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神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第3章 弟子の魔法使いは優等生達を欺き凌駕する(何気なく)。
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第19話 アイドルはブラックでお話はもっとブラック(弟子は安息を諦めた)。

 倒したい、勝ちたいと言ったセリフは割とよく聞く。

 復讐したい、地獄に落としたいと言った暗いセリフもそうだ。

 口にする奴の動機は様々であるが、一般的に多いのはこういうものだと思う。


 だが、退学の二字は正直言って全然聞かない。

 仮に口にする者がいたとしても、それは学校側だけだと思った。


『鬼苑くんを退学させたいんだ』


 ───アイドルの本性を見た。

 もしこの話にタイトルがあるなら、きっとそうなると思った。


「ハッキリ言って邪魔でしかないんだよねぇ。あの二人」

「邪魔?」

「毎日毎日、教室で言い合ってさぁー。まぁ殆どは白坂さんが多いけど、鬼苑くんはバカにしたように笑ってる」


 想像出来そう。性格が本当に水と油くらい合わないんだ。きっと。

 鬼苑という男の行いに毎回不満を漏らして注意する桜香。

 だが、当の鬼苑は一切気にした風を見せず、アイツの反応を面白可笑しく眺めているのだろう。


「だからリーダー同士、決闘で決着を付けたらいいのに、鬼苑くんは勝負を受けない。何故か本人たち以外のお互いのグループが決闘して、白坂さんのグループメンバーが一方的にやられてる」

「決闘は互いの同意が必要だからな。白坂がやる気満々でも鬼苑って奴がその気がなければ、どれだけ言っても成立しない」

「でも、他の人たちは成立してる。……気にならないかなぁ?」


 大凡の見当は付いているが、あえて乗ってみるか?

 僅かに俺が身を前に寄せたのを見て、春野は笑みを浮かべながら話を続ける。


「決闘なんて言われてるけど、その実態は公開処刑なんだよ」

「例えでも処刑という単語は穏やかじゃない。その例えは冗談で言ってるわけじゃないと?」


 まず間違いなく事実。そう思いつつもこの女が握っている情報にも興味はある。

 探るような視線を彼女へ送ると……。


「情報は武器。それが答えだよ」

「まさか、決闘を受けた全員に後ろめたい脅迫ネタがあったのか? 影でこっそり暴力で脅している方が現実味があるが……」

「ネタなんて、いくらでも作れるんだよ? それに暴力の脅しが成立するのは、格下が相手の場合の時で、鬼苑くんを除けばそこまで突出した学生は…………いないこともないけど、今回に限っては違うと断言できるよ」


 いないこともないのに、断言できるって、何か確信的なものを見てないと言えない。……見てたのか。

 それにいくらでも作れると口にしている。……なんとなく見えてきたな。決闘事件のカラクリが。


「しかし、鬼苑って人を警戒しているなら、不用意に隙を見せるかな?」

「それが面白いことにねぇ? 狙われた人は大半が男子なの。二人くらいグループの女子も決闘を受けたけど、相手はAランクの双子で(・・・)格が違い過ぎただけ。なのに男子は同レベルなのに一方的に負けている。……変だと思わない?」

「考えたくないが、暴力による脅しじゃないと仮定する。その場合、残された手段は脅迫ネタによる八百長もどき。白坂グループの男子に拒否権なしで、脅迫ネタと引き換えにボコボコにやられている」


 いや、多分これしかない。

 そして正解なのか、春野の笑みが一瞬で消えて、冷めたような表情で呟いた。


「男って、ホント単純なんだから。強い意志なんて簡単に揺らぐ」

「……」


 口を挟まずそんな彼女を観察する。

 男に対する嫌悪感を隠さず、蔑むような眼差しで虚空を見つめる。

 

「心の底からムカつく。だから協力してほしいの」

「元々潰したがっていたわけか。だったら白坂に協力したら良かったんじゃないか?」


 その方が手っ取り早い。

 わざわざ俺に声をかける必要なんてないが……。


「それは無理。私、白坂さんもあんまり好きじゃないから。組むとか絶対イヤ」


 はい、予想的中。

 嫌悪感が少しも変化した感じがしない。

 つまり鬼苑と同じくらい白坂も嫌いなんだ。もう顔が言ってるよ。


「なるほど、戦力外の普通科の俺を誘ったのは置いて、お前が白坂を頼らないのは理解した」

「戦力外とは思ってないよ? 筆記テストはトップ10なんだから、少なくとも魔法知識は私よりずっと上だと思ってるし」

「いや、知識があっても実戦じゃ……って色々と口を挟みたいところだが、ラチがあかないからそれを踏まえて訊きたい。……俺を誘って何をするつもりだ? どうやって鬼苑を退場させるんだ?」


 いい加減遠回しに訊くの飽きた。

 この女はとにかくこちらの言葉を封じに来る。ペースを握らせない為か知らないが、いつまでも付き合うつもりはない。



「じゃあ、ズバリ言うけど───一緒にダンジョンに潜って欲しいの」

「……スマン。やっぱり説明に戻ってくんない?」



 僕は聞き間違えたのかと、本気で思いました。

 何がどうしたら、さっきまでの会話とダンジョンが繋がるというのか。


「そっちが言ってきたのにぃ……」


 すみませんね。けど、ぶっ飛んだ発言されたら、まずはブレーキが常識でしょう? 常識考えましょうよ。


「話が飛び過ぎてな。なんでダンジョンに繋がるんだよ」

「仕方ないねぇ。……コホン、数ヶ月くらい前なんだけど、近くの街で魔物災害が起きたの」


 おや、話の流れがまた見えなくなったぞ?


