでミコもチームで移動するのが見える。こちらへブンブンと手を振っていたが、人の目があり過ぎる。俺は気付いてないフリをしながら貰った地図に目を通す。


「さて、初日はどうしようか」


 正直狩り尽くしてもいいと思ってる。魔力量は確かに最弱レベルだが、気と応用すれば長期戦も可能だ。

 しかし、桜香が言っていたようにやり過ぎれば目立つのは確定。いや、手遅れかもしれないが……。


「特別ルールねぇ……。明らかに何かの対策だよな」


 急遽導入された追加ルール。

 本来ならただのダンジョンを利用した一年だけの試験の筈が、第三者や一部教員側の申し出とやらの所為で、六日目から『ハンター』として二年、三年のトップ生徒たちの参加が決定した。 

 公開されているリストを見れば、二年のトップの桂を筆頭に六人の上位ランカー。そして三年からはランカー一位で生徒会長である土御門、ミコの姉こと咲耶姉さん、西蓮寺も混じっている。


 学園のトップメンバーが学園側の敵として出張って来る。

 マドカに調べてもらったが、今までにそんな事例は皆無だったらしい。一人か二人ならまだしもほぼ全メンバーが一年の試験の為に集まっているこの状況。……異様を通り越して異常。


「ポイント倍増は嬉しいが、この面々のうち数名でも俺の方へ向かって来たら、流石に分が悪いな」


 マドカもその線が濃いと警告していた。考えたくないが、誰か権力のある何者かが試験内容に介入、どうにかして俺を倒せれる戦力を整えてきた可能性があった。証拠もなくまだ僅かな可能性であるが、否定するには用意されている生徒たちは……少々濃いメンツ過ぎた。関わってもよろしい未来が見えないな。


「よし、やっぱり回避一択だな。六日目からのポイント稼ぎは捨てよう」


 なので五日までの間で、ポイントを稼ぎまくる。

 そう結論付けたところで、他の生徒のように俺もダンジョン内部へ入るのだった。





「始まりましたね」


 ダンジョンの外側の建物内。

 生徒たちの位置を画面でチェックしていた教員の一人がボソリと呟く。


「さぁ、今回はどうなることやら……」

「まだ始まったばかりですよ? 最低でも六日目にならないと予想も付きませんよ」

「いや、だって今回はトップナンバーが試験に介入して来るんですよ? 気になるに決まってるじゃないですか!」


 ソワソワした様子で画面から呆れた声を漏らす教員に食い付く。


「確かに今回の試験は相当異例の形式ですよね?」

「ああ、今までに指導者志望などで参加した生徒はいたが、それでも一人か二人。ここまでの大人数はオレの初めての事例だ」

「やっぱり土御門君が学園長に直訴したってんでしょうか? 一部からそんな噂がありますが……」

「どうかな。それで動くような学園長じゃないと思うが……どちらにせよ、彼らが動くのは六日目からだ。制限もあるからそこまで大事にはならないかもしれん」


 気になるのは他の教員たちも同様なようで、一人一人本音と疑問を交わしていく中……ひと回り小さなマドカはというと。


「それはどうでしょうか?」


 異変を見つけると無表情だが微かに笑みを浮かべて、教員たちに聞こえるように告げる。


「元から大事になる要素がなければ、学園長もあの子たちの介入を認めなかったと思いますよ」

「マドカ先生?」

「制限として六日目からにしたようですが、その前に既に事態は大きく動いているようですよ?」


 言われて教員たちは画面を覗くと全員の顔色が固まった。

 は?とした顔をして呆然とする。いったい何が起きているのか?と言った様子で……。


「な、なんだ? この反応は……」

「魔物が消えていく……?」


 安全の為に生徒を監視出来る画面には魔物の反応も映る。

 事前にチェックした通り特にダンジョン内の魔物の数や魔力質に異常は見られなかったが……。


「あ、あの生徒がやったか!? 反応が一つだから……たった一人で!?」


 その魔物たちが次々と画面から消滅する側で、一人の学生の反応が残っている。

 始まってまだ数分であるが、他の生徒たちよりもずっと速く、遥か奥へと進んでおり、群れの魔物を一斉に全滅させていた。





「やっぱり飛んだ方が早かったな」


赤界竜王が眠る(セキリュウの)迷宮洞窟』は五層のみしかない。

 その代わり中は非常に広く、一層目は夜の森林と荒野が混ざった場所だ。迷宮というより荒れた道なき道と先の見えない森である。


 生息している魔物は木の魔物トレント、夜の狼ナイト・ウルフ、岩の牛ストーン・バイソン、幻惑の鳥ファントム・バードなどなど……。

 極めて広いので東西南北で生息している魔物も異なっているが、この近辺にはナイト・ウルフとファントム・バードが巣を作っていた。


「さぁ、狩りをしようか」


 銀銃を構えて魔力・融合化を発動する。途端、ギョッとした恐れの反応を見せる魔物たち。

 全身のステータスが向上したのを感じ取ると、俺は身体強化と感知スタイル“仙沈モード”に切り替えた。


通電撃(ヴォルト)、照準固定……全弾発射(フルバースト)」 


 一気に全弾を撃つが、それだけじゃない。

 感知特化を活かして、追尾機能を弾丸に込めた。弾丸自体にも魔力で貫通力を加えることでバードを貫通。続けて別の鳥へ伸びていく六発の貫通弾丸。木の影に隠れていても貫通して、二十はいた鳥の群れが次々と力を失い落下していく。


「じゃあ、どんどん行くぞー?」


 再装填してまた雷を付与させる。

 攻撃範囲も広くなっており、四方の先を見据えるように銃の先を順に向けて放った。

あといつもより少し短めですが、次回から刃の無双を本格的にスタートです。

 ダンジョン探索期間は一週間、本番は六日目からですが、既に優等生たちが何か企ている中、ポイントを稼ぐつもりになった刃は……。

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