第81話 スルースヴィル終幕
スレイヤーと合流する前ーーーーー
幸助は、周囲の空気が変わった事に気付く。さっきまでセトラと軽口を叩き合っていたが、そんな和やかなムードが一瞬で消失する位には、その変化は早急で、事故が起きたに等しい突発だった。まるで現実味が無い雰囲気。
幸助は、これと似たようなモノを昔に感じた事があった。京都に修学旅行へ行った際、訪れた三十三間堂の全貌を見た時だ。
衆生を救わんとする千に及ぶ菩薩の集合は圧巻で、その像の精巧な現実味と崇高さは、彼岸の世界を表すには暴力的なまでの説得力があった。観賞している自らに訴え掛けてくるものは赦しであり、人間の感情を超越した境界上にその表現があるように感じた。
煌めいているのは宝石では無く、像に塗られたメッキなのだが、神々しさは無くむしろ俗物的な色合いに感動と失望を覚えた。人間の想像を越える存在を人間の技量で再現しようとした結果に、宝石に似た煌めきを放つモノでも塗っておけば形になるという想像が働き、幸助は考えるのをやめた。自分という人間が如何に宗教というものにのめり込む才能が無いか思い知らされた。芸術的な感性より、歪んだ主観に満ちた合理性を優先してしまうからだ。
そして、こんなに神仏の大群が押し寄せてきても、衆生済度に至るのかという疑問が、いつまでも頭にこびり付いた。見れば見る程圧巻で、素晴らしい造形である。そこは否定できない現実であるが、幾ら草食動物とは言え、大量の羊の群れに遭遇した時、人間は恐怖を感じると思うのだ。それだけ、数というのはどれだけ優秀な個さえも捻り潰す力があるのだ。
総量で齎される感動は脅迫に等しい。
そして、この世界はその数の暴力が機能しない一騎当千が跋扈する強者の巣窟。そのような感想を抱くにしては理不尽の極みである。
だがーーーあの時の、感情を抱いてしまうのは、何故だ?
これが神性だと、言わずして何だ?
闇夜を浄化していくように、空に満ちていく御光は明らかに人の作り出すモノとは思えなかった。直線的に差し込む光は、自然物が発する放射状の光とは違う異質極まりないもので、まるで大きな雷がそのまま滞空しているようで、綺麗だった。
「ーーーヤバイ、これは不味い!!!」
セトラがわざとらしい位に焦っていた。身体が小刻みにブルブルと震えているのを感じた。
確かに、死の恐怖とは正反対の畏れを感じるのは事実だった。吸血鬼とは対極にある、穢れのない聖なる力である。
幸助は、その力を凄まじく思いながらも、セトラ程の恐怖は抱かなかった。一度、死んで女神に会っているからなのかもしれない。神様のような超自然的存在を欺瞞の塊としか思っていない幸助からすれば、この神々しさすらも虚飾に塗れた光だと、心の隅で思っていた。
いつかこの手で、殺さなければならない。
そんな気がした。
「ーーーセトラ。最後に、握手してくれないか?」
「おまえ、何をこんな時に!うっ!!」
セトラが呻く。とんでもなく大きな爆発音が鳴ったのだ。そして、その後間髪入れずに、更なる魔力の渦が生じたのを感じたのだ。
この神々しさとは正反対の、禍々しい憎しみに満ちた魔力は、混沌とする現状を更に地獄へと塗り替える。轟音と共に、地面から生えてくる華の如き《箱庭》は、余りにも恐ろしく、もはや一刻の猶予も残されていなかった。
師匠が危ない。幸助は直感的にそう感じた。
「時間が無いんだセトラ!!」
「待て!どこへ行くんだ!!」
「《箱庭》は、僕が何とかします。その為に、力を貸して欲しい!!!」
そう言い切るより早く、幸助はセトラの背を降りて空気の地面を魔力で蹴り、移動していく。既に《鬼血術》で更に身体を強化し、セトラの飛行速度を追い抜いていく。
「お前ーーー握手って、そういう事なのか!?意味分かってるんだろうな!?」
「一つ確認を!!着火すれば、爆弾が爆発する認識でいいですか!?」
「そうだ!私の手拍子で着火し起爆する!!詠唱はその後でもいい!!」
「じゃあ条件を指定します!今の僕の血にスキルを掛けて下さい!!引き金は自分で引きます。」
