表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第1章 弟子の魔法使いは魔法学校を受験する(普通科だけど)
2/103

第1.5話 年越し蕎麦

オマケ回です。

 いつものようにテレビを見ている。

 恒例の紅白番組を見ながら、炬燵でぬくぬくとしていた大晦日。


刃「ジィちゃんはどっちが勝つと思う? 俺は白チーム」


祖父「わしは赤じゃな。刃には悪いが赤の圧勝じゃ!」


刃「え、そうなのか? 理由ってなに?」


祖父「赤にはアイドルチームが多い! 白は可愛い子が少ないからつまらん!」


刃「……基準がエロジジィだよジィちゃん。いい加減にしないと、バァちゃんに呪い殺されるよ?」


祖父「ただアイドルを愛でてるだけじゃよ。あの世のバァちゃんだってアイドル野郎共のファンじゃったし、お相子(あいこ)じゃよ」


刃「そ、そうなんだ。ちょっと意外だね」 


 人数多過ぎて、俺はとても覚え切れないけどね。

 ガチファンなジィちゃんとどの子が可愛いのかと話を交わしながら、やってくるその時を待っていると……。


マドカ「お待たせしました。熱々の年越し蕎麦になります」


祖父「おおお〜待っとたぞー!」


刃「ありがとう。マドカ」


 ホームステイ扱いのマドカが調理してくれた蕎麦がテーブルに並ぶ。

 いい出汁の匂いがする。途中見ていたが、麺に至るまで彼女の手作りである。


祖父「ホホホホ! 美味いのぉ!」


刃「美味しいな。けど流石にやり過ぎじゃないか?」


 まずちゃんと美味しいとお礼を述べる。本人の希望とはいえ、いつも炊事洗濯まで任せてるから、そこはちゃんと言わないといけない。

 本当は素直に喜びたいところでもあるが、台所の大きめのテーブルの状態を見てつい言いたくなってしまう。手打ち蕎麦とか……そこまでやるか?


マドカ「愚問ですね。私の辞書に『妥協』という言葉ありません」


刃「……だよね。こっちの基本知識も一ヶ月足らずで覚えるし」


 ホント、万能メンドみたいな人だ。

 俺に言われて無表情でも嬉しいのか、真っ平らな胸元をポンと叩く。心なしか口元が弧を描いているようにも見えた。


刃「凄い。ラーメンみたいに麺にしっかりとしたコシが……」


マドカ「勿論、蕎麦の素材からしっかり厳選しています。水に至るまで抜かりなしです」


刃「何処から取り寄せたの? この乗ってるお肉」


マドカ「焼き加減も調整済み。出汁にも役立っててます」


刃「ネギ、半熟卵……」


マドカ「ネギは県を跨いで取り寄せ、卵は茹で過ぎないように時間を掛けて味を馴染ませました」


 たった数ヶ月でどれだけパイプを増やしてるの?

 手際とか技量とかそういうレベルを遥かに超えているよ。手腕? いや、超人? 怪人の間違いか?


刃「やっぱりやり過ぎだと思う」


マドカ「私に『加減』という辞書はありません。お正月の餅も万全です」


 どうやら全能の間違いだったらしい。

 こちらの世界でも変わらずの彼女に、平常運転だなぁと寧ろ納得してしまった。


祖父「良き嫁を持ったのぉ〜刃。ジィちゃんは感動じゃ!」


刃「チ・ガ・ウ」


 こっちはこっちで巻き込み事故を起こしてやがる。

 最近のジィちゃんのテンションは、どうやら年越しても続くようだった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