「ちょっと、話が……」

「いいから、聞・い・て、くれるかな?」

「はい」


 こわっ、笑顔だけど目が笑ってない。

 本当に重要な話なのか、また咳払いして若干声を潜めながら話し出した。


 ……にしても、近くの街か。


「直接的にその災害が関係してるわけじゃないんだよねぇ。魔物自体もその場で討伐されたらしいし。……問題は魔物が最初に暴れた魔法関係の研究施設だってこと」


 ……研究施設。


「私も詳しくは知らないけど、その施設、実は魔物が暴れる前に誰かの侵入を受けたみたいで、中にいた警備員とか研究者とかが沢山殺されてたんだって」


 数ヶ月前に起きた事件で狙われた研究施設。

 警備員や研究者が殺されて、その後魔物がその近辺を暴れた事件。


 ……確証はないけど、もしかしてアレじゃね? 

 お正月の帰省事件。俺が帰省した直後に起きた魔神が関わってるあの……。


「その時に何点か貴重な素材や魔道具が盗まれてねぇ。その何点かが色んな裏のマーケットで売買されてるって噂を聞いたんだけど、……重要なのはその情報元が鬼苑くんのグループってこと」

「まさか……」


 話が繋がり始める。嫌な方向へ。

 だが、今さら止められない。


「調べていくうちに何を手に入れたかも分かったの。どういう伝手か分からないけど、彼が手に入れたのは学園のダンジョン地図。隠しエリアに眠ってる『奥義級の魔道具(・・・・・・・)』の在り処を示す地図だよ」

「……」


 表情に出さなかったが、内心は激しく動揺していた。

 裏のマーケットで売買してるのは、まず間違いなく魔神の奴。

 倒したとは思ってないが、追い払ったと思って周囲への警戒を解いてしまっていた。


 ──不覚だ。奴はまだこの世界で遊んでいるのか。


 しかも、そいつがバラ撒いた所為で、学園のダンションで眠ってる破壊兵器の地図まで流出して、それを狙おうと不良グループが動き出してる。


「分かってくれたかな? 私が鬼苑くんを今すぐ退学させたがってる理由」


 そして、それを止めようとするアイドル。

 カオスな構図が浮かび上がるが、これを放置すると後々絶対に面倒になる。


 しかし、それでも確かめたい。


「地図が本物という証拠は? それに鬼苑が手に入れたってどうして分かった? ガセの可能性もあるだろう」

「情報は確かだよ。まだ誰かは言えないけど、鬼苑くんのグループ内に、彼に近い位置に情報をくれる協力者がいるから。鬼苑くんも認めてる金剛くんと同じくらいだから、情報の信憑性は高いと思う」


 スパイがいるのか、それでもやや不安があるが、ここで引くと返ってマズそう気がする。


「ここまで話したんだから、今さら無理なんて言わないよねぇ?」


 ほら言ってきた。

 やっぱりこの女とは極力避けるべきだな。

 何を掴まれるか分かったもんじゃない。



 ──今回は別として。


「ま、白坂が困るだけなら放置でも良かったんだが、そんな危ないオモチャが出てくるんじゃ無視は無理か」

「ふふふ、ありがとう!」


 握手を交わす。いや、無理矢理された。

 強引にブンブンと、拒否など許さん。そう言って圧を掛けるアイドルがいます。



「じゃあ、連絡先も交換しようか! あ、でも安心していいよ? こっちのは仕事でも使う仕事用だから、緊張しなくてもプライベートのはもっとお互いを知れたら交換しようねぇ?」

「心配ない俺のも連絡先が一桁でほぼ業務用だ。今さらアイドルの連絡先を手にしても、さして困ることはない。最近の連絡なんてジィちゃんがダントツ一位」

「……うん、私が言うのもなんだけど、もう少し友達作った方がいいよ? 私だって表面上はクラスメイトと仲良くしてるし」


 いや、表面上の時点で俺より悪質だから。裏じゃどんだけ蔑んでるんだろう。

 ジィちゃんが好きなアイドルチームの一人だけど、なんか怖いぞこの娘。


 知りたくもなかったが、このお茶会兼ブラックスカウトでアイドルのイメージが完全に百八十度変わったわ。


 今年の楽しみがまた減った気分です。

 待ちに待ったコナンくんの劇場版のブルーレイが届きましたが、これでまた一つ、今年の楽しみが無くなって若干気分がブルー(泣)。


 アプリゲームで憂さ晴らしでもと思ったけど、コラボガチャ回したら連続でカオルくんが出て一気に萎えました(絶望)。三連ちゃんとか呪われとるのか!


 さぁ、やっと第三章も後半へ移ります。

 やっと話の裏が見えてきた感じですが、やはり遅い気がする。

 他の作品も進めたいけど、中々手が回らないから結構ジレンマ。


 今年中に『勇者と後輩』を最終章まで繋げたかったですが、正直難しい感じです(汗)。『弟子』はまだまだキリがついてないので(具体的には四章、五章が終わるまでは)。

 他にも『魔神(連載版)』『新作オリマス(神々の戦い編)』も計画してましたが、来年以降になりそうです。知らない人が大半だと思いますが(笑)。


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