「ーーー死んだらゆるさねぇぞ。恩人。」
「大丈夫。僕は不死身です。」
「じゃあ遠慮はいらねぇな!」
セトラは人の姿に戻り、幸助と握手を交わした。出会ったばかりの共闘は互いを信頼出来る保証が何処にも無い。だが、セトラは既に、幸助を信じるに値する人物であると認識していた。
こんな馬鹿な吸血鬼がいてたまるか、と。命が幾らあっても足りない能力に、こんな死にたがりな心の在り方でこの世界を生きているのは奇跡としか言いようがない。
何を考えているかもよく分からないし、何処までが真実なのか分からないが、手を貸さずにはいられない。さっき我に殺され掛けた人間とは思えない。当たり前のように、善意の契約を成立させている。
この男には、何かそういう力がある。
ーーーー敗北だ。
セトラは、自らの心を氷解させた相手の名を叫んだ。
「コースケ!!これが《爆撃・転変生滅》だ!!!ぶっ放せ!!」
「ありがとう、セトラ!!見てろ、大空に俺の華火が上がるぜ!」
「やっぱお前頭おかしいよ。」
「俺は普通だ!!じゃあまた後で!!」
ーーー《爆撃・転変生滅》は、爆弾へと変えた相手を確実に殺すスキルである。触れただけで相手を即死確定とし、更に爆弾になった事にも気付かせず周りを巻き込む最悪最凶の力である。
それを掛けられて、お礼を言ったのは、後にも先にもこの吸血鬼だけである。
「・・・調子狂うな・・・生きて帰れよ、馬鹿が・・・。」
セトラは、咲き誇る《箱庭》へと向かう幸助の背中を見送り、神々しさを増す光の中心・旧神フォーチュンが降り立とうとしているスルースヴィルの荒野に向かった。
〜〜〜〜〜〜〜
生命は燃える。恐怖は燃やせ。ただし、希望だけは燃やしてはならない。
ありとあらゆる負の感情は、未来を生きる燃料へと変換せよ。
幸助は自嘲し、嗤う。
何の為に命を掛けているのか。その答えがようやく分かった。
自身から発する紅炎と、《蒼炎外套》が作り出す蒼炎が混ざり合い、墜落してくる飛行機のように、幸助は突っ込んでいく。アカシクの呪いというものが、何処まで強いのか。そこに賭けるしかない。
何故なら、まだ僕は死ぬ訳にはいかない。
今まで、いつ死んでもいいという気持ちでいた。どうせなら早く死にたいと、使命とは正反対の気持ちを持って生きてきた。
もう、先の命は長くない。薬物依存と数々の自傷行為は、確実に自らの寿命を縮めている。吸血鬼といえど、それは変わりようのない事実だ。命に変えても成し遂げないといけない目標もある。
その上で、誰かを悲しませるのはもうやめた。身体は常に死を求めている。だが、心は諦める訳にはいかない。
《自殺》の吸血鬼として、矜持を見せてやる。
ーーー自らの血潮を、《色彩魔法・朱》で燃やしていく。不死の紋章を維持しながら、自らの魔力を絶つ自殺行為。だが、残念ながら、これが自分のアイデンティティである。
機械の《箱庭》も、幸助が炎上すると共に、更に炎の勢いを増していった。ようやくここにきて、《心中》作用が効いている。
ここで決めなければ、仲間が死ぬ。
やるしか道は無い。決意は固まった。
幸助は、自らの火でヘヴンズゲート入りの葉巻を燃やし、口に咥えた。天国への入り口はもうすぐそこまで見えている。が、それをくぐるつもりは毛頭無い。
紋章を維持する魔力が尽きるのが先か、爆発して死ぬのが先か。リスクは大きい。でも、もうどうでもいい。それでも駄目だったなら、所詮それまでの男だったというだけだ。
幸助は、直感で機械の頭に直進する。更なる銃撃や砲撃を、創造した《村正》で受け流していく。それでも、物量に敵わず、《弾性》化した身体も限界を迎え、風穴が空いていく。
紋章により不死となり、再生しながらも痛覚は鋭利に脳を焼いていく。
あと少し、という所で、機械は超巨大なビームサーベルを振りかぶっていた。
「菴輔r莨√s縺ァ縺?k縲√そ繝医Λ縺九i菴輔r縲∝ッ?k縺ェ?√?願庄闡ャ讖溷」ォ縲九?√◎縺?▽繧呈ョコ縺幢シ?シ」
「《創具顕現・卍荼羅 可変倍率× MAX》!!」
