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神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第4章 弟子の魔法使いは試験よりも魔神と一騎討ち(でも試験荒らしてトップを蹴落とす)
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第32話 夢の中なのにリアルなのは魔法の所為(弟子にとって師匠は『こんなの』)。

 結論、師匠がやらかしていた(予想通り)。


「アハハハハハハ、アハハハハハハ……」


 バキバキッ! バコバコバコッ! 

 ドカドカドカドカドカドカドカドカドカドカッ!


「スミマセン、殴っていいですか?」

「蹴ってるよな!? しかも連打で!」

「どうせ平気でしょう?」

「いや音したぞ?」


 骨折ってもどうせ引っ付く人が何を言うか。


「やっぱり斬首でいいわね?」

「お前はまず槍を置け。いいわけないだろう」


 真顔で言ってるサナさんは正常でした。

 思わずビシッと起立しちゃう。


「ジンは休んでいいのよ。それよりも……」

「槍先でツンツンするな」


 本当お二人とも正常だな。


「どうもここ最近不審な行動が多くてね。マドカからも連絡を受けて本格的に調べてみたら……」

「いや〜あははははは……ギャー!」


 あ、師匠が氷漬けにされた。

 サナさんが持つ槍先から放たれた冷凍光線が師匠を飲み込んだ。


「ッ……サナッ!」

「笑って誤魔化すのが悪い」

「だからって『ブリューナク』を撃つなよ!」


 流石師匠と言うべきだろう。

 全身が氷漬けになったが、次の瞬間粉々に表面が砕け散った。

 若干霜が付いているだけで、プンスカと師匠が怒っているが……。


「いったい誰の所為でこんなに苛立ってると?」


 相当ストレスが溜まっていたらしい。

 零度な魔力を全身から溢れ出すと、冷え切った眼差しを槍先と一緒に師匠へ向けた。


「オ、オレですね……どうもスミマセン」


 超弱いですよ魔導神様。

 それでいいんですか? ……別に良さそうか。


「コホン、話を戻しますが師匠。『原初の記録(オリジナル・メモリー)』って全部師匠の管理下にあるんじゃないんですか?」


 いつまでもこの空間に居たくないので話を戻した。

 俺も詳しく知っている訳ではないが、魔法を超えた魔法である『原初魔法(オリジナル)』は、師匠の世界でも危険な代物ばかりで、その管理は結構厳しいのだと以前聞いた気がした。


 オリジナル魔法は特殊な術式の為にコピー不可ほぼ

 普通の魔法と違って全く同じな物は存在せず、あっても派生に近い物だ。

 その一部は世界に出回って魔法名家や特殊な一族が管理して、毎回引き継ぎの儀式を行なって残し続けているが、それらはあくまで一部に過ぎず、大半は師匠の方で管理している……筈だった。


「ああ、何割かはオレ自身が所持して、残りは『魔法書庫』に保管していたんだが……何者かに書庫へ侵入された」


 書庫へ侵入。

 何者かにと師匠は言っているが、俺はダンジョンで遭遇したゴーレムを思い出す。

 通る筈った俺の魔法が遮られて、やむなく切り札のブレスレットを使用したが、あの違和感を俺は今でもよく覚えていた。


「……向こうの世界で約三週間ほど前、俺は学園にあるダンジョンへ入りました。目的は隠し部屋にある宝箱の回収。まず中身を確認しようと箱を開けたら、巨大なマグマのように赤いゴーレムが出現。当然戦闘になりましたが、そいつは俺の派生魔法をはね除けました」