ーーーそこに、スレイヤーの愛鎌・卍荼羅が現れた。幸助が《村正》を愛用するように、スレイヤーは、《卍荼羅》を使用する。この鎌は、オリジナルが存在しない。スレイヤーが一から構造し創り上げた《創具顕現》を起源とする鎌なのである。
つまり、規格が存在しない。スレイヤーの望み通りの大きさで顕現する。
その大き過ぎる鎌を、スレイヤーは振り下ろした。ドーラを余裕で超える質量による斬撃が放たれる。機械の手首を切り落とし、ビームサーベルが空中を舞う。
「行け!!幸助!!!」
「ーーーー《爆撃ーーー》」
「!? 待て、幸助!?おい
!!ダメだ!!よせ!!!」
スレイヤーは幸助がやろうとしている事に気付き、慌てて手を伸ばす。が、彼を引き止めるにしては遅過ぎた。
幸助は、少しだけスレイヤーに振り返り、少しだけ笑顔を見せて、唱えた。
「《転変生滅》。」
幸助が詠唱を終えると、そこからは一瞬の出来事だった。
全てが塵と化して消えていく。溢れんばかりの真っ白な光が、視界を奪っていく。
燃え滓すらも残らない圧倒的熱量が大空に広がっていき、ついに《箱庭》は跡形も無く崩れていった。
ーーー龍王セトラは正真正銘の怪物である。今更、それをよく思い知る事となった。
それは爆発では無く、もはや消滅だった。太陽が生じたような熱量。人体はおろか、鉄すら融解し形も残らない。
超広範囲に渡る爆発である。スレイヤーは爆風に吹き飛ばされる。
「幸助ぇぇぇ!!!」
残響はかき消された。音の全ては、生者の存在し得ない熱の渦に巻き込まれていく。そこはもはや、死そのものであった。
黒煙が立ち昇り、キノコ雲が形成されていく。核熱そのものを引き起こした幸助の身体は、跡形も残っている訳が無い。
ーーーそして、その中で咲う者がいる。
「・・・はぁー、はぁー、うっぐっ、ゲホッ・・・おぇぇぇぇ!!」
ーーーAAは、爆発を耐えていた。
自らの《箱庭》を犠牲に、全ての魔力を障壁に転じたのだ。だが、もし《箱庭》による装甲が無ければ一瞬で塵と化していた。一瞬の判断で運良く生き永らえており、実際はギリギリだった。
「・・私の《華葬騎士》を破るなんて・・・。」
AAの身体はヴェイルが漏れ出ており、完全な人型を保っておらず、血液が溢れ出ていた。
「・・・流石に今ので死んでくれよ。・・・いてぇよ・・。」
幸助は、紋章により再生を果たす。が、完全に治り切るより先に魔力が尽き、紋章が消えた。回復魔法を使う程の魔力も尽きた。表面の肉が露わになっており、まるでゾンビのような様相で蝙蝠の羽で羽ばたき、空に浮いていた。
「アンデッドそのものじゃない。」
「お前に言われたかねぇ。鏡見やがれ。」
「女の子に酷い言いようね。」
「俺は女だろうが殴る。」
「私もよ。」
AAは、残り僅かな魔力で《厄具機雷》を発動し、《電磁華槍》を構える。
幸助も、最後の魔力を振り絞って、《村正》を《創具顕現》する。
「最後は結局殴り合いか。」
AAは諦めたように咲うが、幸助はそれを聞いて嗤った。
「じゃあな、AA。」
そう言って、幸助は、自らの心臓に《村正》を突き刺した。
《自刃傷舐》。
自殺の吸血鬼が得意とする《心中》作用による不完全な《箱庭》。
幾ら身体がヴェイルとなった所で、人そのものの機能が変わる訳でも無い。その呪いは、明確な痛覚と共に身体を確実に蝕み、貫いた。
「・・・・・・な・・・。」
驚愕の表情を浮かべるAAを見て、幸助は笑う。
「ーーー《箱庭》か、AA。」
「ーーーーーうぐああああ!!!」
最後の抵抗として、AAが《電磁華葬》を幸助に向ける。が、既に遅かった。
幸助は、色彩魔法を唱えた。
「ーーー《朱》。」
幸助とAAは共に炎上し、力尽きた。
地上へ真っ逆様に堕ちていくーーーー。
ーーーー目を覚ますと、そこにはセトラがいた。意識の戻った幸助に気がつくと、勢いで抱擁を交わした。
「うわあああああ!!!生きてたー!!!良かったよーーー!!!」
・・・状況が掴めなかった。
先程まで、スルースヴィルにいた筈だ。ここは何処だ?
建物の中にいるのは、何となく理解出来ていた。見ると、腕に何本もの管が繋がれている。やけに部屋が白い。
光も人工的なモノだ。太陽の光が差していない。その証拠に窓が無いのだ。吸血鬼に対して、特別に配慮してくれているとしか思えない。
となると、病院かーーー?
いや待て、何でセトラが??
こいつ龍王ちゃうの?何でこんな所にいるの?え、病院って事は、ここは何処かの町か?
ーーーーちょっと待て。ブラッドはどうなった?師匠は?タリスは次会ったら腹パンするとして、竜になった他の人達は?
「・・・か、か、ひゅー、ひゅー・・・。」
何か喋ろうとしたが、声が出なかった。身体が再生しきれていないようだった。
「ご、ごめんな。まだ完全に治っていないよな。」
セトラは慌てて離れる。
ーーーー魔力はある。なら、すぐに元に戻る。
幸助は、《再生の魔眼》を発動させ、回復魔法を掛ける。すぐに全てが元通りとなったので、身体に繋がれていた管を引っこ抜いて立ち上がった。
「・・・流石に引くぜ。回復っぷりが常軌を逸している。医者泣くぜおい。」セトラが呆れる。
「・・・AAは!?」
「あー、まずそこからだよな。あと、私の事はセトロって呼べ。」
「何でだよ。」
「セトラってバレないように周りを《洗脳》してんだよ。ここでは一部の人間以外は、セトロだ。」
「分かった、中トロ。」
「勝手に脂身乗せないで?」
「・・・で、ブラッドは!?師匠は!?!?」
「焦んな。お前がAAを戦闘不能にしてくれたお陰で、全員なんとか無事だ。私の民を除いてな。」
「・・・すまん。」
「お前が謝る事では無いし、いい。気にするな。魔王軍が暴れたら、こんな悲劇は当たり前に起こりうる。」
「じゃあ、AAは、逃げたってことか。」
「フォーチュンが抱えて逃げてったよ。でも、あれが無ければ、全員死んでたかもな。どうやら、魔王軍にとってAAは特別らしい。」
「・・・皆無事なら良かったよ。」
「本来なら、お前に皆が感謝しなけりゃいけないんだがな。なにしろ、AAと相打ちなんて大金星もいい所だ。」
「純粋な力じゃ、全く敵わなかったよ。」
「そりゃそうだ。元々、格が違うんだ。ま、デカい華火だったよ。地上からじゃ、見応えがあった。」
「それは良かった。」
幸助は、ようやく自然に笑う事が出来た。
ーーーー夜。太陽が落ちた頃に、幸助はようやく地下室を出る。それまではどうやら、訪問医が定期的に来てくれているようで、ここは病院ではなかったようだ。
そこはやけに長い階段だった。豪華な建物の中だ。まるで貴族とかが住んでそうな赤い絨毯が引かれている。
外に出るまでの道のりも長い。
「ーーーあれ?それじゃ、俺は何日寝てた??」
「2ヶ月だ。」
「・・・マジ?」
「十分早い方だろう。心臓裂けてたんだぞ?医者も最初は諦めムード出していやがったから、なんとか《洗脳》させてやった。」
「ズルくねその力?俺も使いたい。」
「何に使うんだこんな力。」
「自己洗脳も出来るんなら、俺の痛覚、無くしてぇ。」
「てっきりエロい事言うのかと思ったら。逆に引くわ。下ネタより遥かに引く。もっと自分を労ったら?」
「仕方ねーじゃん、毎回痛みで意識飛びそうになるんだから。俺だってやりたくて自殺行為してる訳じゃねーんだし。」
「にしては言葉が軽いんだよ。どういう教育したらそうなるんだ。スレイヤーは何をしてるんだ。」
「師匠は悪くないんだ。僕が勝手にやっちゃうだけ。」
「前言撤回。スレイヤーに同情するよ。」
そして、ようやく外に繋がる、重々しい扉を開けるとーー
そこは、ガレス王国の中心、王都ミレニアムだった。
人々がいつものように大声で怒鳴り合い、和気藹々としている。冒険者のメッカであり、幸助の拠点だ。
ーーーーん?