 あの戦いを思い出す。

 俺は水魔法を利用して『属性優劣(エレメント・チェンジ)』を発動した。

 水を対象にゴーレムを凍り付けたが、アレは氷結系の魔法じゃない。


「『天地魔法』が通じなかったのか?」

「派生属性の中でも最高クラスの一つ。どの程度か知らないけど、ただのゴーレム程度の魔力装甲で『超干渉』を防げれるわけが……」


 しかも彼の場合、魔力融合で強化されている。

 不可解そうにサナさんは呟くが、師匠は得心した顔を見せる。


「なるほどな。何かしたら原初……恐らく『障壁系』の原初なら天地系統も防げれるかもな」

「倒した時に術式も回収済みです。チェックを」

「受け取ろう」


 言われて手を出す。

 手のひらから複雑なコードだらけの塊、魔法術式が出て師匠の方へ移った。

 ……縛られているままだけど、師匠はなんでもない風に読み取ってる。


「確かに盗まれたヤツの一つだ。……これがダンジョンの内のあった宝箱の」

「ゴーレムに付与されてました。効かなくて焦りましたが、ブレスレットのサナさんのチカラを借りてなんとか倒せました」

「私の力を使ってくれたんだ!」

「オレじゃないのか……」


 嬉しそうなサナさんと何故か悲しげな師匠。

 話が進まないから余計なリアクションには付き合わないぞ?


「これを見てくれ」


 言うと師匠は以前のような魔法陣を展開。

 球体にして上に放ると映像が映し出されて、そこには黄金の龍が……。


「魔神の配下───魔王だ。本名と魔王名は不明だが、なかなかやるようだ」


 魔法盗難に関与したのは、魔神の配下だった。


「何かしらの異空間魔法の魔道具を使ってるようだ。オレの分身が追跡中だが、どうもあっちこっちの世界を駆け巡っているらしい。なかなか捕まらん」


 そいつがトレジャーハンターの如く金品財宝を求めている。

 しかも、手に入れた一部は既に上司の魔神の手元にあるという傍迷惑なオマケ付き。

 完全に遊んでいるな。


「遊んでる。だから見つけ次第しばく」


 迷惑被った師匠も本気のようだ。笑顔でも目がガチだわ。

 本体の自分は動けないが、その分身で着実に追い込んでいるのだと、説明されてくても確信した。


「と、それはそうとサナさん」


 呼び出された件はとりあえず済んだので、俺の話もとサナさんに振るった。


「ダンジョンの件の途中で他クラスと接触があったんですが……」


 そう、春野たちの一件……正確には鬼苑であるが、ヤツの傍らにいる双子の外国人。

 名を聞くまではヤバそうなヤツら程度の認識だったが、その名には非〜常に覚えがある。……ていうか、



「魔力は現代世界(こっち)なのになんか異世界人っぽい……さらに言うとあなたの関係者っぽい……というかあなたの血縁者らしき双子が同級生に混じってるんですが……」

「ああ、あの子たちに会ったの? よく生きてたわね」

「笑顔で何言ってんですか?」


 え……死んじゃうんですか? 死んじゃうフラグが実はあったんですか?


「あ、もしかしてアイツらか?」

「でしょうね。つまり貴方があしらった所為ね」

「う、そうは言うが……立場的にちょっと拙いだろう?」

「だからって異世界転移を許す? 多少の常識抑制はしてあるけど、あの子達だってまだ子供なのよ? ハメを外さない保証が一切ないのよ?」


 異世界転移ってすっごい気になるワードなんですが……それよりも。

 師匠があしらったって何? 何がマズイの? 立場って何をしたんだこの人。


ジーク(こんなの)を尊敬しちゃってるから、弟子の貴方に嫉妬してるみたい。だから覚悟した方がいいわよ?」

「死ぬ覚悟ですか? え、つまりとばっちりって事?」

「いやいや、それよりもツッコムところがあるんじゃない? 君の師匠がこんなの扱いだよ?」

「こんなのの所為で……」

「蔑まれてる!?」


 結論、師匠の所為で異世界からトラブルが舞い込んでいました。


「じゃあ帰りますが、ちゃんと叱っておいてください」

「そこは安心していいわ。──アリスも呼ぶから」


 あ、師匠の顔が真っ青を通り越して真っ白になった。

 異世界には色んなヤバい女性がいるけど、一番ヤバいのはやっぱり師匠の奥さんでした。


 さぁ面倒な人(師匠)は消えたので、テンポ良くいきましょうか!

 次回! 特別試験へ! ……多分!

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