「あれ?俺が今いるここって・・・。」幸助は冷や汗が噴き出る。まさか。
「え?ああ、言ってなかったが、城の中だぞ。」
「はあああああ!?!?何でだよ!!!」
「龍王舐めるなよ?」
「ちょっと待て。」
幸助は扉を閉めた。
「おいどうした。」セトラが不思議そうに言う。
「・・・どういう経緯?」
「王様に直談判した。」
「はああああ!?アレス王に!?」
「うん。」
「・・・最悪だぁ。」
「どうした?」
「心読めるんだろ?読んでみろよ。」
「吸血鬼は無理だっつの。何なんだよ、喜んだり驚いたり落ち込んだり忙しいなぁ。」
「・・・借り、作ったら後ですげぇ面倒臭いんだよあの王様ぁ・・・。」
「何だよ。そのくらいビシって言ってやるぞ?」
「あーー、いい、いい!!セトラは何もしなくていい!!!この国の食文化には、いずれ必要な事だから!!」
「・・・?」
「・・・何でだよ・・・俺は目立たないように暮らしたいだけなんだよ・・・。」
「それは無理だろ。AAを倒したから今度、ギルドの階級昇格するらしいぞ。」
「それは素直に嬉しい。」
「ん?目立ちたくねーんじゃ?」
「違うんだ、セトラ・・・。この国に馴染めば、きっといつかわかる・・・。何故俺がこうなっているか・・・。」
「そうか。色々大変なんだな。」
「・・・はぁ〜・・。あー、胃が痛い・・・。」
ーーーセトラは、後に知る事になる。
冒険者のメッカとして賑わっているアレス王国の食文化の悲惨さを。
そして、それに立ち向かおうと、前の世界の微かな知識を頼りに、新たな調味料を開発する1人の男の勇姿を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スルースヴィル決戦・報告書。
夕刻、スルースヴィルに魔王軍侵攻。現地の民は既に龍王セトラの下僕となっており、竜となって応戦。
その数十分後、勇者レーヴ率いる聖伐軍が加わる。その更に後、ギルドクエストを引き受けたブラッド、コースケが到着。
魔王軍幹部格は×××××、AA、コンス、そしてフォーチュンが襲来。魔剣使いが世界を改竄した事により、×××××を撃破。正体は不明と化した。
AAに関しては、乱入した何者かが交戦し、その後コースケが撃破。《箱庭》現象による侵攻を事前に食い止めた事で更なる被害を未然に防ぐ事に成功した。
ブラッドはその後、コンスと交戦。深傷を負わせ撃退。
続けて、旧神と激突する。
時を同じくして、万全となった龍王セトラ、勇者レーヴがブラッドに加勢するも、2人の間だけで戦闘が激化。
両者一歩も譲らぬ攻防を見せ、AAが撃破されたことを知ったフォーチュンが退却。その間に、逃げ遅れた竜の民が多数の犠牲を被った。
人間の死者総数2万1654人、行方不明者2365人にも及んだ争いは、人間側の勝利で終戦を迎えた。
以上、簡易的な事実報告をもって、アレス王に裁量を求めるものとする。
ギルド執務員センドリカ・メイヤー




